晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

穴虫考(118) 福井県-9 9/21

2014-09-21 | 地名・山名考

2014.9.21(日)

 穴というのが火葬場に穿たれた浅い穴のことを指すのは間違いないだろう。
では虫とはなんだろう。穴虫地名が真宗寺院の存在と深い相関関係があるようで、現在その位置関係を整理中である。真宗と無関係の地域であっても、鎌倉武士の居住地であったり、国分寺の近くであったり、法相宗(僧道昭は火葬の初現ともいわれている)に関連する寺院があったりとことごとく火葬と関連している。穴が火葬の一施設とすれば、虫も火葬に関わる言葉であることは容易に想像できる。
 香芝市穴虫がかつて穴蒸村であったように、虫は蒸だったのではないか。山田清吉氏の詩「藁葬」のイメージや実際の藁葬の写真を見たとき、藁葬の実態はいわゆる蒸し焼きではないかと考える。
 そのひとつの理由は、火葬は一昼夜かかるということである。藁葬の写真を見たとき、かなり大きな釣鐘状になっているのだが、轟々と燃えさかったらとてもあれだけの藁では済まないとおもうのだ。夜間は一旦引き上げると書かれているので途中で燃料を追加するという風には考えられない。また、藁束は縄で縛られ、かなり硬い塊となっているようである。点火当初は燃え上がっても、やがては蒸し焼き状態になるのではないか。
 例えば現在くすべといって、刈り取った草などを燃やしているが、ドラム缶や焼却炉の中で一晩ぶすぶすとくすぼっている。朝になるとすっかり灰になっており、火災面などで安全で確実に燃焼でき、何かを燃やすという意味では燃料の節約になる焼却方法ではないかと考える。
 葬送墓制研究集成(1)に掲載されている火葬場の写真が4枚あるのだが、1枚目は棺の下に引かれる藁束で、2枚目が4本柱の中に藁の釣鐘状のもので天蓋が掛けてある。天蓋は本来4本柱に結びつける、と書かれている。3枚目は燃えているところで、周囲で茶碗酒を?んでいる様子もうかがえる。煙の中に柱状のものが倒れており、四本柱の一部かとも思われる。4枚目が先ほどレンガ積みの穴と紹介した写真であるが、四本柱が常設されており、梁、母屋、小屋束といった屋根を支える構造も備えている。垂木は無いが屋根はトタンで張られており、熱のためか方々が破れている。
 問題にするのは4枚目の写真で、四本柱、梁等はすべて木製であり、火葬が轟々と燃えさかる炎によって為されるとこれらも燃えてしまうだろうということだ。これらの木材が常設されて残っているということは、火葬の大部分は蒸し焼き状態で行われたということが予想される。
 野における火葬を知っておられる方はまだまだ各地におられる。是非ともこのところを確認してみたいものだ。つづく

【今日のじょん】今日は秋晴れで最高の天気である。ドッグランには絶好と準備をするが、利用したのはゆきちゃんだけ。もっと遊びに来てくれよ。

コメント
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