二日間にわたる山響定期終了。ヒンデミットの協奏曲という難曲のソリストを見事に務めつつ、メンデルスゾーンの序曲「フィンガルの洞窟」、ベートーヴェンの田園でも美音を聞かせてくれた川上一道氏にまずは喝采をおくりたいと思います。常人にはまず出来ないワザです。今回聞きにきて下さった方々が「こういうことも普通にあるのかもしれない」と誤解されないよう、コンサート後の交流会では、つい「普通はないです」と力説してしまいました。
そして今回が山響二度目のご登場となったマエストロ、マックス・ポンマー氏。楽団員から自然に歌を引き出し、実にのびのびと演奏させて頂きました。さながら氏を先導に、田園地帯を散策してきた気分です。リハーサルでもご自分の椅子を撤去、80歳とはにわかには信じられない若々しさを示し、こちらも大変な刺激を受けました。
こういう方々を目にして思い出されるのは、私が山響入団当初に聞いた「オケマンの第一条件は丈夫なこと」という言葉。体が資本の職業だし、そんなものだろうなと思って聞いていた当時の私でしたが、その真の意味が身に染みて感じられる今日この頃です。
何にしても、芸術の秋へむけて良いスタートを切れた演奏会でした。健康を維持しつつ、この勢いで仕事の山へ立ち向かいたいと思います。