自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ツマグロヒョウモンの成長(2)

2013-07-15 | ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモンの蛹化が続いています。プランターでも植木鉢でも。家の中で観察するには,移動させやすい鉢が便利なので,そちらにできるだけ幼虫を多く置いておくことにしました。

すると,どうでしょう。もう鈴なり(?)という感じで,茎からぶら下がっているのです。ぶら下がるというのは,習性として蛹が提灯のような状態で文字通り“ぶら下がっている”様子を指します。10個体はあるでしょう。

葉が食べ尽くされているので,観察条件は申し分なしです。

間もなく,羽化のラッシュが始まります。これは撮影の好機です。そのときを思い,今からわくわくしています。

 


キアゲハの羽化,悲しい現実

2013-07-15 | キアゲハ

7月9日付け記事『キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その13~) 』で取り上げた褐色の蛹が,この程羽化しました。今回羽化を観察し,撮影もできたのですが,結果はキアゲハのいのちにとって,悲しいものになりました。これも自然界では十分に起こりうる事象かなとついつい思えてきました。何度も起こるものではありませんが,なにが起こるかほんとうにわからないという好例かと思われます。

7月12日(金)午後5時,蛹の色が変化しているのが遠くから目にとまりました。上半分が黒っぽくで,下半分が白っぽく,これまでの褐色一色とずいぶん違っています。傍で確認すると,黒っぽいのは翅が透き通って見えていることがわかりました。羽化直前なのです。

それで,2,3時間後には羽化するだろうと思い,室内に持ち込んで撮影の準備を終えました。就寝前に撮影できるのはラッキーです。

ところが,その後一向に変化が生じないのです。そのうち,午後9時になり,10時になり,します。それでも変化なし。午後11時。すでに,わたしが色の変化に気づいてから6時間が経ちました。なのに,ちっとも羽化の気配がありません。

「おかしいなあ。でも,こんなチャンスはそうそうあるわけではないので,とにかく待ち続けよう」と決心。1時間経ち,日付が変わりました。7月13日(土)。そして,午前1時に。妻が,「わたしが見ておくので一休みして」と言ってくれました。申し訳ないと思いながら,そのことばに甘え,休息。

やがて,窓外がうっすら明るくなり始めました。4時。妻が「まだ変化なし」と一言。徹夜したのです。妻のことばで「これは変だ!」と,今度は心配になり始めました。何か異変が起こっているとしか思えません。

午前4時50分。音がしました。妻もわたしも,蛹から目を離して雑談している最中のこと。見ると,出終わろうとしている成虫がもがいている様子。撮影開始です。見ると,翅の一部が殻に引っ掛かって,完全には出られない状態だとわかりました。

すぐ取るわけにはいかず,撮影しながら,外れるように祈っていました。しかし,いくらもがいてもまったく翅は外れません。ぶら下がった状態だった成虫は,今度は上に移動しました。しばらくバタバタしていましたが,結局,これでも外れませんでした。

もう,これは無理だろうとわたしはみました。そうなら,できるだけ早く外してやることが必要です。うまく羽化した個体は,数分で翅を伸ばします。つまり,この個体はすでにその時間を費やしてしまったのです。今から回復が可能か,それが問題です。

外すには外しましたが,ある程度指の力がいりました。なんと,翅の一部が皮に完全にくっ付いていたのです。つまり接着状態だったということです。これでは,出てこれません。道理でこんなに時間がかかったはずです。もし順調に推移していれば,当初の見込みどおり午後8時頃には羽化していたでしょう。こんなハプニングが生じたために,今回は通常の羽化ができないままに終わりました。

結局,うまく伸びきった翅は右前翅のみ。他の3枚は縮れたままでした。

いのちにとって,こんな緊急事態はそうそうあるものではありません。それにしても,わたしが費やした時間も相当なものでしたが,キアゲハの苦労も並大抵ではなかったでしょう。衝撃的な出来事になりました。

 


キアゲハ,ハナウドに産卵(孵化後 ~その15~)

2013-07-15 | キアゲハ

飼育箱で飼っていたキアゲハの幼虫が一つ,壁面で蛹化。日が経って,やがて成虫に。箱はプラスチックなので,写真を撮る際どうしても反射光が入ります。フラッシュを使うので,思うようには撮れません。そんな苦労をしながら,目撃した場面をご紹介します。

午後0時56分。昼間の羽化は大助かりです。観察と撮影でほとんど疲れることがありません。待っていると,蓋が開いてスルスルッとからだが出てきました。

午後0時58分。 からだを反り加減して,翅を垂らしました。こうしなくては,翅が伸びません。

午後1時00分。出終わって,殻につかりました。しばらくこの格好のまま,口吻を緩めてうまくはたらくか,ウォーミングアップを繰り返しました。口吻の先が二股になっているのがよくわかります。 

午後1時06分。出始めてから10分も経つと,翅がきれいに伸び切りました。翅脈の隅々に体液が送り込まれて,からだに組み込まれた計算どおりに変化が進行したのです。

みごとな羽化場面でした。