昨日は,『青少年のための科学の祭典』 でブースを出展しました。ブース名は名付けて『火打石を使って火を起こそう』。
この日は,県下一連の開催としては皮切りとなります。わたしは,今回この地区での開催に初めて協力し,初めて火打石を使った発火法に絞って出展しました。
結果は自分として充実感の味わえるものになりました。子どもたちには,石と鋼鉄を打ち付けて火花を出すという体験そのものが新鮮だったようであり,またそれを炎にできる術がとてもふしぎで,珍しかったようです。
わたしの印象に強烈に残った点があります。それが複数あったため,一層「これはスゴイ!」といった満足感を味わうことができたのでした。その例をいくつか。
その1。幼稚園児から高校生まで,興味深く火起こしを試みる姿が絶えませんでした。もちろん,おとなだって! 6時間の開店時間中,試みる子が途切れることはほとんどなかったほどです。
その2。A君(小4)の粘っこい挑戦に触れて,子どもの知的好奇心の発露を頼もしく感じました。同伴のお父さんの話によると,A君は野外活動に強い興味を持っているということで,こうした手作業で汗を流すのをちっとも苦にしないとか。「水がないところでキャンプするときは,遠くから水を汲んで来なくてはなりません。そうした苦労を子にさせておきたいのです。火を起こすのも同じです」とも。親の姿勢が子の育つ方向を左右する好例だとみました。A君は何度も何度も試みて,ついに成功したのです。“追求の鬼”の萌芽が見えました。
その3。K君(小4)。この日のイベントに参加しようと,遠くから来てくれました。昨年,わたしが別の会場で出展したブースで摩擦式発火法に何度も挑戦したそうです。それを聞いて感激。今回もとことん挑み続けました。他のブースにも行きながら,客が少ないのを見て繰り返しやって来ました。そして,とうとう10回近くも発火に成功したのでした。K君のこころに,個性的な芯を感じました。これも“追求の鬼”の萌芽でしょう。
「これなら,もしかするともっと豊かな体験をプレゼントできるのではないか」。そう思い,一週間後に別の会場で行われる科学の祭典に,ボランティア参加してはどうかと提案してみました。「K君なら,お客さんに喜んでもらうことをたのしめる筈。それに,発火法のコツがもっと見えてくるよ。時間があれば,2時間でも3時間でもいいからいらっしゃい」と伝えたのです。それでK君はもちろん,ご家族からも前向きの返事をいただきました。
その4。発火に成功したいちばん小さな子は小学校1年生でした。使ったのは合金フリントで,発火しやすい金属です。たとえそうであれ,驚きました。
終わって一日を振り返ったとき,科学の芽を育てるための種を少しは蒔けたのではないかと感じました。心地よさの広がる気分! ハッピー!