自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ツマグロヒョウモンの幼虫と,産卵行動

2013-07-13 | ツマグロヒョウモン

7月13日付けでシオヤアブを取り上げました。それを見かけた公園で,ツマグロヒョウモンのメスを見ました。その飛び方は敷地に引き寄せられているみたいで,この範囲から出て行くといった感じはしませんでした。

それを見て,ここで産卵していることはまちがいないだろうと思いました。

しばらくしてまたそこを通りかかると,チガヤの葉に黒い幼虫のようなものが数匹,あちこちに付いているのが目にとまりました。それで,何だろうと思って確かめに行くと,ツマグロヒョウモンの幼虫でした。葉の下の地面には,スミレの葉がたくさんありました。下写真にも写っています。これを食して,何かがあってチガヤに登ってきたのでしょう。

撮影していると,成虫がまた目に入りました。今度は後をそっと追ってみました。驚いたことに,ときにはわたしの足元のスミレに産卵しました。それに,わたしの靴先にとまったのです。警戒心のない成虫だなあと,ほんとうにびっくり!

成虫は今年の一化目の個体です。幼虫はたぶん,二化目のものでしょう。

公園でこうした営みが続いていることを知る人は稀でしょう。身近な自然環境とは,そんなものです。『見れども見えず』は関心が向かなかったり,目が向くきっかけがなかったりする場合にピッタリのことばです。こころや目が向くと,どんなにかたのしいか,お伝えしたいですね。

 


ウマノスズクサの花(続々)

2013-07-13 | 花と実

7月10日(水)午前7時。見ると,萼が開いて,ラッパ状の花が開いていました。ついに,第一号が我が家で開花! 入口の色といい,毛の生え具合といい,昆虫を招き入れる巧みな戦略なのだなと感心しながら撮影。

焦げ茶色が入口周辺を彩っています。その色を目印に,昆虫が訪れ,奥を目指します。毛は,虫が入ると出にくい向き,つまり逆さに生えています。長い生物史のなかで,ウマノスズクサがこうしたかたちを獲得した知恵には舌を巻いてしまいます。

この花,もしかすると朝開く性質をもっているのかもしれない,と思いながら見ていると,偶然どこからともなく小さな小さなハエが近づいてきました。そうして,花の周りをぶんぶん飛び回りました。すごい速さ! わたしにはブヨの大きさに見えました。

写真に撮れるチャンスが訪れたらなあと思った瞬間,入口に止まることなく,さっと奥に入ってしまったのです。一瞬のことで,何が起こったのかさっぱりわからないといった感じでした。奥から出ている匂いか,色に誘われ奥に導かれて行ったのでしょう。嗅覚のよさに合点。よほど魅力的だったのでしょう。匂いを嗅いでみましたが,わたしにはわかりませんでした。

これで受粉がうまくいくはず。

先ほど朝開花するのかも,と書きました。早朝なら風がほとんどなく,匂いを辺りに効率よく漂わせることができます。それにしても,早くからしっかり活動している昆虫がいることに驚きます。

ところで,中に入った昆虫はどうなるか,です。逆さ毛のせいで出られなくなるのでしょうか。調べてみると,そうでもなさそうです。なかにはそれでおしまいという例もあるでしょうが,ほとんどの場合は花の巧みなしくみのお蔭で出て来られるのです。

ウマノスズクサは雌蕊先熟型で,オシベに取り囲まれたメシベは一足先に熟します。そこに昆虫がやって来て吸蜜。その際,他の花から運ばれて来た花粉が付いて受粉が行われます。完了してしばらくすると,逆毛は萎び,昆虫はほとんど苦労なく出て行けるとか。

雌蕊先熟型なのは,たまたまこの花の特性であり,たとえ雄蕊先熟であっても理屈は同じです。こうした戦略は,この草が近親結婚を避けて,多様な遺伝子を種に残し,たくましく生き残ろうとしている姿なのです。こう思って改めてウマノスズクサを眺めると,そのえらさに「ほほう!」と感じ入らざるを得ません。