伊東市で開催されたワイズメンズクラブ東日本区大会に出席した折、知人に薦められて立ち寄ったのが東海館であった。
木造三階の重厚な日本建築である。
昭和3年に温泉旅館として築造された建物であるが故あって伊東市に寄贈され現在は「伊東温泉観光・文化施設」として活用されている。
この建物の佇まい触れた時、私の近くに10年ほど前まで現存していたある温泉旅館を思い出した。
昭和の初期 片倉製糸社長により建築された瀟洒な鉱泉別荘 霞山荘で、後に天皇皇后を始め多くの皇族を迎え由緒ある旅館となる。
しかしながら 片倉財閥の財力を惜しみなく投じた昭和の名建築も、老朽化により2004年9月人知れず取り壊されてしまった。
後世に残すべき昭和建築の名作は永久に消滅した。
建造物は個人の所有を越えた文化遺産である。「壊すことは簡単だけれど、それを復活することは不可能だ」これはワイズの友人仙洞田さんの重い言葉である。
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