皆既月食

昨夜　会合が終わって外に出ると、雲の切れた空に、赤黒い皆既月食の月が影のようにぼんやり上がっていた。
予報によって月食の観察はあきらめていたからうれしくなった。
酔いも後押しして、月の下の我が家を目指して、引かれるように歩き始めた。
ネオンの市街地を後に、住宅地を抜け、穂が出揃った広い水田地帯に出る。
直線の農道を涼しい風に吹かれて月の影に話しかけながら歩く。
やがて赤黒色のお盆の左下が輝き、細いすじのような月が現れ、徐々に大きくなった。
約５Kｍの道のりを７０分かけて歩き、じっくり観察できた。
皆既から復活までを通した観察は今回が初めてのことである。
朝　サギ草が１輪咲いていた、壮大な宇宙のドラマに遭遇した幸運な花である。