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季節の移ろいに写真を添えて発信します。

すがれ追い

2006年09月01日 | 季節の便り
ニラの花が咲くと「すがれ追い」を思い出す
「すがれ追い」とは黒スズメバチの幼虫(蜂の子)を求めて、地中に多層造営された巣を探すスポーツである。
蜂の子と聞くと眉をひそめる向きも多いだろうが、しかし その美味なることは、今は亡き昭和天皇が地方巡幸の折、食膳の蜂の子を召し上がり、一言「これはうまい」とおおせられたとか、当地に伝わる伝説である。
肉食の育ち盛り大集団を養うために、働き蜂は常に貪欲に狩を続ける。
「すがれ追い」は小さな白い標識をつけた肉片を蜂に抱かせ、巣に向かって標識をなびかせて飛び立つ蜂を追いかける。
空を飛ぶ青空に溶けてしまいそうな小さな標識に全神経を集中し、両足はただひた走る。
野を越え、畑地を蹂躙し、小川を蹴散らし、茨を駆け抜ける、その時心は風になる。
 近頃驚くほど黒スズメバチが減って、狩をする彼らの姿を見る事ができなくなった。
だから蜂追いに興じる子供も大人も絶えた。
それでも思い出す時は風になる。
コメント (3)
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