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屯田物語

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詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺<ヤキトーキビ>

2021年11月15日 | 琴しぐれ
<ヤキトーキビ>

街角の屋台で買った
二本のヤキトーキビに
その人はいたずらっぽく笑った
道行く人が振返って見ても
その人はいたずらっぽく笑った
小さな小さな冒険に
ヤキトーキビの香ばしさ

木枯し吹く夜道に
一本のヤキトーキビの温もりが
両手より腹中に沁み渡る
その人のあどけない望みの
小さな小さな冒険は
いたずらっぽい笑顔で
白い歯を一層美しくさせた

屋台のヤキトーキビにも
その人の秘めた夢がある
木枯し寒き夜道には
小さな温かさがいる
ヤキトーキビの温かさである

そしてそれは恋である
一本のヤキトーキビにも
恋が秘んでいる
私の気付かぬ事 それを
その人は知っていたのだ