故郷の電車 2019年12月21日 | 春を呼ぶ朝 大村正次著「春を呼ぶ朝」―故郷の電車― 故郷の電車 故郷の電車には やはりみおぼへのある顔がならんてゐた。 みんなすこしづゝ老け てんでんの生活に赤黒く汚れてゐた。 故郷の電車には かって教へた女の子が 美しくなり あかんぼ抱いてうつむいてゐた。 故郷の電車には 颯爽として一直線に 忘れかけた懐かしい 思ひ出の風景が走ってゐた。