らんかみち

童話から老話まで

昔のブランド米よ今一度

2011年09月04日 | 酒、食
 米所ではないけれど、当地だって水田はあるし販売のために稲作をしている農家もあります。聞くところによると「夢つくし」という品種が多いそうですが、先日いただいたのは「松山三井=まつやまみい」という晩稲でした。
「コシヒカリとかの早場米は良い値で売れるんですよ。だから晩稲を作付けする人は少なくなりました。と、松山三井をくれた人はおっしゃるんですが、恥ずかしながらこの名前を初めて聞きました。

 テレビとかでコシヒカリやササニシキなどのブランド米がいかにして誕生したか、といった秘話をストーリー仕立てにして見せてくれますが、米屋さんは笑っているんじゃなかろうか。「米を美味しくするってのは、ブレンドの技術なんだよ」なんてね。
 数年前に「事故米不正転売事件」というのが発覚して、米というのはブレンドされているんだと知ったわけですが、ブレンドされない米もあって、その一つが松山三井なんです。

 もちろん自家消費として栽培された米だからというのもありますが、松山三井という品種は粒が大きいので他の品種と混ぜたら分離してしまうそうです。
 米袋の中で均一に混ざらないというのならまだしも、炊きあがって大粒と小粒に分かれていたら、巨人の星の星一徹でなくても飯台をひっくり返したりしませんか、いやぼくはしませんが……。

「コシヒカリに比べたら粘りの点で劣りますが、味はコシヒカリを凌いでいると思います。なのに消費者の好みの変化もあって、酒米としての消費が多いようです。大粒なので倒伏のリスクも高いですしね」
 そうなんだ、山田錦や五百万石といった酒造好適米も大粒だけど、食べて良し醸して良しのお米って他に知りませんでした。

 そうとなれば松山三井で仕込んだ、その名も「松山三井 無濾過」純米吟醸を発注してみました。う~ん、スッキリとしてなおかつ強さは感じるものの、華やかさには欠ける印象はあります。コシヒカリのお酒もあるけど、やっぱ山田錦の芳醇に軍配を挙げたいと思います。そうはいっても2500円ほどでこの味ならお勧めですよ。