らんかみち

童話から老話まで

叔母を悼みつつ干す梅のからさよ

2013年08月09日 | 暮らしの落とし穴


 時季外れに梅を手に入れたので梅干しにしたけど、結論からいえば大失敗だった。梅干しじゃなく梅酒に向いている梅だった。「シロップにどうぞ」というポップのいうことを素直に聞いておけば良かったと悔いている。

「梅酢が上がらない梅は肉が硬いのよ。小さくて種が大きかったでしょ、梅酒用なのね」と、料理上手なお婆ちゃんが解説してくれた。
 梅酢が上がらなかったので、初回に漬けた塩分20パーセントの梅酢を追加した。梅酢はルビー色の染まったから紫蘇に問題は無いと思うけど、いつまで待っても梅が染まってくれない。

 今回は失敗だと認めたし原因も分かったんだから、この梅は放置プレイにでもして前を向いて歩き始めよう、とは思うんだが、出来ない性格なんだ。普通の倍くらいの時間をかけて干せば、もしかしたら果肉や皮が軟らかくなるんじゃないかな?
 結末は見えている。経験者のお婆ちゃんがいうんだから間違いなかろう。よしんば軟らかくなったとしても、美味しい梅干しに出世したりはせんのだ。

 亡くなった叔母の遺品整理は進捗した。ゴミを整理しつつ、生前にああしてあげれば良かった、こうしておけばと、叔母をいくら悼んだとて生き返ることはない。だったら業者にでも任せてさっぱりすれば良いようなもんだが、写真や手紙が出てくるたびに処分で悩む。
 ご近所さんが「手伝ってあげるよ」と申し出てくれるけど、汚屋敷なもんでねぇ……梅干し同様、しばらく悪あがきをしてから結論を出したいと思う。