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北海道美術ネット別館

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■「オホーツク幻想」 篠木輝子とその仲間たち展 (2013年10月31日~11月5日、札幌)

2013年11月04日 12時42分08秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 道内地方都市のうち、道央や旭川の美術作家はちょくちょく札幌で展覧会を開きますが、北見をはじめとするオホーツク地方の人の発表はめずらしいです。もともと作家が少ない上に、距離の遠さが原因でしょうが、筆者がひそかに思うには、オホーツク地方の人はそもそも発表することにあまり力を注いでないのではないかという気もします。北見では、個展やグループ展を開いたり、見に行ったり、という習慣が(一般市民はもちろん美術好きの間にも)根付いてないように、住んでいて感じました。12万人もいるのになあ。

 それはさておき、篠木輝子さんは、北見市役所のすぐ裏手で画廊喫茶を経営する女性で、2005年にも札幌で個展を開いています。だいぶ前から筆のかわりにスプレーを画材に用いています。
 また、上のようなことを書いたのは、北見に3年あまり住んでいたにもかかわらず、塚本靖さんの絵を初めて見たからです(存在すら知らなかった…)。たしかな技量の持ち主とお見受けしましたが、地元ではほとんど発表していないのではないでしょうか。
 今回は、滝沢朝子さんを含め、3人が絵画を発表しており、オホーツク地方の風土をよく伝える展覧会となっています。
 そして、会場では、創作した詩などを朗読したテープを聴くことができます。視覚だけでなく、言葉や音も、展覧会の要素になっているのです。

 まず、篠木さん。



 「オホーツク幻想 旅情」3点セット。
 サロマ湖に沈む夕日や、流氷をイメージしています。
 ついこないだまで、近くに住んでいた筆者としては、なかなか胸に迫るものがあります。
 表面には鏡の破片を貼って白を塗り、流氷の輝きを表現しています。色数が少なくシンプルなところがいいです。

 また、「銀の蝶」では、チョウの形に切り抜いた紙をいくつも貼り付けるなど、さまざまな技法を用いています。




 おなじく篠木さんの「オホーツク幻想」シリーズから「春の月」「冬の夢」など4点を、絵と絵の間隔を詰めて展示しています。
 当初は、1点ずつ離して壁に掛ける予定だったそうですが、壁面の都合で、こういう展示になりました。しかし、絵巻物風で、これはこれでよかったと思います。北国の四季が、象徴的に表現されています。




 滝沢朝子さんの「飛翔 三部作」。
 こちらも、スプレーで絵の具を噴射して、絵にしています。




 塚本さんは絵画9点と陶芸1点を出品しています。
 この作は「望郷」。
 北海道のどこにでもありそうな風景を、青紫色を全体に配して、幻想的に仕上げています。




 左は「望郷」、右は「9才、延」。
 こちらの「望郷」は、北見市若松の風景が題材です。晩秋あたりでしょうか、鮮烈な夕日が家や畑を照らす瞬間を、劇的な色彩でとらえています。

 最後に、道新ぎゃらりーのサイトから、今回の展覧会の趣旨を引用しておきます。

 油絵。アクリルスプレー。音楽。詩。朗読などさまざまな角度から、オホーツクを表現したいと実験的な会場を構築してみました。
 オホーツクのもつ「幻想」を感じてください!

篠木輝子/スプレー絵画・詩(画廊喫茶薔薇館店主、「風のメロディ」主宰)
滝沢朝子/スプレー絵画・詩・朗読(クロッセ・ジャパン副社長)
塚本 靖/油絵(北見道文化センター講師)
筑田美香子/詩・朗読(「風のメロディ」同人)
矢口 誠/BGM(「青い花」主宰)


 「風のメロディ」というのは、実際にそういうアトリエの建物があるのではなく、篠木さんとその仲間というぐらいの意味のようです。
 篠木さんたちは、2年後に再びここで展覧会を開く予定で、早くも「次」に向けて張り切っていました。


2013年10月31日(木)~11月5日(火)午前10時~午後7時(最終日~午後5時)
道新ぎゃらりー(中央区大通西3 北海道新聞社1条館 道新プラザ内)



□篠木輝子の世界 http://mami323.com/

篠木輝子展 (2005年)


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