
ツイッターなどでは話題になっていないが、どこかのギャラリーに置かれていた案内状(冒頭画像のポスターと同じデザイン)が気になって出かけた。
作品はわずか6点。ちなみに、案内状の作品はない。いずれも、朱色と灰色の刺繍である。灰色の糸はどうやら髪の毛のように見えるが、題も説明書きもないので正確なところはわからない。
刺繍の跡を目で追うと、作者の行為の痕跡といった感じを強く受ける。日々の営みや自らの精神の軌跡が、無言で刻まれているようなのである。
そもそも、喫茶店の入口に看板なども掲げられていないし、さして広くない店内の片側の壁に、刺繍が施された長袖Tシャツやドレスが掛かっているだけなので、この店に初めて来た人はそもそも個展が開かれていることに気づかない可能性すらある。
6点のうち、一番窓に近いほうの1点だけが、衣服ではなく大きな布に刺繍で描かれた裸婦像。絵で言えば、80号ぐらいはあるだろうか。具体的な像を描いているのもこの1点のみだ。
刺繍なので、リアルな感じではない。そして、周囲の空間にも赤と灰色の糸による雲のような塊が点在しているので、視線はいつまでもそれを追って、なかなか離れられない。
このことからだけでも、この作者のただならぬ力量と、繊細な神経とが感じられたのだが、いかんせん手がかりがなさすぎる。
案内状にはつぎのような言葉が印刷されている。
そして、昨年山口と京都で開かれ、札幌のあとは高知と東京(代沢の「ラ・カメラ」で2月15~17日)を巡回することが記されている。
あとで調べたら、1997年と2000年にギャラリーたぴおで、08年に temporary space で個展を開いているほか、98年に道立近代美術館で開かれた「一原有徳・版の世界」の際には、協賛する2人展を岡部昌生さんとともにtemporary space(このときはまだ北4西27)で開いているのだ。
97年の個展は、北海道新聞文化面に次のように紹介されていた(1月9日夕刊)。
どなたか、筆者に感想を聞かせてほしい。
この神経の震えは、なぜか気になってしまうのだ。
2023年1月28日(土)~31日(火)午前11時~午後5時。5時から8ミリフィルム「DNA日記」上映
多目的喫茶店 アイビィ(札幌市中央区北1西18 市田ビル2階)
※お店は水、木、金曜休みです
・地下鉄東西線「西18丁目駅」から約320メートル、徒歩5分
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「道立近代美術館」から約180メートル、徒歩3分
・市電「西15丁目」から約820メートル、徒歩11分
・ジェイ・アール北海道バス「桑8 桑園円山線」の「大通西18丁目」から約350メートル、徒歩5分
・ジェイ・アール北海道バス「54 北5条線」「58 北5条線」の「北5条西17丁目」から約520メートル、徒歩7分
過去の関連記事へのリンク
共振する空間展3 (2001、画像なし)
参考リンク
artscape の、1998年の「ICHIHARA MATRIX」展評
栄通記の「中岡りえ展 『DNA DIRARY 1902-2008』」
作品はわずか6点。ちなみに、案内状の作品はない。いずれも、朱色と灰色の刺繍である。灰色の糸はどうやら髪の毛のように見えるが、題も説明書きもないので正確なところはわからない。
刺繍の跡を目で追うと、作者の行為の痕跡といった感じを強く受ける。日々の営みや自らの精神の軌跡が、無言で刻まれているようなのである。
そもそも、喫茶店の入口に看板なども掲げられていないし、さして広くない店内の片側の壁に、刺繍が施された長袖Tシャツやドレスが掛かっているだけなので、この店に初めて来た人はそもそも個展が開かれていることに気づかない可能性すらある。
6点のうち、一番窓に近いほうの1点だけが、衣服ではなく大きな布に刺繍で描かれた裸婦像。絵で言えば、80号ぐらいはあるだろうか。具体的な像を描いているのもこの1点のみだ。
刺繍なので、リアルな感じではない。そして、周囲の空間にも赤と灰色の糸による雲のような塊が点在しているので、視線はいつまでもそれを追って、なかなか離れられない。
このことからだけでも、この作者のただならぬ力量と、繊細な神経とが感じられたのだが、いかんせん手がかりがなさすぎる。
案内状にはつぎのような言葉が印刷されている。
遺伝子のもつれに翻弄され
時がすぎようが 彼方にむかおうが
偶然の産物として生まれた遺伝子に 抗えば争うほど
無意識にもつれむすびあい 生みうまれることに翻弄される
降り注がれるいろが重なり合うことで
表にもなり裏にもなる
そして、昨年山口と京都で開かれ、札幌のあとは高知と東京(代沢の「ラ・カメラ」で2月15~17日)を巡回することが記されている。
あとで調べたら、1997年と2000年にギャラリーたぴおで、08年に temporary space で個展を開いているほか、98年に道立近代美術館で開かれた「一原有徳・版の世界」の際には、協賛する2人展を岡部昌生さんとともにtemporary space(このときはまだ北4西27)で開いているのだ。
97年の個展は、北海道新聞文化面に次のように紹介されていた(1月9日夕刊)。
高知県生まれでニューヨーク在住の中岡りえさんが、札幌で三回目の個展を開いている。ニューヨークの街角で拾った古い家具、廃材、枯れた木の実などで作ったオブジェが置かれ、その間に、彩色された引き出しなどが壁に掛けられている。
中岡さんは二十五日までの会期中に、木の実の配列を変えたり、チョークで廃材に線を引くなどして、微妙に展示内容を変えていく予定で、流れていく時間の経過を表現しようとしている。(以下略)

どなたか、筆者に感想を聞かせてほしい。
この神経の震えは、なぜか気になってしまうのだ。
2023年1月28日(土)~31日(火)午前11時~午後5時。5時から8ミリフィルム「DNA日記」上映
多目的喫茶店 アイビィ(札幌市中央区北1西18 市田ビル2階)
※お店は水、木、金曜休みです
・地下鉄東西線「西18丁目駅」から約320メートル、徒歩5分
・ジェイ・アール北海道バス、中央バス「道立近代美術館」から約180メートル、徒歩3分
・市電「西15丁目」から約820メートル、徒歩11分
・ジェイ・アール北海道バス「桑8 桑園円山線」の「大通西18丁目」から約350メートル、徒歩5分
・ジェイ・アール北海道バス「54 北5条線」「58 北5条線」の「北5条西17丁目」から約520メートル、徒歩7分
過去の関連記事へのリンク
共振する空間展3 (2001、画像なし)
参考リンク
artscape の、1998年の「ICHIHARA MATRIX」展評
栄通記の「中岡りえ展 『DNA DIRARY 1902-2008』」