「郡」は、都道府県と町村の間に記される地名です。
市町村のうち、市は郡に属しませんが、町や村はすべて、いずれかの郡に所属します。
郵便番号簿などは郡の順番に並んでいます。その町村が何という郡に属しているのかを知らないと、郵便番号もすぐにはわかりません。行政文書なども正式には「○○郡▲▲町」となります。
しかし、北海道では、新聞やテレビの気象情報でも、総合振興局・振興局(以前の「支庁」)単位による地域分けが主流で、日常的には、郡はあまり使われていません。
このブログも、郡名はまったくと言っていいほど記しません。北海道新聞や道内テレビ局も「●●管内▲▲町」というような表記が主流です。
なぜか。
三つの理由が考えられます。
一つは、郡名を聞いてもかなりの確率で、それがどこの地方のことか分からないからです。
例を挙げると、大空町、美幌町、津別町は網走郡に属しています。
これは分かりやすいですよね。郡名が分かれば
「ああ、網走のほうなんだ」
とすぐに納得できます。
しかし、こうしたケースは、道内ではむしろ少数です。
たとえば、芽室町、中札内村、更別村は1町2村で「河西郡」を構成していますが、「かさいぐん」と聞いて、どこにあるかピンとくる人がどれだけいるでしょうか。
河西郡は十勝管内にあるのです。
二つめは、その郡に一つの町村しかない場合がかなりあること。
「増毛町って、どこにあるんだっけ?」
「増毛郡だよ」
「増毛郡? ほかにどんな町村があるの?」
「増毛町だけだよ」
これではけんかになりかねません(笑)。
郡名を聞いても、けっきょくその町村がどこらへんにあるのかを知るためのヒントに、全くならないからです。
ちなみに増毛町は留萌管内です。
同様の例は、白老郡(胆振管内白老町のみ)や島牧郡(後志管内島牧村のみ)、様似郡(日高管内様似町のみ)など、道内各地にあります。
増毛の場合はまだ良いほうです。
「磯谷郡」には、後志管内蘭越町しかありません。
「爾志郡」は檜山管内乙部町だけです。
「目梨郡」は根室管内羅臼町のみで構成されています。
いずれも、郡名をきいても、かえって所在地がわかりづらくなるような、なじみのない地名ばかりです。こうした例は少なくありません。
山越郡にいたっては、渡島管内長万部町しか属していないのですが、郡名の元となった「山越」地区がある同管内八雲町は、2005年に山越郡を脱して新たに二海郡を設けています。
また、檜山管内には「瀬棚郡」がありますが、せたな町は瀬棚郡ではなく、久遠郡です。
瀬棚郡に属しているのはいまは今金町だけになっています。
三つめ。
これがけっこう重要だと思うのですが、道内には、おなじ郡名で違う郡、というのが存在するのです。
ややこしい話ですが、解説しましょう。
地図を見ると、十勝管内の清水町や新得町は「上川郡」となっています。
また、上川管内の上川町や東川町など、旭川周辺の8町も「上川郡」です。
しかし
「そうか~。大雪山系や狩勝峠を越えておなじ郡が広がっているのか」
などと思ってはいけません。
清水や新得の上川郡は、あくまで「十勝国」の上川郡であり、上川町や東川町など8町は「石狩国」の上川郡なのです。
さらにいえば、上川管内の和寒、剣淵、下川の3町も上川郡ですが、これは「天塩国」の上川郡です。
知らない人が地図をみれば、旭川周辺の11町がおなじ上川郡に属しているように思って当然なのですが、じつは違う上川郡なのです。
同様の例として、十勝にも上川にも「中川郡」があります。
前者には豊頃や池田など4町が属します。
後者は天塩国の中川郡であり、美深、音威子府、中川の2町1村が属します。
というわけで、北海道では、郡名はなじみが薄いだけではなく、かえって混乱を招きかねないのです。
北海道美術ネット別館が使わないゆえんです。
市町村のうち、市は郡に属しませんが、町や村はすべて、いずれかの郡に所属します。
郵便番号簿などは郡の順番に並んでいます。その町村が何という郡に属しているのかを知らないと、郵便番号もすぐにはわかりません。行政文書なども正式には「○○郡▲▲町」となります。
しかし、北海道では、新聞やテレビの気象情報でも、総合振興局・振興局(以前の「支庁」)単位による地域分けが主流で、日常的には、郡はあまり使われていません。
このブログも、郡名はまったくと言っていいほど記しません。北海道新聞や道内テレビ局も「●●管内▲▲町」というような表記が主流です。
なぜか。
三つの理由が考えられます。
一つは、郡名を聞いてもかなりの確率で、それがどこの地方のことか分からないからです。
例を挙げると、大空町、美幌町、津別町は網走郡に属しています。
これは分かりやすいですよね。郡名が分かれば
「ああ、網走のほうなんだ」
とすぐに納得できます。
しかし、こうしたケースは、道内ではむしろ少数です。
たとえば、芽室町、中札内村、更別村は1町2村で「河西郡」を構成していますが、「かさいぐん」と聞いて、どこにあるかピンとくる人がどれだけいるでしょうか。
河西郡は十勝管内にあるのです。
二つめは、その郡に一つの町村しかない場合がかなりあること。
「増毛町って、どこにあるんだっけ?」
「増毛郡だよ」
「増毛郡? ほかにどんな町村があるの?」
「増毛町だけだよ」
これではけんかになりかねません(笑)。
郡名を聞いても、けっきょくその町村がどこらへんにあるのかを知るためのヒントに、全くならないからです。
ちなみに増毛町は留萌管内です。
同様の例は、白老郡(胆振管内白老町のみ)や島牧郡(後志管内島牧村のみ)、様似郡(日高管内様似町のみ)など、道内各地にあります。
増毛の場合はまだ良いほうです。
「磯谷郡」には、後志管内蘭越町しかありません。
「爾志郡」は檜山管内乙部町だけです。
「目梨郡」は根室管内羅臼町のみで構成されています。
いずれも、郡名をきいても、かえって所在地がわかりづらくなるような、なじみのない地名ばかりです。こうした例は少なくありません。
山越郡にいたっては、渡島管内長万部町しか属していないのですが、郡名の元となった「山越」地区がある同管内八雲町は、2005年に山越郡を脱して新たに二海郡を設けています。
また、檜山管内には「瀬棚郡」がありますが、せたな町は瀬棚郡ではなく、久遠郡です。
瀬棚郡に属しているのはいまは今金町だけになっています。
三つめ。
これがけっこう重要だと思うのですが、道内には、おなじ郡名で違う郡、というのが存在するのです。
ややこしい話ですが、解説しましょう。
地図を見ると、十勝管内の清水町や新得町は「上川郡」となっています。
また、上川管内の上川町や東川町など、旭川周辺の8町も「上川郡」です。
しかし
「そうか~。大雪山系や狩勝峠を越えておなじ郡が広がっているのか」
などと思ってはいけません。
清水や新得の上川郡は、あくまで「十勝国」の上川郡であり、上川町や東川町など8町は「石狩国」の上川郡なのです。
さらにいえば、上川管内の和寒、剣淵、下川の3町も上川郡ですが、これは「天塩国」の上川郡です。
知らない人が地図をみれば、旭川周辺の11町がおなじ上川郡に属しているように思って当然なのですが、じつは違う上川郡なのです。
同様の例として、十勝にも上川にも「中川郡」があります。
前者には豊頃や池田など4町が属します。
後者は天塩国の中川郡であり、美深、音威子府、中川の2町1村が属します。
というわけで、北海道では、郡名はなじみが薄いだけではなく、かえって混乱を招きかねないのです。
北海道美術ネット別館が使わないゆえんです。