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北海道美術ネット別館

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■カワシマトモエ 絵と工作展 (2018年6月27日~7月15日、札幌)

2018年07月13日 22時46分00秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 カワシマトモエさんは札幌の画家。最近は毎年、ギャラリーミヤシタで個展を開いている。
 ことしも1階と2階の両方を使って、絵画や立体、プラ板などを所狭しと並べていて楽しい。
 冒頭画像で、大きくて目立っている絵は、左が「みかんのにおい」。中央奥が「雨ツアー」、右が「宇宙ひつじ」。
 そのあいだに、レインコートの形に切り抜かれた支持体がちりばめられている。

 2階も「ぶらりんりんご」のシリーズが上からつり下げられ、「キューブ絵」が台上に置かれているなど、ふつうの絵画展に比べにぎやかな雰囲気に満ちている。

 ただ、画像ではわからないかもしれないが、全体からは雨粒のイメージが強く伝わってくる。

 カワシマさんは
「雨が降っているのを見たり、雨音を聞いたりしているのが好きな子どもだった」
と言う。
 最近は、ヒツジや果物をテーマにした絵が続いたけれど、もともとは雨の絵が多かったのはたしかだ。

 ちいさな果物がひとつの宇宙を宿しているように、ちいさな雨のしずくを見ると、そこには周囲の全風景が凝縮されている。

みかんのにおい
かいでいると
世界を かんじて
おおきな 宇宙に
わたし
ちいさな 世界に
宇宙


 会場の入り口に掲げてあった作者のことば。

 ひつじも果物も、そして雨粒も、ちいさなひとつの宇宙なんだと思う。


 カワシマさんの個展の期間中は、雨がちの日が続いた。北海道に颱風が襲来し、西日本では記録的な大雨被害が出た。

 今は雨が降ると傘を差して出勤し、ビルの中で働く人が多いが、もともとは人間は雨の日は、農作業や漁ができないから室内でもできる作業をこなし、あとは休んで、ぼんやりと雨音に耳を澄ませていたのだろう。
 ゆったりと時間が流れていくなか、脳裡には過去のことがよぎったり、遠くの国のことが想像されたりしていたに違いない。

 筆者も、カワシマさんの作品を眺めていると、トタン屋根に当たる雨の音や、湿った舗道のにおいが思い出されてくる。
 それはだれの絵や美術作品でもあることではない。
 どうして彼女の作品だと、昔を思い出してしみじみと、あるいは心がざわざわとするのだろう。
 たぶん、彼女の心の有りようが、そういう緩やかさを持っているからだろうと思う。 

 静かに、時間がすぎていく。


2018年6月27日(水)~7月15日(日)正午~午後7時(最終日~5時)、月曜休み
ギャラリーミヤシタ(札幌市中央区南5西20)

□Tomoe Kawashima website tkraindropamekaba.jimdo.com/

カワシマトモエ個展(2014年、画像なし)
カワシマトモエWORKS (2013)
カワシマトモエ個展 イツデモソラ (2011)
果実のある部屋(2008年)=画像なし
カワシマトモエ展(2007年)=画像なし
カワシマトモエの絵「まるい実」(2007年)
Visual Poetry in Sapporo 2002 +
クリスマステン(2000年)=12月20日の項






・地下鉄東西線・西18丁目駅から約690メートル、徒歩9分

・市電「西線6条」から約820メートル、徒歩11分。同「西15丁目」から約1キロ、徒歩14分(「西15丁目」電停は、地下鉄東西線「西11丁目」または「西18丁目」で乗り継ぎができます)

・ジェイアール北海道バス「53 啓明線」(JR札幌駅、大通西4-西11丁目駅-啓明ターミナル)で「南3条西20丁目」降車、約330メートル、徒歩5分
・ジェイアール北海道バス「51 啓明線」(同)で「南6条西16丁目」降車、約580メートル、徒歩8分


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