
札幌在住の全道展会友で、行動展にも出品している松木さんの個展。木をモティーフに、樹木の持つ生命エネルギーを感じさせる大作から、高校生のときに初めて描いた油絵までが並んでいます。
「環境破壊がすすんでいる現状に対し、自然の声なき声を描く-という意味合いもありますが、やはり木のもっている生命感を第一に描いていきたい」
冒頭の画像は、右側が「生命の樹」(F150)、左が「新生」(同)。
「生命の樹」が直線主体にまとめられているのに対し、「新生」は勢いのある曲線が特徴です。
背景には、深みをたたえた青緑を主に、さまざまな色がちりばめられ、画面を単調なものにしないようにという作者の苦心の跡がうかがえます。

上記2作と同時に制作した「新生」(F130)。
マティエールが凝っていて、いちばん時間がかかりそうですが、じつは思い切ってすばやく描けたそうです。

右が「オリジン」(P150)、左が「蘇生」(F100)。
右は深みのある色調が印象的ですが、全道展のベテラン会員である鎌田俳捺子(ひなこ)さんの影響は否定できません。
松木さんも「鎌田先生はあこがれです。(80代になっても)進化しているのがすごいことですし、大変尊敬しています。」と話しておられました。
(※松木さんから申し入れがありましたので、22日、修正しました)

会場の反対側には「化身」と題したF120が3点、展示されています。
これまで述べてきた作品よりも少し前のもので、近作よりも木の描写が写実的です(といっても、実際にこんなに渦巻いている木があるわけではない)。
この作品を行動美術の選抜新人展に出品したところ、田中稔之さんから「もっと表現方法はないのかね」と言われたそう。
アドバイスの真意を確かめる間もなく、田中さんは先ごろ亡くなってしまいました。
しかし、近作が抽象的な方向を模索しているのは、その助言を受けてのことなのです。

こちらの「水深」はF30と比較的小さい作品ですが、微妙な色合いがひときわ魅力的です。
マティエールを出すために木工用ボンドで線をひいたり、日本画の顔料を用いるなどの試みをしているそうです。
構図的にも、直線と曲線の組み合わせが見事だと思いました。
その他の作品は次のとおり。
フィレンツェ F8
フィレンツェ F30
seed SM
氷華 F6
かすみ草 F10
貝殻 F10
早春 F6
早春 F8
川 F10
冬の陽 F6
化身 F30
館 F6
ブレス F130
「フィレンツェ」は高校時代の作品。
先生にほめられて、おなじ題で30号に描きなおし、学生全道展に出品したところ入賞、女子美大に入るきっかけになったそうです。
08年7月3日(木)-24日(木)10:00-17:00、日曜祝日休み
ギャラリー山の手(西区山の手7の6 地図K)
■04年の個展(画像なし)
最後の行で訂正をお願いします。
松木さんも「鎌田さんはあこがれです。(80代になっても)進歩しているのがすごい」
訂正文
松木さんも「鎌田先生はあこがれです。(80代になっても)進化しているのがすごいことですし、大変尊敬しています。」
ということばは
「誤りを正す」
という意味であり、わたしは間違ったことを書いたわけではないので、この場合は、こういう語を用いられるのはいかがなものかと思いますが、くだんの部分は手直ししておきました。
また、「進化」というのも、動物であるまいし-とも思いましたが、最近スポーツの分野ではときおり用いられているので(わたしは、これは誤用だと思いますが)、そのまま、表現をかえることにしました。