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北海道美術ネット別館

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■和田仁智義(にちぎ)展 (2014年11月10~15日、札幌)

2014年12月01日 01時23分45秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 今年は、札幌時計台ギャラリーで、何人かの十勝の画家たちが札幌初個展に挑んだ1年だった。
 仕掛け人の森弘志さん(は昨年だが)、渡邉禎祥展など、このブログでまだ紹介できていないことに、申し訳ない気分が募るが…。
 和田仁智義(にちぎ)さんも十勝管内芽室町の在住。美術文化協会、新道展の会員なので、毎年2回は札幌で発表してきたことになるが(美術文化は毎年、北海道支部展を同ギャラリーで開いているので)、札幌の個展は初めてである。
 おなじ新道展の藤野千鶴子さんと同時に個展、となる予定だったが、藤野さんのほうは遺作展になってしまった。

 今回は、1994年の小品から近作までを並べた。

 和田さんの絵画世界は、スケールが大きい。
 滝などがある一般の風景を大きく変容させて、ダイナミックなものに転換させている。

 今回でいえば、「転生 13」は、166×94センチを両翼に、166×130センチを中央に据えた、三連画の形式をとった大作である。
 このスタイルというだけで、なにか宗教的な、物語の要素を含んだ「なにか」が、壁面から感じられるのである。



 和田さんの技法で目に付くのが、絵の具が流れ落ちるさまである。
 滝の描写とセットになっていることもあれば、単に、おびただしいしずくが画面を縦断していることもある。
 もちろん、彼のオリジナルということはできないが、彼ほど多くの作品に取り入れている作家は、少なくても道内ではほかにいないと思われる。
 和田さんによれば、涙の暗喩であると同時に、「生命の救済」というような意味もこめている、ということであった。

 たしかに、タルコフスキーではないが、流れ落ちる水は、生命の存在を感じさせるものがある。


 それにしても、十勝地方は、札幌と旭川に次いで「現代美術」の活動が盛んな土地なのだが、いわゆる現代美術とは別の、団体公募展系の画家も数多くいるわけで、このわずか人口三十数万の土地の持つパワーって、いったいなんだろうと、あらためて思う。
 同じぐらいの人口規模を有するオホーツク、釧路・根室、道南にしても、それぞれいろいろな活動が行われていることは知っているが、それでもなお十勝の美術活動の盛んな様子には驚かざるを得ないのだ。

 なお、和田さんは、今年の美術文化協会展で最高賞を受賞した由である。


 出品作は次のとおり。
海に眠る(2011、12、14)
花降る海で眠りたい(12)
梨と蘭(03)
城のある風景(14=同題5点)
城のある風景(02)
転生(13)
流転(14)
秋(1994)


2014年11月10日(月)~15日(土)午前10時~午後6時(最終日~5時)
札幌時計台ギャラリー(札幌市中央区北1西3)


第41回美術文化北海道支部展 (2013)


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