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「中川一郎先生之像」 滝上町の野外彫刻(6)

2021年08月29日 10時03分51秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 中川一郎(1925~83)は農林相などを歴任した政治家です。
 出身地の十勝管内広尾町には彼の記念館があり、全身像が立っています。


 中川一郎は自らの派閥を起こし(ただし最初は規模が小さかったので「中川派」ではなく「中川グループ」と呼ばれていた)、総裁選にも挑むなど、自民党内でも風雲児的な存在でした。
 当時の北海道五区(定数5。十勝、釧路、根室、網走管内)では強い人気を誇り、あまりに強すぎて保守票の多くをかっさらってしまい、社会党がその間隙を縫うように3議席を得たこともあります。
 しかし、札幌のホテルで自殺したところを発見され、政界に大きな衝撃が走りました。
 晩年は酒を飲み過ぎていたという人もあれば、突然の死は疑惑が残るという人もおり、他殺説までが流れることになります。

 急死の後、息子の中川昭一氏と秘書だった鈴木宗男氏がともに衆院選に打って出て激しく争い、北海道の政界地図は複雑さを増していくことになります。

 というわけで、地盤でもないオホーツクの地に銅像が立てられていることは、中川一郎が道東全域で人気のある政治家だったことの裏付けといえるかもしれません。
 この像があるのは、郷土館の前というより、橋の前というべきかもしれません。橋の整備にあたって中川一郎代議士の力があったことは、滝上町長がこちらのサイトでチラっとふりかえっています。

 広尾の銅像が、右手を「ヨッ」と挙げるしぐさをしているのに対し、こちらは両手を下げています。

 道内全体で、国政の政治家の像は、それほど多くないような気がします…。


 裏面に短い碑文が刻まれています。
 出資した人の名も記されていました。

 氏は この地域の開発振興に大いに尽力されました
 仍って 地域住民の感謝の意を有志各位の浄財を以って銅像を建立し功績を後世に伝う




 奥に、渚滑しょこつ川にかかる「渓谷橋」の赤い欄干が見えています。

 橋の前には「たきのうえホテル渓谷」があり、渡るとすぐに「道の駅 香りの里たきのうえ」があります。




 足元のサインは
「Y. TABUCHI」
と刻まれています。
 誰なのかわかりませんが「彫刻家 田淵」でネット検索すると「田淵安信」さんという方がおられるようです。






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