
(承前)
さて、せっかくオホーツク地方随一の温泉郷に来たのだから、ひとっ風呂浴びていかないともったいない。
とくにこだわりはなかったのだが、無加川をわたり、大江本家というホテルに来る。
明治32年の創業というから、ここらへんの開拓が始まるか始まらないかという時代からある老舗だ。
温根湯には、大江本家と、温根湯ホテルという、おおきな宿が2軒あり、どちらも日帰り入浴を受け付けている。
(直接関係ないけど、大江本家のおかみさんは、留辺蘂商工会議所の会頭でもある)
大江本家は、美術好きにはおすすめできる。
館内のところどころに絵や彫刻があり、2階には小さいながら、所蔵の絵画を展示するギャラリーもあるのだ(写真を撮っていいかどうかわからなかったので、絵がはっきり見えないような角度で撮影してきました)。
これは、以前の経営者大江啓二さんが、画家でもあったためだろう。
1964年の全道展で奨励賞を受賞している。
1階のロビーには、若き日のマチ子夫人(現商工会議所会頭)を描いた大作が飾られている。
画風は、先日筆者が論じたような、いわゆる独立フォービズムというか、日本的フォーブといえそうだ。
ギャラリーに展示されていたのは、左の手前に見えるのが、原義行「少憩」。ほかに
田辺三重松 浜辺
大江啓二 鮭
ユトリロ 幻の村
大江啓二 鳥
小山田二郎 鳥女
居串佳一 海辺風景
山根 博 小鳥と少女
鷲見憲二 解氷の頃
藤井令太郎 白い椅子
吉川 勉 紙に墨デッサン
関 兵衛 静物
高橋北修 大雪山
静物
片岡球子 静物
大江啓二 花(百合)
紋別
屋上から(温根湯)
清水康雄 ムーラン・ルージュ
奥に見える胸像は「先代 大江四志太」。
原義行は全道展会員。戦前、オホーツク管内で教壇に立っていたらしい。
田辺三重松は行動美術と全道展の創立会員。日本的フォーブの代表的画家。函館出身。
小山田二郎は自由美術会員。
居串佳一は独立美術、全道展会員。網走出身で、網走市美術館に多く所蔵品がある。
鷲見憲二は元道展会員。北見画壇の長老として活躍中で、昨年、北網圏北見文化センターで回顧展が開かれた。
藤井令太郎は春陽展会員。この作品は、いすを擬人化したようなふしぎな絵だ。
高橋北修は全道展創立会員。旭川出身で、大雪山などをダイナミックに描いた。
清水康雄は留萌管内増毛町出身で、長くパリに住んだ。弦楽四重奏団やドン・キホーテ、ベネチアなどの絵で、三越などで個展を開いた。
片岡の「静物」は、酒びんなどが並んだ卓上を描いているのだが、マティエールがごわごわしていて、作者名を見なければまったく洋画のようだ。
大江の「屋上から(温根湯)」は、絵になる風景の中に住んでいた作者に思いをいたすことができる小品。「紋別」は、筆使いに動きと勢いがある。
(この項続く)
□大江本家 http://www.oehonke.com/
さて、せっかくオホーツク地方随一の温泉郷に来たのだから、ひとっ風呂浴びていかないともったいない。
とくにこだわりはなかったのだが、無加川をわたり、大江本家というホテルに来る。
明治32年の創業というから、ここらへんの開拓が始まるか始まらないかという時代からある老舗だ。
温根湯には、大江本家と、温根湯ホテルという、おおきな宿が2軒あり、どちらも日帰り入浴を受け付けている。
(直接関係ないけど、大江本家のおかみさんは、留辺蘂商工会議所の会頭でもある)

館内のところどころに絵や彫刻があり、2階には小さいながら、所蔵の絵画を展示するギャラリーもあるのだ(写真を撮っていいかどうかわからなかったので、絵がはっきり見えないような角度で撮影してきました)。
これは、以前の経営者大江啓二さんが、画家でもあったためだろう。
1964年の全道展で奨励賞を受賞している。
1階のロビーには、若き日のマチ子夫人(現商工会議所会頭)を描いた大作が飾られている。
画風は、先日筆者が論じたような、いわゆる独立フォービズムというか、日本的フォーブといえそうだ。
ギャラリーに展示されていたのは、左の手前に見えるのが、原義行「少憩」。ほかに
田辺三重松 浜辺
大江啓二 鮭
ユトリロ 幻の村
大江啓二 鳥
小山田二郎 鳥女
居串佳一 海辺風景
山根 博 小鳥と少女
鷲見憲二 解氷の頃
藤井令太郎 白い椅子
吉川 勉 紙に墨デッサン
関 兵衛 静物
高橋北修 大雪山
静物
片岡球子 静物
大江啓二 花(百合)
紋別
屋上から(温根湯)
清水康雄 ムーラン・ルージュ
奥に見える胸像は「先代 大江四志太」。
原義行は全道展会員。戦前、オホーツク管内で教壇に立っていたらしい。
田辺三重松は行動美術と全道展の創立会員。日本的フォーブの代表的画家。函館出身。
小山田二郎は自由美術会員。
居串佳一は独立美術、全道展会員。網走出身で、網走市美術館に多く所蔵品がある。
鷲見憲二は元道展会員。北見画壇の長老として活躍中で、昨年、北網圏北見文化センターで回顧展が開かれた。
藤井令太郎は春陽展会員。この作品は、いすを擬人化したようなふしぎな絵だ。
高橋北修は全道展創立会員。旭川出身で、大雪山などをダイナミックに描いた。
清水康雄は留萌管内増毛町出身で、長くパリに住んだ。弦楽四重奏団やドン・キホーテ、ベネチアなどの絵で、三越などで個展を開いた。
片岡の「静物」は、酒びんなどが並んだ卓上を描いているのだが、マティエールがごわごわしていて、作者名を見なければまったく洋画のようだ。
大江の「屋上から(温根湯)」は、絵になる風景の中に住んでいた作者に思いをいたすことができる小品。「紋別」は、筆使いに動きと勢いがある。
(この項続く)
□大江本家 http://www.oehonke.com/
いらっしゃって、
きっとこのギャラリーを
造られた方も喜ばれている
ことでしょう。
(このブログを、知ってるかな?)
ブログとツイッターで盛り上がり
上映が決まったアート系?の
映画が公開されます。
北海道でもシアターキノで上映。
「ハーブ&ドロシー」
↓ステキな美術が好きな夫婦の物語
http://herbanddorothy.com/jp/index.html
↓私をネットに引っ張ってくれた方のサイト
http://www.satonao.com/
監督は、映画の知識には乏しいのに
まずカメラを買いに走った日本女性。
ほぼ一人で撮影、制作。何そのパワー?
まずは、予告編をご覧下さい。
見れないけど(涙)
一歩一歩と足を止める程の絵画が館内を埋め尽くしていたと聞いています。
絵を鑑賞する常連客で賑わって、館内に常設の画廊では啓二前社長(前々ですか?)の絵も交渉次第では購入できたと聞きました。
苦学生や若手芸術家の彫刻などの製作も援助していて無名いや、今は有名かも知れぬ彫刻が沢山あると聞いています。
昔、温根湯梶浦医院の医院長があの街無類の文化人であったと知人からの話。
大江啓二氏は東京の知人の画家によると中央に出ていたならば、日本でも名立たる画家であったに違いないと
近年になり聞いたのです。
やはり行ってみます。
貴重な情報ありがとうございます。
小生も館内のごく一部しか見ていないので、まだほかにも何かあるかもしれませんが、とりあえず1階ロビーから浴場入口までは、ギャラリーのようにたくさんの絵が展示してありました。
大江啓二さんの絵は、本文にも記したとおり、いわゆる独立フォービスムの画風で、いまの目で見るといささか荒っぽいと感ずるかもしれません。
また、ブログにいらしてください。