2018年1月号
今月の『僕らはみんな河合荘』感想はこちら
今月の『蒼き鋼のアルペジオ』感想はこちら
今月の『ナポレオン -覇道進撃-』感想はこちら
表紙は、『僕らはみんな河合荘』!
次号で最終回ということもあって寂しい限りですけど、
食卓での団らん風景が楽し気で、まだまだ続きそうな錯覚を覚えてしまいますよ。
『ますらお 秘本義経記』 (北崎拓 先生)
渡海して四国へ渡った義経たちの前に、平家の赤旗が!?
待ち伏せか? と思いきや、近藤親家ひきいる軍勢は、どうも味方らしき気配。
聞けば、鹿ケ谷事件で追いやられた一族とのことで、平家には恨みがある様子。
そのため、義経に付き、軍馬などを用意して待っていたらしく、頼もしい。
そして、平家の動きを知った義経は、すぐさま「屋島への肩慣らしだ!!」と、
武士を焚き付け、軍を動かしていたのが、まさに“軍神”と呼べる威容でありました。
皆、一様に興奮し、義経に付き従う中、与一のみは冷静に義経という人間を眺め、
その仲間でも見通すかのようなことを述べていたのは、印象的でしたね。
『MUJIN』 (岡田屋鉄蔵 先生)
人を斬った後始末・・・
田之助さんの助力を得て、お夕さんを籠で逃し、次は八郎さんの番。
となりましたが、その前に、田之助さんが「初めて人を殺めた男の顔」を興味津々に
のぞいていたのが、少しばかり不気味でしたね。
彼が八郎さんを助けた理由が、“役者らしい”ものだったことは、彼の凄味を感じさせます。
と同時に、感謝のために頭を下げる侍=八郎さんに驚いたりと、八郎さんもさすがでした。
また、八郎さんを籠にのせる際の助言も、なるほどと思える内容で面白かったですし、
義父上のお叱りも意味のあるもので、人斬りの後始末話が、色々と興味深かった。
『カグラ舞う!』 (佐藤両々 先生)
神楽部に入りたい鹿島瞳さん・・・
しかし、だいぶ人見知りなようで、神楽さんに頼んで何とか神楽部見学へ。
そこで神楽さんが部員でないと知って驚いてましたけど、おかげで自分だけが
入部希望者にされて、逃げ出していたのは何とも(^^;
そんな鹿島さんのキャラクターが面白味になっていた今回でしたが、
神楽さんと一緒なら入部するという話になって、神楽さんが昴くんに笑顔で
圧力かけられていたのは大笑いでした! 気難しそうな住吉くんに文句言われつつも、
何だかんだで、大きな一歩前進になっていたのは楽しかったですね。
『ヒダルとヒルダ』 (鈴木小波 先生)
シリーズ読み切り! 今回は、出雲で神フェス!
いわゆる、神無月(出雲では神在月)の行事ということで、神々が集うお祭り。
そこで、ぜんざいとおしるこ論争を始めてしまうヒダル&ヒルダさんが愉快(^^;
それから、ヒダル神の集まりに参加するヒダルでしたが・・・
なんてお話でしたけど、他のヒダル神にヒルダさんが狙われることで、
ヒダルの心の内がわかった気になる展開には、引き込まれましたね。
ヒダルが人間の時の記憶を重ねて、別れを惜しんでいる様子なのは、切ない所。
大物な神様も登場して、だいぶ盛り上がりながら、一件落着なラストがよかったです。
『ざせつ男とまんが少女』 (石田敦子 先生)
挫折を味わったあかりさん・・・
その後、気力を失いボーっとする彼女がいたたまれなくて、辛い所でしたね。
もう描かなくなって、落ち込んだように、うつむいてばかりのあかりさん。
進路についても、短大の保育科を選んで、夢を追うことはなくなり・・・
なんてお話でしたけど、そんなどん底気分が厳しくも、まさか夢クラッシャーな先生が、
あかりさんに道を示し、何を描くべきか助言して、背中を押していたのがあまりに痛快。
そこから動けるようになったあかりさんの「描く方、選んだ」の言葉が、響きました。
先生は仕事にして絵を描けなくなったようですが、その挫折の傷は果たして癒えるのか、
気になる所です。
【コミックス1巻、発売中!】
●絶滅酒場 (黒丸 先生)
絶滅動物たちが訪れる酒場のお話。
ディアトリマ、スミロドン、ニジェールサウルスなど、たくさんの絶滅動物が集う酒場。
そこの女将は人間っぽいですが、穏やかにたおやかに、お客さまの相手をしています。
そんな酒場の動物模様が、おもしろ楽しい作品です。
今回は、有名な野球選手のティラノサウルスが来ていますけど、
なぜか正体を隠して、アロサルウルスを名乗っています。
「スーパースターにも、何もかも忘れてひとりで飲みたい夜がある」
なんてことらしく、最近の低迷ぶりになやんでいるようで・・・
常連のディアトリマさんたちも気づいておらず、ティラノさんの前で野球の話題。
「最近全然打たねえんだろう~?」と言ったりして、冷や冷やものですが、
ディアトリマさんはファンらしく、そこで語っていたことが印象的でした。
ティラノさんがCM出演すると、ギャップを狙った形で話題作りをしているようですが、
ディアトリマさんにとってティラノさんはスーパースターであり、最恐の存在ゆえに、
そう「らしくあってほしい」と語っていたのは、とても納得のいく心情でありました。
その後、女将と話すティラノさん。
プロスポーツの過酷さを述べながらも、ディアトリマさんの言葉を噛み締めて、
何かしら前向きな姿勢を感じさせていたのが、爽快でした。
そして結果を出し、ディアトリマさんにわかる“符号”を示していたのがカッコよすぎ。
それを見て、感激するディアトリマさんがよかったですね。
などなど、“王者”ティラノサウルスの秘密の来訪が、面白かった今回。
「らしくあれ」 プレッシャーにも思えますが、同時にさらなる高みへの階段でもあり、
自分を奮い立たせる原動力なのかも・・・なんて感じつつ、今後も楽しみです!
【最終回!】
●二本松兄妹と木造渓谷の冒険 (水上悟志 先生)
木造渓谷の危機にどう立ち向かうか、二本松兄妹!?
吉祥天様が、貧乏神と合体した倉吉によってピンチに陥っている状況。
そこへ、二本松兄妹が何やら術を発動させて・・・
と始まった最終回。
いきなり緊迫した戦闘場面から、のどかなお茶の間に場面は移り、
そこに倉吉さんと貧乏神と吉祥天様の3名がいるのは、面白い。
どうも二本松兄妹の作った結界内らしく、腕力ではどうにもならない空間とのこと。
倉吉さんは諦めきれずに悪あがきしていましたが、二本松兄妹によって何かを飲まされ、
心の内をさらけ出すことに・・・
なんてお話でしたけど、倉吉さんが木造渓谷をめざしたのは、福を持ち帰るためで、
さらにその心の奥には、若き頃のコンプレックスが存在していたのは、何とも物悲しい。
隣の芝生は青いとでもいうような心情が、寂しく感じられましたね。
そして、零堂くんが結界を破って侵入してきて、形勢逆転か・・・と思いきや、
零堂くんが祖父・倉吉さんに告げた言葉が、彼の猛気を削いでいたのが印象的でした。
そのスキを狙っての二本松兄妹による調伏。
倉吉さんの見たものが、彼の求めていたものなのだな~と、しみじみ思えてしまいます。
これにて一件落着。
感謝を受けながらも、ねりね様との別れを惜しむ兄妹。
その後、零堂くんとひと悶着あったりしましたけど、確かな“報酬”を得たことを
空腹でも思い浮かべる兄妹の微笑みが、何よりよかった・・・
などなど、二本松兄妹の物語も、一件落着でシメとなりました。
元の木阿弥かと思った話も、報われるべき者が報われましたし、重畳重畳。
笑顔で終われるラストシーンに、大満足でありました!
コミックスは1月10発売とのこと。
さらには、4月に水上先生新連載!? これは大いに期待しつつ・・・
楽しませていただきましたー!
【12月11日、『アオバ自転車店へようこそ!』20巻・発売!】
●並木橋通りアオバ自転車店 (宮尾岳 先生)
「自分で直せる?」
青葉さんが野外教室へ行っている最中、アオバ自転車店にやって来た男女のお客様。
細野アキコさんと山形ミツルくんは、アキコさんの乗れる自転車を探しに来たとか。
そこへ、2人の高校時代のクラスメイト・青田くんもやって来て・・・
と始まるお話でしたけど、野外学習の青葉さんが、自転車が動かなくなって困っていた
おじいさんを助けて自転車を応急修理したり、アキコさんとミツルくんが走っていた所、
パンクした自転車を青田くんが直したりと、「自分で直す」ことがカギとなる内容でした。
自転車店の娘である青葉さんが修理できるのはともかく、
青田くんがパンク修理なんてできてしまう所に、凄味を感じさせられますね。
アオバ自転車店のメンテナンス教室で学んだとのことで、
パンク修理キットをもらっても、修理できないミツルくんと比べると、
自転車への向き合い方が真摯というか、真剣というか、カッコよかった。
そりゃ、アキコさんも青田くんに興味を持ってしまうというものです(^^;
それだけでなく、メンテナンス教室へ行くと言っているあたりも、好感でしたし。
だからと言って、ミツルくんを単純に貶めることもなく、
彼は彼で、決して悪い人ではないし、憎めない感じが面白かったりもしました。
そんな描き方が良かったですね~。
などなど、自分の自転車を自分で直すことのカッコよさを、披露してくれた今回。
確かにセルフケアできる範囲が広いことは良いことですからね・・・
それにしても、「アオバ自転車店」シリーズは20巻で一区切りで、
『アオバ自転車店へようこそ!』も、20巻で第3シーズン完結なのですね。
とはいえ、次のシリーズも1月30日に1巻発売のようですし、
まだまだ本作は続くのだと確信しながら・・・ 今後も楽しみです!