五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ まんがライフ 感想①

2010年12月19日 | ◆4コマ誌⑤ まんがライフ

2011年2月号

 立て込みんぐ模様でありまする。

 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 

 

●姫のためなら死ねる (くずしろ 先生)

 まんがライフwinで連載中の作品が、ゲストー!

 「姫のため」と書いて「キミのため」と読む、清少納言による定子様への“愛”の物語!

 正直、個人的にはwinの中でも、1,2を争う「お気に入り」作品でございます。

 

 時は平安、舞台は宮中。

 かの高名なる清少納言は、齢13にして皇后たる定子様に

 家庭教師としてお仕えしております。

 

 かつては人付き合いを避け、雅に孤独をたしなんでおられた清少納言でしたが、

 幼なじみの弁官さんに引き立てられ、定子様付の女房となられたのでございます。

 それからの日々は、見目麗しき定子様をうやまい、愛でて愛でて愛でまくる日々。

 その想いをしたためたものが、後の世に『枕草子』として知られることになる随筆なのです。

 (間違ってはいない・・・はず)

 

 

 と、お上品に書いてはみたものの、ここに出てくる清少納言は人付き合いが苦手で、

 コミュニケーションの取り方がなってないばかりか、宮中の礼儀・作法にも無頓着なお方。

 このあたり、『枕草子』に対する批判的評価にも重なるキャラクター付けだったりします。

 

 しかも定子様への敬慕の念が、この作品ではヨコシマ混じりの“愛”となっていて、

 いわゆる「百合」的空気を醸し出しまくっていたり(^∇^;

 このあたりも、“史実”に沿ってるっちゃ沿ってるのかな・・・と思わせてしまう点は面白い!

 まあ、女性に対して天然ジゴロであるというのは、さすがに“史実”じゃない・・・はず。

 

 そして、清少納言にとっての“ライバル”とされる、『源氏物語』の作者・紫式部も登場。

 実際には、顔を合わせたこともないだろうとされる2人(異説アリ)ですが、

 この作品ではきちんと“ライバル”しています。

 おもに、紫式部の一方的な対抗心が目立つばかりの“ライバル”関係ですけど(´▽`;)

 しかも式部の方は、清少納言を意識しまくっているため、「片想い」的状況になったり・・・

 これも意外に、清少納言と紫式部の関係性を、的確の捉えた描き方なんですよね~。

 

 しかし、104ページ【ですよね】の3コマ目は、winで公開されていたら、

 「清少納言と紫式部、ちょーカワイイ」のコメント連打だったことでしょう。

 そして、「~まんた」というのは清少納言の口癖だったのか!ということも(^◇^;)

 

 

 このほかにも、紫式部が仕えているブラック彰子様や、

 清少納言の世話焼き苦労人兼ツッコミ役の弁官さん、また定子様に仕える女房衆3人、

 さらに定子様の父君・藤原道隆や、彰子様の父君・藤原道長なども登場し、

 おもしろ平安宮廷ワールドを築いております。

 

 女房衆の1人、紅式部はツンデレ・キャラクターでかなり面白い人ですし、

 他2名もそれぞれ特徴ある人物だったりします。

 私は、苦労人の弁官さんがお気に入りなんですけどね!

 ちなみに、女性キャラクターはそれぞれ独特のヘア・カラーを持っていて、

 そんなところに注目してみるのも楽しいですよ。

 

 などなど、ワタシ的注目作品『姫のためなら死ねる』。

 「ライフ」の空気とは少し異なる空間かもしれませんけども、

 勢いがあって自由奔放、なかなかに面白い作品です。 今後、期待大!

 

 

 

●お父さんは年下 (北条晶 先生)

 最終回!

 中川ナオさん(20歳)の母・かをる子さん(37歳)の再婚相手が、

 白金絹くん(18歳)だった!・・・というところから始まった本作品。

 

 “父親”が年下なんて許せないと、ナオさんは絹くんにつらく当たってきましたけれども、

 少しずつ「家族」のカタチをつくってきていたような、そんなお話でした。

 

 そしてこの最終回では、かをる子さんと絹くんが挙式+ハネムーンへ行くということで、

 その準備に追われていますが、そんな空気に「家族」を感じるナオさんを見ていると、

 ここに来るまで長かったな~・・・と、感慨深いものがありますね。

 

 そして、ついにナオさんから出てくる一言が「家族」を決定づけ、絹くんを認めていることを

 示しているわけで、この物語のシメにふさわしいシーンになっています。

 ラスト4コマぶち抜きの1枚絵は、まさに「家族」の誕生であり、未来への出発を象徴。

 

 

 そんなこんなで終わってしまいましたけど、「MOMO」での終了は今月号でしたかね?

 あちらでは、ナオさんと長瀬先輩、そしてクロくんとの関係に決着がつきましたが、

 ナオさん主軸の物語のシメということになるのでしょうか。

 

 こちらの連載を中心に読んでいた人間からしますと、あの決着にはちと驚かされましたが、

 あれがナオさんにとっては自然な流れだった、ということなんでしょうね~。

 

 それはともかく本作品は、私にとっては好き作品でありました。

 私は、かをる子さんが若い絹くんとの関係を思い悩んでいた話のあたりから、

 徐々に徐々に引き込まれていきましたもので、かをる子さんがもっと活躍する姿を、

 じっくりと見ていたかった気もします。

 

 そんな感じで寂しくはありますが、1月27日に最終巻である3巻発売でもありますし、

 そちらを待ちながら終了の余韻でも噛みしめておくことにいたします。

 ・・・ということで、長い間、楽しませていただきました!

 

 

 

●よいこのしごと (まがりひろあき 先生)

 こちらも最終回!

 前回、上京してきた両親を迎えた宵子さん。

 しかし、親父様がなぜかBC団総統の姿を見て激昂!

 

 私はてっきり、CS団関係者かと考えていたのですが、なんと総統閣下とお知り合いらしい。

 ってゆーか、最終回にして大総統がご登場とか、どーなってるのー!?

 宵子さん、大総統のお孫さまであらせられましたか~。

  

 ところで、宵子父が大総統およびBC団を嫌う理由なんですけど・・・

 嫌いになる要素が見当たらない気がするんですが、気のせい?(^_^;)

 

 

 何だかんだで宵子さん、父親に対して、自分の仕事に誇りを持っていることを堂々伝えて、

 それなりのところにおさまったようですけども、いろいろ気になることがあります。

 

 まず、宵子さんを連れていこうとする親父様をさえぎった怪人軍団。

 彼ら、イナゴ男と戦ってませんでしたっけ? イナゴ男、さすがに負けちった?(^^;

 それに博士も出てこなかったし、CS団もフェードアウトしてるし、

 何より私が気にしているのはマサル君ですよ! 彼、どーなっちゃったの??

 

 お話としては、最後に大きな謎が残りはしたものの、一応きれいに終了しましたが、

 その他わき役たちの動向なども描かれてほしかったかなあ・・・とも思います。

 個人的にはマサル君、気になりすぎるんですけど(^∇^;

 まあ、今後も変わることなく、彼らの日々も過ぎてゆくのでしょうね。

 

 本作品は、設定・キャラクターはもちろんのこと、ネタ的に面白い4コマ漫画であったため、

 私にとっては「4コマ誌にあってほしい作品」でありました。

 そうした意味で終了は残念ではありますが、まがり先生の次回作もあるようなので、

 そちらに期待したいと思います。 そんな感じで、楽しませていただきました!

 

 

②へつづきます。

 


◆ 『GANTZ/OSAKA』

2010年12月19日 | ◆「お気に入り」  マンガ

「お気に入り」紹介ということで、『GANTZ/OSAKA』全3巻です。

もともと面白い作品ではありますが、1度読んだ話の再構成版みたいなものなので、

正直、ここまで面白いとは考えていなかったゆえに、不意打ちをくらった感覚でいます。

 

また他にも、話題の『進撃の巨人』『ハカイジュウ』なども読んでみたりしています。

「得体のしれないモノが人間世界を襲い日常を破壊する」「どうしようもない絶望」

といったモチーフが流行なのでしょうかね?

そうした舞台がもてはやされるような時代背景なのか・・・な。

 

 

『GANTZ/OSAKA』全3巻 (奥浩哉 先生)

Gantz_osaka01 黒い玉が命じる不条理サバイバル。

地下鉄のホームで事故にあったはずの高校生2人が、なぜかマンションの一室に立っていた。そこに置かれた“GANTZ”と呼ばれる黒い玉の命じるまま、2人は生き死にをかけた戦いへと放り込まれることに・・・というところから始まる物語。

 

現在、コミックス29巻まで発売されています。 

この『GANTZ/OSAKA』シリーズは、その中で大阪を舞台にした「大阪編」のみ掲載し、大阪の人々の視点から見るプロローグとエピローグを加えたものになっています。

大型版なため、所々の描写が迫力満点なのが魅力ですが、それだけではなく、新たに加筆されたエピローグ部分が、私としては不意打ちと言えるほどに感動できる内容だったのが嬉しいことでした。
 

Gantz_osaka02加筆部分では、大阪の人々が描かれています。

そして、その1人であるメガネくんの視点が、追加エピソードでは重要なものになっているのです。 

劇中、このメガネくんは状況についてゆけずにオロオロしてばかりなのですが、そんな中、東京から来た青年・加藤の活躍を目の当たりにすることで、彼は少しずつ変化してゆくことになります。

1巻プロローグ部分でのメガネくんは、「正義」とはどんなものか?について友人と語り合い、「自分の命を犠牲にしても人を助けるような人間」にあこがれる様子が描かれているため、本編での加藤の行動に注目してしまうメガネくんという構図が、より鮮明になっている印象。

そして激戦の末に、メガネくんは加藤と「ある約束」をするのですが、日常へ帰った彼は「なんであんなこと言ったんだろう?」というようなネガティブ思考に陥ってしまい、約束のことにも消極的になってしまうのです。

Gantz_osaka03 

自分の命が危険なのに、ほかのことを気にする余裕などない。しかし、そんな状況の中でも「戦い」を強制されるのが黒い玉“GANTZ”の世界。

メガネくんは新たな「戦い」の渦中へほうり込まれることになりますが、そこではネガティブ思考でいることすらムダであり命取り。そのため、メガネくんは必死に戦うことになるのです。

そして、その結果たどりついた到達点において、彼はある選択をとることになるのですが・・・これが素晴らしかった!

なぜ、それが素晴らしいのか?といえば、それは「絶望的状況下における人間性の希望」を明示するかのような選択だったからにほかなりません。

そこに私は、はからずも感動を覚えてしまったのでした。

 

 

と、長々と語ってしまいましたが、そんなわけでこの「OSAKA」は

「GANTZ」ファンのみならず、多くの未読の方にも読んでいただけたならな~・・・

と感じずにはいられないものでした。

 

本編は最終局面に入った段階であり、来年には実写映画化もひかえていますし、

興味のある方はぜひ。

・・・ただし、グロテスクだったり、エグかったりする作品ではありますけども(^^;

 

 


◆ 『銀魂』37巻 己を見失ったサボりも行き過ぎた向上心も、危険なものなのかもしれない・・・という警

2010年12月19日 | ◆マンガ 感想

ほかにも色々感想書かなきゃいけないのに、なぜか『銀魂』37巻(空知英秋 先生)です。

「2年後」エピソードが面白すぎたので、ちょこっと書きたくなっただけですので、

ご容赦のほどをよろしくお願いいたしまする~。

Gintama00

この巻では、始末屋さっちゃんの危機やテコ入れプール回(テコ入れになってないかもォィ)、

そして「2年後」エピソードなどが収録されています。

今回感想書きたいのは、その「2年後」のお話です。

 

 

 

【「2年後」エピソードの主なあらすじ】

37巻表紙の銀さんと神楽さん、何かおかしい。

なんとなく、「夏休み中に大人になっちゃった」的オーラを漂わせて登校する高2っぽい。

 

それもそのはず、じつは『銀魂』休載の間に2人は成長を遂げていた!

なんと1週間休載しただけで、作品世界では2年もの月日が流れていたらしいのです。

そう、週刊少年ジャンプ大看板である海賊マンガのごとく!!(あちらはもっと長いか)

 

しかし、表紙をみればわかるように、新八くんは変わっていない。

銀さんも、神楽さんでさえ(主にお胸が)大きく成長しているというのに!

 

Gintama37001 1週間休載の間に2年もたっていたことを

知らなかったメガネが苦悩するの図。

 

“進んで”しまった世界の中で、

己のみが取り残されたと嘆いています。

そう、友人達が夏休み中に“大人”になったのに

自分だけが・・・みたいな気分です。(知らねえよ)

 

そんな風に変わりきってしまった、自分が知らない世界の中で、

「取り残された」と感じてしまった新八くんが自分の生き方を探し求める・・・

それが、この「2年後」エピソードの流れです。

 

 

 

【“取り残された”のは、自分に原因があるから?】

“現実”を受け容れられない新八くんは、あちこちを走り回りますが、

知っている人間の誰もかれもが「2年」の間に大きく変化しており、

ある者は結ばれて子供をもうけ、またある者は成長をとげ性格も一変したりしています。

個人的には、九兵衛さんが可愛くなっていたのにはビビりました・・・まあ、アレだったけど。

 

そんな状況を目の当たりにした新八くんは、意気消沈の末にあることを反省します。

 

Gintama37007 「ツッコミ サボってたんです」

そう、本作品における貴重なツッコミ役

であるはずの彼は、その役目をおろそかに

していたことを告白するのです。

 

自分がサボっていた間にも、みんなは前に進むためにがんばっていた。

だから取り残された、置いて行かれた。

ボケだらけの世界でツッコミをサボってしまったから、世界は大きく変化してしまったのだ。

それこそが、サボりに対する自分への罰なのだ・・・と。

 

 

新八くんがツッコミをサボってしまったのは、

「いつもとんでもない量のボケをさばいてヘトヘト」になったためであり、

そんなになっても人気は中途半端で、ツッコミよりボケの方がおいしいんじゃないか?

と考えたためです。

 

つまり、彼は自分の役目に疲れきってしまったんですね。

しかも疲労から、「こんなにがんばっているのに!苦労しているのに!」

「まわりは自由気ままにふるまっている(ように見える)のに!」

という想いを、つよく自分の中に抱えてしまった。

そこで、周囲の空気になじみ混じってしまうことによって、楽をしようとしたわけです。

 

正直、私もこーゆー感覚、わからんわけではありません。

が、己の本分を見失って周囲に合わせようとしても、それで上手くいくかどうかはわからない。

もしかすると慣れない環境で、さらに自分に無理を強いることになってしまうかもしれない。

新八くんのように、自分だけが「取り残される」ような状況に陥ってしまうかもしれない。

 

だからこそ、そんなことにならないように自分の役目をまっとうする努力を怠ってはならない。

そして、常に己を高めるための向上心を忘れてはならないのだろう・・・

と、「2年後」エピソードはそんなことをしみじみ感じさせてくれるお話でした。

 

 

 

【行き過ぎた向上心は、世界と人間を壊してしまうかも?】

・・・と思っていたら、そんな流れからとつぜん話は大転換。

じつは新八くんの周囲の変化には、ある特殊な事象が関わっていたこと、

そして、その事象の根源にあったものは「向上心」だったことが判明するのです。

 

Gintama37002 「努力ってのはなァ

 人の見えない所でするもんだぜ」

と、ご立派なことをのたまう銀さん。

不覚にも「銀△!」状態な私。

 

休載の間にも努力を怠らなかったことをアピールしてますけど、

それ自体はすばらしいことなんだろうけども、

じつはこの「向上心」がおかしな状況をつくりだしていた、というのは興味深い。

 

新八くんは「取り残された」と反省していましたが、

おかしかったのは周囲の人々の方だった・・・という展開。

皮肉にも新八くんは、ツッコミをサボっていたおかげで、

この「向上心」がつくり出す“奇妙な世界”から自由でいられたらしい。

 

 

そりゃーいくらなんでも「2年」あるからって、ゴリラ・ストーカーが望みをかなえたり、

女が男になったり、男が女になったり、あんパンがズルムケになっていたりするわけがない!

しかも、かなり危険な集団が勢力を築いていたり・・・

 

Gintama37003_2 Gintama37005_2

 

なんか帝国できてます。

しかもこの帝国、ドSな皇帝陛下を頂き、お江戸の大半を勢力下におさめるにとどまらず、

なんか政府転覆とか狙ってるっぽいんですけど・・・?

 

この物騒さは、まさに上を向き過ぎて暴走してしまった人々の図に他なりません。

この暴走がそのまま続けば、それはやがて世界を覆い、内側からすべてを破壊する

巨大な暗雲を呼び寄せる危険性が極めて高いのです。

まわりくどく言ってますけど、世界大戦とか起きるかもよ?という意味です。(そー言えよ)

 

さらに、この行き過ぎた「向上心」は、登場人物たちのプライベートをも破壊していきます。

まあ、ボケにおける「向上心」なんで、かなりおかしなボケを連発しているだけですけども、

誰が誰の子を産んだみたいなコント(?)などは、男の「向上心」がもたらすかもしれない

現実世界でもあり得なくないような状況を見せつけてくれているようにも感じます。

・・・考え過ぎ?

 

 

 

【まあ、ほどほどがいいよね?】

このように「2年後」エピソードでは、まず努力が足りなかったばかりに

取り残された人間を描くことによって、「向上心」の大切さを表現しながらも、

その一方で「行き過ぎた向上心」がおかしな状況をつくり出してしまう可能性も

同時に示唆しています。 見事な構成、流れのエピソード。

 

しかも各話タイトルは、

「夏休みあけは皆ちょっと大人に見える」

「冬休みあけも皆けっこう大人に見える」

「GWあけも見えるっちゃあ見える」

とあり、まさにそんな状況での不安感をうかがわせるもの。

 

「自分だけ取り残されてる?」のような感覚。

でもこの話を読み終わると、「まあ自分は自分だわな」とか、

「ほどほどがいいよね」という気持ちになれるからアラ不思議。

そんな『銀魂』らしい、緩急やや緩め寄りな感覚が、とても心地よい面白エピソードでした!

 

 

あと「カニ回」は、アニメでのはっちゃけぶりを大いに期待させるものでしたね、楽しみ。

そしても1つ、

Gintama37006 ヅラ子にヅラっと・・・

もといクラっときたのは、

はたして私だけでしょうか?

 

と問いかけながら、

本記事のシメとしたいと

思います。(グダグダ~)