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小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「手作りで暮らしの文化交流」

2009-11-08 04:33:20 | フックド・ラグ

             第3回日米フックド・ラグ展終了のお知らせ

ニュージャージー州、ウッドブリッジ バロン アート センターにて

インディアナ州、カーネギー アート&歴史センターの壁に掲げられたバー
ナー。 右上からゲイル ホートン「グローバリーゼイション」、ペグ アイリッ
シュ 「ストライプ サンプラー」 横山弘子 「色彩」
 
展示場               写真提供:James Osamu Nakagawa



写真:左: カーネギーの展示用ポスターに使用された福田節子 「花」、
ラグフッキング マガジンに掲載されたスーザン フェラーの記事3ページ

 企画から終了まで2カ年を要しました第3回日米フックド・ラグ展は無
事終了し、作品は日本に無事返済されました。アメリカのアート クリテ
ィックに書かれた記事は
「ストライプのコンセプトは分かりやすく、良いテーマだった。面白いこ
とはアメリカのラグは日常の暮らしの中のアイデアであるのに反し、日
本のラグの多くは抽象的デザインであったことが印象的であった」と。

 スーザン フェラーのラグフッキング マガジンに3ページ カバーした記
事にも同じ様なことが指摘されていました。

 「日本のラグは3分の1は処女作です」というとみな驚き、処女作を選
んだ理由は?」と不思議がります。
 「アメリカのフォークアートは誰でもが作れるということがメッセージで
す。長い経験が良いものを作るとは限りませんし、処女作でも心を打
つものがあります。」というと、
藤村奈保子さん 「春の川面」 のラグは感動しましたと納得します。
 自分の作ったものが誰かと感動を分かちあえるのはアメリカン フォー
クアートの真髄で手作りのやさしさです。

 1991年、アメリカ3か所の美術館(ニューイングランド キルト美術館、
ニューヨークのジャパンソサエティ、 サウスハンプトンのパーリッシュ
美術館) で開催されました「アメリカが日本のキルトに及ぼした影響
展」
はアメリカでも、キルトのことはまだ一般的話題にならない時でした
が、新聞、雑誌をにぎわし、アメリカ人が忘れ得ぬ展覧会だったと今で
も言われます。その時、週刊誌のあるクリティックは
 「アメリカ人の血の滲んだキルトがひとたび海を渡ると我々を飛び越
える。これから我々アメリカ人の考えねばならない課題である」 と。


 日本のテキスタイルは、日本人の血の滲んだ暮らしの伝統文化です。
テキスタイルは陶器、食文化とともに、日本の誇る日常の暮らしの文化
だと思います。
 無意識にも日本人の血の中に滲んでいる文化です。その違いを感慨
深く考えずにはいられません。
 皆さん、どうぞ自信を持って創作に励んでください。手を動かすと脳
細胞が活性化され、長生きすることも証明されています。針仕事よりも簡
単で、細かい針目を気にする必要もなく、年齢に関係なく、いつまでも作
れ、あなたの作品を残せることは愉快なことでありませんか?
 アメリカでも、見る人たちをも感動させたよい展覧会でした。

 この展覧は会場提供、ミキモト銀座(名古屋、梅田店巡回)、玉川高島
屋などで展示され、凸版、Kライン ロジスティックス、TOYOTA, ホームス
パンなどのご協力により可能になりました。ありがとうございました。
 そのほか、温かい友情と励ましに心から感謝し、展覧会を見てください
ました方々にもお礼を申し上げます。ありがとうございました。

アメリカ展は以下の2か所で展示されました。
Barron Art Center:
582 Rahway Ave., Woodbridge, New Jersey
Director::Cynthia Knight   Curator::Linda Rae Coughlin

The Carnegie Center for Art & History:
201 East Spring Street, New Albany, Indiana 47150
Director::Sally Newkirk   Curator::Karren Gillewater

 カーネギーの写真提供:Osamu James Nakagawa  
http://osamujamesnakagawa.com/ 
(インディアナポリスの飛行場からドライブでインディアナ大学の街まで、
1時間ほど、そこからカーネギーまで2時間半のドライブの距離です。
インディアナ大学院で写真を教えている友人のジミー 修 中川は僕が
連れて行ってあげると、カナダで開催していた彼の写真展から駆けつ
けてくれ、ドライブして同行してくれました。

 素敵な写真を提供してくださいましたがブログに移動して拡大すると
なぜかぼけます。私のせいです。あしからず。いまだにわからず混乱し
ています。失礼をお許しください)

同じくインディアナ大学院で日本の藍染を教えているRowland Ricketts
さんも大学から同行してくださり、ニューヨークから日本に送付付するラ
グを私とすべてチャックして梱包を手伝ってくださいました。
http://rickettsindigo.com

お二人ともアメリカで日本の暮らしの文化をアカディミックにアメリカに伝
達している民間親善大使です。

* ラグを習いたい方はホームスパン 03-5738-3313 にお問い合わ
せください。また凸版のご協力で美しい展覧会用ブロッシュア[無料)が、
残っています。ほしい方はホームスパン(NHKのすぐそば)に送料問い合
わせで送付していただくか、又はとりに行ってください。

 

 



「日米フックド・ラグ展・US 参加者コメント」2-2

2009-07-07 09:11:36 | フックド・ラグ


Sue Lawler スー ラウラー 「ショッキングな装飾」
壁に押しだされるような強いストレートのストライプをおもに使い、曲
線と衝突する面白さ、スピードをやわらげるために三つの無地の花
で押えました。

           
Rosemary Levin ローズマリー ルヴィン「釣り上げたメインのロ
ブスター」
青いロブスターはメイン州の伝統的な決まりイメージです。メイン
の冷たいきれいな水に泳ぐ私のロブスターは一万匹に一つのス
ーパースターです。もし漁師が捕まえたら新聞を賑わせます。
”メインのブルー ロブスターつり揚げられる”と。

         
Anne-Marie W. Lettenberg アンーマリーW.リッテンバーグ
「道:ノートンカンサスより西の眺め」
コットンウッドが押し寄せ続く道が大草原を切り、カンサスの穏や
かな草原からハイウエイ36が広がり、コロラドの険しいロッキー
マウンテインが続いています。


Roslyn Logsdon ロズリン ログスドン 「ヨークの屋根屋根」
自然のストライプスも多いけれど人工的なストライプスも沢山あり
ます。タイルの屋根や正面のブロック飾り、メタルの垣根など私の
ストライプスは建築的なストライプで作られています。いてつく寒い
日、煙が曲線のストライプで昇っていきます。


Tish Murphy ティッシュ マーフイ 「地平線」
地平線ーそれは届かないところにある果てしない捕まえにくい風
景。このデザインは本当か想像か、室内か、戸外か、風景から
インスピレーションを得たものです。


Emily K. Robertson エミリー K.ロバートソン 「キッチンの窓
から見るストライプ」
ストライプス”の主題を考えながら、キッチンの窓から松の木を
見ると、自然の中にストライプスがありました。スケッチ帳を取り
上げ、ご覧のような力強い形が出来ました。

         
Olga Rothschild オルガ ロスチャイルド 「ストライプのドレスを
着た女」
私はアメリカのプリミティブ 絵画が好きです。このラグはアミー
イィリップスの”ストライプスのドレスを着た少女”に敬意を表して
作りました。ブランケットや古着などで、すべてリサイクルウール
で作りました。


Alice Rudell アリス ルッデル 「ストライプバス/スズキ」
夕食の用意に行った魚屋で得たアイデアです。ストライプバスの

縞を強調し、ラグ全体のデザインも縞でまとめてみました。

          
Linda Friedman Schmidt リンダ ルリードマン シュミッツ
「子供時代の囚人」
ホロコストの囚人でひどい虐待を受けた私の父の生前の肖像で
す。年老いても不安で子供のようにおびえ、私の子供時代も囚人
でした。捨てられた古着で作成。

          
Rosario Villavicencio ロザリオ ヴィラビセンシオ「てっぺんにお
いで」
淋しい渡し舟が島を通る夕暮れ時、次に現れたのは紫、サーモン
色、グレイなどの地平線でした・・・頂上は見えません。突然霞が
現れ瞬間的に頂上が現れました。信じられて?


Ann Winterling アン ウインターリング 「アメリカの中西部」
アメリカの心臓部は中西部の州です。広大は土地には穀物が風
になびいています。麦、ライ、とうもろこし、アルファルファ、ヒマワ
リなどが縞模様になっています。


Mary Ann Wise マリーアン ワイズ 「ブルーに見える光景」
私は農場や家の周りの林のイメージを集めました。いろいろな場
所やスケールですが、私の周りで見た初めての新しい事でした。

       
Rose Writz ローズ リッツ 「いろいろの扉」
チャールストン でのある夏の暑い午後、私と3歳の息子は歴史
ある教会の庭にいました。静かで庭の豊かな緑の茂みと墓石は
精神的な不思議さに包まれました。

以上26点がアメリカから参加したラグです。

ラグ インフォメーション
お問い合わせ:ホームスパン
東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7 コーポ ラフォレ 151-0063
電話:03-5738-3318

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「日米フックド・ラグ展US参加者コメント」2-1

2009-07-06 22:49:01 | フックド・ラグ

日米フックド・ラグ展ストライプがテーマで日本とアメリカ26点ず
つ52点が展示され、7月10日より~8月12日までニュージャージー
州のバロン アート センター:the Barron Art Center: 582 Raway Ave.,
Woodbridge, NJ  07095  (732-634-0413)と、インディア:the Carnegie
Center for Art & History, 201- East Spring Street, New  Albany,
IN 47150. (812-944-7336) で9月14日より10月24日まで開催されま
す。アメリカンラグの写真撮影&キューレーター:Linda Rae Coughlin


Marilyn Bottjer マリリン ボッチャー 「真夜中の宇宙道」 
Cosmic Trails in a Midnight Sky
カナダで見付けた紫・赤、ブルーなどの美しい手染めの毛糸を使い、
背景にリサイクルのブラウス地を使い、幻想的光を表現しました。

          
Burma Cassidy  バーマ かしデイ「贈り物」 The Gift
見る人によって解釈が違うのが面白いと思いました。

          
June Chapman ジューン チャップマン [のどの渇いたブル
テリア」 Thirsty Bull Terri
この素晴らしいブルテリアはバスルームのシンクから水 を飲むのが
好きで水を撒き散らします。時間をかけてドレープのストライプの表現
を考えました

                         
Abby Chapple アビー チャプル 「解け合う挨拶」
アメリカの旗と日本の日の丸が溶け合っています。ハローの挨拶
とキッティちゃんのピンと電話挨拶のもしもし。二つの国の平和印
に鳩をつけて。

           
Linda Rae Coughlin  リンダ ラエ コーグリン 「丹田ライン」         
精神的に安定する丹田ライン。この背筋を走る直線は宇宙の知
覚です。強靭で真っ直ぐな丹田は人生の目的を証明する魂の究
極のゴールです。


Molly Dye モーリー ダイ 「ヴァーモントのストライプ」
山々が重なり黄金色の枯れ草が石岩に生えている南ヴァーモント
の私の窓からの眺めです。日の出から日没までリボンの色のよう
に変わらないカントリーライフの喜びです。

           
Susan Feller スーザン フェラー 「ウエストヴァージニアの冬」
このラグはUSAの田舎の生活を語る大使です。ジム リリーの建
てたログハウスと低い山はウエストヴァージニアの眺めです。

            
Liz Alpert Fay  リズ アルバート フェイ 「自由名縞模様」
テキスチャーは私の楽しみですが、捕らえがたい景色はチャレン
ジです。この展覧会を代表する二つの国の材料を選びました。
USAを代表するニューヨークタイムス マガジンのセクションと日
本を代表する和紙を使いました。


Barbara Held バーバラ へールド 「代え難い喜び」
日米展参加の喜びを、
美しい日本の旗の赤にストライプのイン
ターナショナルなメッセージです。バーコードがすべてを象徴して
います。


Gail Horton ゲイル ホートン 「グロバリゼイション」
陸と海が一体となった地図は私の変わらない興味のあるデザイ
ンコンセプトです。地球地図をストライプでグローバリぜーション
を描くのは楽しみとチャレンジでした。

          
Peg Irish ペグ アイリッシュ 「ストライプノサンプラー」
如何にストライプで表現するか、ストライプのインスピレーション
です。四角の中は心地よいバラエティーの材料と明るい色合い、
周りをクールなグレイでまとめました。


Carrie Bell Jacobus キャリー ベル ジェイコブ 「向こう側」
今のグローバルコネクションは国境や違いを越えて見る必要があ
ります。地球は壊れやすく美しいところ、環境と住んでいる人たち
とのハーモニーが求められます。


Tracy Jamar  トレーシージェマー 「交じり合う海流」
私のデザインは材料のコントラスト;縦/横、直線/曲線、平面/フ
リンジなどで、すが、日本/USA文化交流ラグ展のために寄与で
きればと作りました。材料はリサイクル コットンジャージー ニッ
トです。


 

 


「日米フックド・ラグ展・日本参加者コメント」 3-3

2009-07-04 06:14:07 | フックド・ラグ

3-3続く


中山恵子 「海」
20代の時から線を描き続けています。線を描き続けることとラグ
を作ることと共通点を発見しています。海の波を変えることは出
来ない、両方とも終わりのないような仕事です。”海”のタイトルは
果てしないこの感じからつけました。
(消えては寄せてくる海辺を彷彿とさせますね。普通は5ミリ幅くらいの
ウールストライプでフックしますが中山恵子さんは3ミリぐらいの細いウ
ールでびっちりと埋めています。フリーハンドで描いた波の線がとても
生きていますね。)
注)私の不手際というよりピクセルをどうして訂正するのかがわかリませ
ん。わかり次第訂正します。


小沢真弓 「海底」
海に囲まれて暮らしています。魚釣りの時、海底をみると海底の
色もさまざまです。藻や魚をストライプで抽象的デザインにまとめ
たものです。
(ほとんどが柄物のリサイクルウールで作ってあります。柄物ウールは
フックしてみないとどうのように現れるかわかりません。複雑な海底の
変化が表現されましたね。思わぬ効果もラグ作りの面白さですね。)


渋谷直子 「愛を世界に」
困難な時代でも人々に愛があれば、乗り越えることが出来るで
しょう。地球を明るくする愛をストライプで表現しました。
(お互いを愛すること・・・私たちは最も大切なことを忘れ、世界中で戦
いがおきています。世界中にPRしてもよいラグですね。メッセージを
贈ることが出来るラグ作りのパワーです。)


染川洋美 「もこ」(ラグ制作中生まれた最初の娘の誕生)ラグ
つくりの途中で私の最初の赤ちゃんが生まれました。彼女に捧
げるママからの最初のプレゼントです。

(なんてスイートなのでしょう。この足跡の記録はもう2度ととることが
出来ない貴重な記録です。”記録をフックする”これもフックド・ラグの
特徴の一つです。数年ごとに、もこちゃんの足跡記録ラグを作って行
くのも母娘の記録になり面白いですね。)


山本曜子 「3」
一見3本の棒ですが、数百本の棒から作られています。タイトル
3は3ですが3だけではない。番号の絶対、リアリティなどを考え
ながら名前を付けることで曖昧さ、矛盾が明確になっていくことを
面白いと思いました。

(哲学的思考さえもフックド・ラグで表現できる!また学ばせていただ
きました。限りない可能性がありますね。))


横山弘子 「色彩」
扇を広げたような形を色彩で変化するストライプの変化を楽しみ
ました。
(ストライプで表現したそれぞれの創作はすばらしく、デザインの多様
性と限りない可能性を発見できたことは幸福なことでした。)

以上26点が凸版のご厚意で出来ました日本語と英語で描かれたブロ
ッシュアに掲載されました。
Linda Rae Coughlinと私で日米26点っせんたくしましたが、選外になりま
島屋のご厚意により、展示させていただきました。


橋本裕子 「バラの庭園」
(橋本裕子さんはご主人の看病を続気ながら処女作のラグを仕上げ
ました。)


真弓淳 「ウエルカム ラグ」
(処女作です。きれいにフックされていますがLinda はアメリカで最初
に作るのはたいていウエルカム ラグなので、展示には無理があると
選外になりました。個人的にはこの理由はどうか?ですが、
基本さえマスターすれば作品の良さは年数ではないと信じています。)


山根基世 「私の猫ちゃん」
(山根基世さんはご自分の古着のリサイクルで、ストライプも手で切
ってフックしました。切り方が悪いとがたがた線になりますが、それ
が面白いということもありますね。基本的な原則はありますが、それ
がどうしたということでしょう。やり出すことが大切。必ず2度目はもっ
とよくなり、自分で発見していきます。誰でも作れる。そこがラグ作り
の面白いところでないでしょうか。)

ラグ写真撮影:高橋仁巳
(ボケは小林恵のブログアップの不手際・陳謝します)

ラグ インフォメーション:
お問い合わせ:ホームスパン ショップ
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7 コーポ ラフォレ
電話:03-5738-3313
(土、日、祝日休み) 第4土曜日はオープン


 

 

 



 


「日米フックド・ラグ展・日本参加者コメント」3-2

2009-07-04 05:27:11 | フックド・ラグ

3-1より続く
         
河合香都子 「商品宣伝の前掛け」
日本の庶民の伝統、店のPRを兼ねた作業用のエプロンは庶民
生活に馴染まれたものです。この荒物屋のPRエプロンには私の
名前をいれ、電話番号は119番(日本の緊急用SOS電話)とし
ました。ご注文ありますか?
(スーパーマーケットが出来る前、日本の荒物屋のイメージを代表す
るものでした。厚い藍染めのコットン地で作られた商品のPR用前掛
けです。ユーモラスで面白いですね。)


貴山宏美 「鉛筆」
ごくありふれた身の周りにあるもの。たった一本のペンシルでも
デザインを楽しめます。ラグ・フッキングの果てしない可能性を考
えて、夢をはせています

(目の前にある鉛筆を並べただけでもすてきなデザインが出来ますね。
デザインの良さは複雑、簡単に関係ないことを教えられます。しかも
ウールを媒体として表現するフックド・ラグの独特の面白さがでていま
す。)


貴山征美 「かすり」
私は日本の古い伝統をもつ紺屋に生まれました。日本のフォーク
アート藍染を見る時、無名の人たちが作った紺(インディゴ)の色
に慰められます。日本の数えきれないインディゴの色、そして紺染
めの絣(イカット)は地域別に無数にあります。大好きなイカットの
サンプルデザインでストライプ模様にならべました

(外国に暮らしていて特に実感することですが、布地(テキスタイル)と
陶芸は日本の暮らしの文化の中で秀逸な伝統です。名もない人々が
一生をかけて錬磨し、作り上げたレベルの高さは作る人ばかりでなく
それを日常で使う人々にも、審美眼が浸透していると思います。しか
もそれほど高価でなく買えることもすごーいことです。サンプルが一枚
のラグになり、心をやすめ、日本の文化を語りかけてくれます。)


小林和子 「北斎の驚き}
葛飾北斎(1760年~1849年)の「神奈川沖浪」の版画から
イメージを取り、切紙でデザインをしました。北斎らしく、しかも
北斎と違うものをラグで表現したかったからです。ああ!北斎だ。
(Ah! Hokusai )とおもいますか?
北斎も驚いていることでしょう。北斎の死から160年後のモダン
北斎です

(切り紙はよいアイデアですね。色のバランスも面白いですね。アメリ
カ人が”グレート アイデア!”だと特に喜びました。数人から投書を
いただきました。


小林恵 「平和・ストライプで手をつなごう」
何かのメッセージを伝達できるのもラグの特徴です。中心に泣い
ている瀕死の地球を、その周りに“ストライプで手をつなぎ合って
平和を作ろう”のメッセージ。素朴なアメリカの手つくりを通して学
ぶことがたくさんあります。アメリカのフォークアートから現代人へ
のメッセージです。
(フックド・ラグはコミュニケイションの旗印にもなります。稲船さんの
魚屋のラグ、村田さんの平和の鳩、渋谷さんのLOVE,いずれも
自分以外ことで皆に語りかけています。ラグりの思わぬ効果です。)


森澄子 「四万十川」
四万十川は日本でも水質がきれいで美しくしい有名な川で知られ
ています。私の住む高知の美しい風景をラグに託して皆様に見て
いただきます。川面の光を白のストライプで特に強調しました。
(森澄子さんは「アメリカンフックド・ラグ」の本を読んで作ってくれました。
本をよく読めば作れるように書いたつもりでしたが、森さんはアーチスト
なので質問もなしに作り上げ、とてもうれしかったです。砂浜美術館の
キルト公募展の審査で7年間、ニューヨークからここを訪れました。美
しいところです。)


望月光子 「美しい村」
私が住んでいる村は美しい自然が宝です。重なる遠く連なる青い
山々、美しい田畑、ここに住む幸せをラグで表現できるのも格別
です。表現の可能性にこれからも挑戦していきます。
(美しいふるさとを持つ人々は本当に幸せです。このラグは村中ばかり
でなく、村を知らない人々の想像力をもかき立てます。村のPRになるよ
うにポスターを作るのも一案ですね。)


村田春代 「ピカソよ、飛んでいけ!平和の向かって」この鳩は天
才ピカソの鳩です。平和の虹を翼に乗せて飛べ,ピソ。世界中の
希望をのせて。ストライプの輪が世界中に広がりますように。
(ラグでメッセージを発言出来るのも楽しいことですね。)



村田ひろみ 「ストライプとボーダー」
いつもデザインを、色で表現したいと思っています。色の可能性を
ストライプで実験してみました。
注)
カメラマンの高橋仁巳さんと村田ひろみさん、ボケ写真でごめんな
さい。無知でどうしたらよいのか、途中で画面を変えると消えてしま
うので必ず訂正しますから少々お待ちください。陳謝!
(一見交差して織り込んだテキスタイルのようですが、どこにもつながら
ない迷路デザインです。)


南雲今日子 「「まぐれ縞」
紺以外はすべて草木染めです。名前の通りランダムにデザイン
しましたが、色彩はやさしい色で統一されました。これからも草木
染めでいきたいと思います。
(種まきから収穫までをご自分でやり、乾燥させ抽出して色を出すま
で、本当に心を込めた作業が続きます。自然の色には優しさと感動
がありますね。)

3-3に続く

 

 


「日米フックド・ラグ展・日本参加者コメント」3-1

2009-07-03 10:02:21 | フックド・ラグ

日本とアメリカが参加した日米フックド・ラグ展
がいよいよ7月10日からニュージャージーのBarron Art Centerで開
始されます。ミキモト銀座、名古屋、大阪、玉川高島屋の協力で展示
されたラグと同じものがアメリカで展示されます。凸版印刷株式会社、
Kライン ロジスティックスLTD,有限会社・ホームスパン、株式会社・
アットアームズ、TOYOTAのご協力で日米展が可能になりました。無
名の人々に、アメリカンフォークアート、しかも聞いたこともない、耳に
慣れないフックド・ラグに日本の企業が協力をしてくださったことは、
感慨無量なことでした。キルトも一般に浸透するまで10年のつく日が
必要でした。
理解できる人との巡り会い、”やりましょう”と即決をしてくださる人々
の判断で世の中の価値観を変え得ることに、やり甲斐を感じたこと
でした。
何よりもその作品を作った人へのアチーブメントを、もう一度これから
作りたい人たちへの動機になりますように作者が書いた日米参加者
全員のコメント(太字)付きで作品のご紹介をいたしましょう。展覧会を
ご覧になれなかった方と分かち合いたいと思います。皆様の質問、ご
批判、コメントなど励みになり、大歓迎です。


有吉熙 「結婚50周年を記念して」
結婚50年記念と第3回日米ラグ展を記念してストライプで平和な
人生を表現しようとしました。男性一人だけの参加でミデアが取り
上げてくれ思いもかけぬ新しい人々の 交友を楽しむことができま
した。手つくりの楽しさを実感した次第です。
(有吉さんは元三菱重工業の重役をなさっていた方で、日米展に3回
とも参加してくださいました。唯一の男性ですが女性の中に参加する
ことをちっとも気になさらない女性の味方です。唯一男性なので敬意
を表してトップですが、ABC順でもアイウエオ順でも年齢的にも必然的
にトップになるのも運命でしょうか。お嬢さん、お孫さんも完成を感動し
てくれたそうです。参加者皆も同じように感動しました。)
注)
この記事をアップしたあとで有吉夫人から2日間の入院で手術もしない
でアットいう間に有吉熙さんがお亡くなり、これを書いているとき、納骨
になったことを伺い不思議なご縁を思います。有吉熙様は心から尊敬
できる人格者で長い間の友情を心から感謝しています。ラグ完成完成
を記念して有吉さんからニューヨークに送られてれてきました手記を、
皆さんと分かち合いたいと思います。

50周年と80歳”                     2008年9月30日
(金婚式と傘寿と・・・めでたくもありめでたくもなし)
晴耕雨読といえば聞こえは良いが無為徒食、小人閉居して不全をな
す、と言った年月が早や10年を数え、なんといつの間にか80歳と相成
ってしまった。見廻せば子供たちはとうの昔に家を離れ我が家は家内
と二人きり、空き部屋が増えて寂寥の感は否めない。之まで元気に何
とかやってこれたのは家内のサポートのおかげと大感謝しているがま
ことにすまぬ話だがいつの間にか金婚式とやらも過ぎ去ってしまった。
そんな時に尊敬する小林恵先生からラグ展をやるから何かやってみま
せんかとお話をいただいた。人生一つの大きな節目とも言うべき時で
もあるし家内への感謝も込め、今までの人生の想いも込めて50年、80
歳のメモリーとして何か残してみようと考えた。何せ全く芸術的センス
はないので思いつくままにやることにした。藍染めが好きなので紺と白
を基調にしたストライプ、そして二人の干支、今までの人生の心よりど
ころの言葉 "和”を中心にしつらえた。誠に単純で平凡名デザインにな
った。幼稚な無様な格好になったが思いを込めたつもりだ。
土への良いお土産が出来たと思っている。後期高齢者には結構大
変だったので、小林恵先生には半年間、山にこもってコツコツと努力した
あたりを評価していただくとして恥を忍んで提出することにした。例に
よって最後の仕上げ等は姉上様の小林和子様にお願いしたし、作成
に際してはホームスパンの原恵子さんに大変お世話になりました。
ありがとうございました。
                                  有吉熙 記

(有吉熙様 6月29日、2009年没。 ご冥福をお祈りいたします。)


藤村奈保子 「春の川面」
川辺を散歩しながら川面をよく見るといろいろの色彩があること
を発見しました。その色をノートに書き、ストライプで川面を表現
してみました。私の処女作ですが、自分の手で作る楽しさをこれ
からも大切にしていきます。
(藤村さんはNHKの優秀なディレクターです。処女作ですが発想が素
晴らしいですね。私は経験年数で作品を評価するのはおかしいと思い
ます。少なくともアメリカンフォークアートの場合は、作り出す動機と発
想こそ評価に価すものと思います。)


福田美津江 「波」
日本の伝統的波模様はたくさんあります。残されたデザインを参
考にしながら私の波模様をストライプで表現する作業を楽しみま
した。
(福田美津江さんは、伝統的な日本淑女で静かで黙って作ってしまいま
す。手作りのベテランです。)


福田節子 「花)」
花を観察していると大写しにデザインの構想がうかびました。一
本の花を幻想的に表現し、中心を盛り上げました。花の葉の色
からインスピレーションをうけてストライプでバックを埋めました。
(玉川高島屋のラグ展の広告に選ばれましたラグです。視覚的にイン
パクトがありますね。中心に空色を使ったのが幻想的な花のデザイン
になりました。)


           
五十嵐富美 「色の息づかい」
私のイマジネーションで息づかいをストライプで表現しました。細
く、太く、長く、いろいろなリズムのある楽しい会話の息使いです。
(五十嵐富美さんは自由学園で教鞭をとっています。処女作です。
織物をマスターしているので糸の重なりを容易にデザインできるので
しょう。)


稲船佳代子 「平和と繁栄」
私の父親は魚屋を営業しています。
末永く稼業が続き、栄えますように願って、父親へのエールとラグ
習得の楽しさを含めて“福の神”をそえて父へのプレゼントです。
(娘から父への贈り物。なんと素晴らしい贈り物でしょうか。めでたいと
はことのことですね。お金で買うことができないもの。作った人が一番
創作の価値に感謝することでしょう。)


井上美沙 「四つ葉のクローバー」
幸福を呼ぶ四つばのクローバー。晴れた日に平和のシンボルで
ある鳩が四つ葉のクローバーを加えて世界の皆さんにお届けし
ます。私の処女作です。
(メルヘンチックで自然で、あまり作為がなくて素直なラグができました
ね。作り出すことは本当にすばらしいですね)


伊藤恵子 「もったいない」
“もったいない”が世界中に広がり、捨てるものに命を与え、もの
に感謝して暮らす倹約精神が広がることを願ってやみません。
すべてリサイクルウールで作りした。
(なにもないところから工夫して何かをつくルことをメイク デユ-といいま
す。(Make Do)例えば壊れたガラスのローソク立てのスタンドの部分が
残っていれば、照る照る坊主のような布地のおむすびを作ってスタンド
にかぶせ針刺しにしました。アイデアこそアメリカのエネルギーです。
今、倹約に関心がもたれ、すてきなラグも作れること、倹約と創作、こん
なすてきなことありませんね。)

          
         
泉洋子 「並木」
“日光街道”の古い木版画からインスピレーションを得てすべて
をストライプでまとめました。遠くどこまでも続く並木、暗い街道
を明るい空と太陽でコントラストを作りました。
(和泉さんの処女作です。伝統を誇る技術あるクラフトも尊敬します
が、初めて作った人もこのようなインパクトのあるデザインが出来ま
した。最近発掘され、注目を浴びたアメリカのホームレスアーチスト、
マーチン ラミレツ (Martin Ramirez):www.folkartmuseum.orgのパブリ
ケイションの覧で彼の本をご覧ください。)のイメージを彷彿とさせます。
すてきなデザインでブロッシュアの表紙に使わせていただきました。

          
金子和子 「縞模様をみる”見返り美人”」
江戸時代の絵師、菱川師宣(1618~1694)の“見返り美人”
が日本の切手になった時、いつかこのイメージをラグで表現でき
ないかと長い間考えていました。日米展に出品できて本当にラッ
キーです。
(ストライプがテーマであるこの展覧会にあたって、デザインイメージ
は各自の自由にしました。こうしなさいとは教えていません。各作者の
好きなようにデザインすることを奨励しています。
誰かの真似はよくないともの声もありましたが、達人たちのイメージを
学ぶことからでも本人にとって素晴らしい発見があることでしょう。)

日本で展覧した日米ラグは全部で55点です。数度に分けてブログに
アップいたします。途中でなんども消えてしましい、やめようかとおもい
ましたが、苦労の末、何とか出来ました。

写真提供:高橋仁巳
大奮闘の結果ですから少々のボケは私のせいですからお許しください。
まだ理由を把握出来ていません。お世話になりますがどうぞよろしく。

ラグのインフォメーション
お問い合わせ:ホームスパンショップ
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7 コーポラフォレ1F
電話:03-5738-3313
(土、日、祝日、休み) 第4土曜日はオープン)


「第3回日米フックド・ラグ展」日本開催にあたって

2009-03-07 11:03:05 | フックド・ラグ

「第3回日米フックド・ラグ展」:日米巡回展
ニューヨークの地下鉄の地図からアイデアを得て蛇腹10折り、
縦3折り、両面印刷、凸版の技術を駆使したブロッシュア。
豪華永久保存版!

名もなく貧しく、女物、しかも手作りとなると、ニュースにはほど遠
く、普通ミデアはあまり興味を示さないのが現実です。この度は
御木本のご支援で、3週間銀座ミキモトホールの提供をいただき
展示が可能になりました。そして、ラッキーなことに入場者数の記
録を作り、女の手作りも、”やればできる!”のメッセージを伝える
ことができました。会場ばかりでなく、豪華ブロッシュアは株式会社
凸版、日米間のラグ輸送はKラインロジスティックスのご協力をえ
て実現しました。何にもまして嬉しかったことは皆様の即答でした。
即答は企画者にとって数倍のエネルギーを与えてくれるからです。




メイドインジャパン・アメリカが及ぼした影響です。やればできる!

150年の伝統、アメリカンフック・ドラグ
コンセプトはストライプ。アメリカ人は日米展交換を意識してのデザ
インが多いのです。作者のメッセージをデザインできるのもラグ作
りの特徴です。

日本最後の巡回展は玉川高島屋ルーフギャラリーで3月12日から
24日まで開催されます。その後はアメリカの美術館2か所を巡回し
ます。

ご協力下さいました皆様、ご覧くださった皆々様、展示にご参加下
さった皆々様に、感謝をこめて心からお礼を申上げます。小林恵

(日米展示ラグ写真2枚提供:高橋仁己)

協力
株式会社ミキモト
Kラインロジスティックス株式会社
凸版印刷株式会社
有限会社ホームスパン
株式会社アットアームズ
玉川高島屋SC
TOYOTA


 


 


 

 


 

 

 

 

 

 


「フックド・ラグの特別講座12月3日、10日、17日」

2008-11-12 22:10:03 | フックド・ラグ

ニューヨークに滞在しているために帰国の折だけ新宿の朝日
カルチャーで特別講座をいたします。朝日カルチャーのチラシ
を添付いたします。

アンティック フックド・ラグ 19世紀

 アメリカン フックド・ラグ を作る
    講師 アメリカン生活文化ジャーナリスト 小林恵

 作る喜びだけでなく、手作りは人間形成にも大変役立っています。
自分の作り出したものが、誰かを幸せにし、素敵な暮らしのエッセン
スになるとしたら作って見たいと誰でもが思います。
 開拓時代ウール布のリサイクルから生まれたアメリカの伝統的クラ
フト。わずかの道具とウール布での簡単な作り方から図案の発想法
をニューヨーク在住の講師が指導します。誰でもが作れるのがアメリ
カンクラフトのよさですが、中でもラグ作りの易しさと面白さは格別です。
それは自分の好きなように作れるからです。皆でラグ作りにチャレンジ
してみませんか?
発想の仕方:応用の仕方:デザインのバラエティ:コツのコツを短期間
で教えます。
参考テキスト:本格的ラグ作りの手引書 
小林恵著
「アメリカンフックド・ラグ」(主婦と生活社) ¥2.700(クラ
スで購入可能です)

(講師紹介)小林恵(こばやし けい)
アメリカ生活文化専門。ニューヨーク在住。主な著書 「アメリカ人形」
「アメリカンキルト事典」文化出版局、「シェルバーン美術館キルトコレ
クション」学習研究社、「マンハッタンは皿の上」朝日新聞社、 「キル
トヘの招待」 PHP研究所、 「アメリカン キルト」 白水社などタ多数。
小林恵ホームページhttp:www.ny-apple.com  ブログ:「小林恵のNY
通信」
日時: 2008年12月3・10・17日 3回 水曜日 15.30~
17.30
受講料(税込) 会員11、655円 一般13,545円
当日販売 講師オリジナル図案 (1部¥1,050) ホームスパン
(アメリカ製ラグ用
品専門販売店): 鈎針 (¥850)、
芯地(¥1,000~)、アメリカ性ラグ用ウール ストライプ(¥230~
¥900)、カッター¥27.000)、ラグ専用フレーム(27,500)等。
価格の改定が入るばあがあります。
各自用意するもの: キルト用フープ、ローラーカッター、カッティング
ボード、(ウールは織り方により適切でないものもありますので、小布、
セーターなど何でもお持ちください) 定規、サインペン。
場所:新宿住友ビル4階 朝日カルチャー
*講師の病気や、受講生が一定に達しない場合などには、やむを得
 ず講座を延期または中止することがあります。

    朝日新聞の文化活動 朝日カルチャーセンター
    〒163-0204 新宿住友ビル内 私書箱22号   
    
東京都新宿区西新宿2-6-1
    Tel: 03-3344-1947(直通)インターネット接続先
       http://www.asahiculture-shinjuku.com


 

 



 


[フックド・ラグのこと知ってほしいー」

2008-11-12 18:13:40 | フックド・ラグ

キルトと並んでアメリカを代表するクラフトですよー

 ラグを辞書で引くと襤褸(ボロ)とでるの知っている?
本当にボロなの。捨てるようなボロでもこのような宝ものが出来るのよ。
これらのアンティック フックド・ラグはすべて19世紀にアメリカの女性
たちが作ったものなの。勿論輸入ラグが高価で買えない事もあったけ
れど、自然繊維(麻・ウール・コットン)しかなかった時代、繊維は貴重
で破れ
ていない部分は捨てたりしなかったのね。”自然に帰れ”と提唱
されている今、コンピューターで疲れた頭の切り替えに、これほど
あったものはないの。最初の人でもすごく巧く作る人もいますし、3枚
作れば誰でもコツを会得できるほど易しいものなの。勿論好きなサイ
ズで自分のデザインで楽しめるし、出来上がると踏むの勿体ないほ
ど愛着がでてくるのなの。

 技術は殆どなし。慣れだけ。一本の鈎針とウールと芯地があれば
アートの素養なしと決め付けている人だって、出来ちゃうの。
 キルトとはナンですか?と聞く人はもう日本にいませんよね。
同じ時代に出来たフックド・ラグを知ってほしいの。キルとを作ってい
る人、よーく聞いて!もう一つのアメリカ人が作ったアートフォームを
知ってほしいの。写真のようなデザインなら誰でも出来ると思うでしょう?

 キルトと違って靴でどんどん踏みつけてしまうので、消耗して、残
っているものは少なくなり、キルトよりもずっとお高いものなの。それ
とアメリカ人がアメリカ人の作ったものを、とても尊敬して価値を高め
ている事も事実なの。

 簡単なストライプでも無限のデザインが出来るのはキルトと同じ。
キルトを作っている黄金の腕を持つ日本のキルターたち、ぜひ一度
挑戦してみて!ベッドルームを公開しなくてもコーヒーテーブルの下
にあなたの手で作ったラグが置いてあるなんて、素敵だと思いません?

 1月6日から24日まで銀座のミキモトホールで3週間、第3回日米
フックド・ラグ展が開催されます。日米それぞれ作家26人、日本か
らは最初に挑戦した人も参加。自称不器用の山根基世作、可愛い猫ち
ゃんも参加。選外の方たちも,
挑戦しているときはとても楽しかったと。
そしてお金で買えない価値があると・・・
いいメッセージでしょう?
それぞれのラグたちがあなたに話しかけています。

入場無料です。特にキルターの皆さん、ぜひぜひ見てくださいね。も
っとアメリカン フックド・ラグのことを知りたい方は小林恵著 「アメリ
カン フックド・ラグ」を読んで下さるとラグの歴史
やアメリカの暮
らしの文化が見えてきます。
続く・・・

写真提供:「アンティック フックド・ラグ 19世紀」
Laura Fisher at Fisher Heritage: 305 East 61st Street, NYC.

http://www.ny-apple.comのなかのクリエイティブ:クラフトジャーナル
もご覧下さい。アメリカの大学生にフックド・ラグを教え、はじめて作った
人たちのレポートです。


 

 


「ニューヨーク フォークアート美術館で ラグ・デイ 2008」

2008-03-11 04:57:10 | フックド・ラグ

アメリカン フックド・ラグ

 アメリカのフォークアート美術館で恒例年一回行われる“ラグ・デイ”
は今年で4回目になります。社会現象を起こした程、沢山つくられた
アメリカの2大クラフト、フックド・ラグをもっと知ってほしいというプロモ
ーションです。ハイテック時代の現在、鈎針と芯地とウールがあれば
キルトと同じく誰でも出来るアメリカのローテック代表クラフトです。

 作れるならば何か作って見たいと誰でもが願います。
でも、「才能がない。絵も描けない。不器用で駄目。作っても役にも立
たないし、必要もない。笑われてしまう。お金もかかるし忙しい。そん
なもの作るより寝ていたほうが益し」など、作りたくない理由は山ほど
あります。
 
しかし、「ラグとはこれだ!是を見たその日から・・・」というのが美術
館でのラグ・プロモーションです。

ゲイル ホートンとリー コーガンLee Korgan(フォークアート美術館)

 
あいにくの土砂降りの雨でしたが、ゲイル ホートン(Gail Horton)
の“ラグが語る物語”と題して彼女が作ったラグの物語、成長、家族、
近所の環境など彼女の暮らしを綴るラグ物語のスライドレクチャーで
した。
 
彼女は「画家でしたが、画家は描く環境が必要です。絵の具やキ
ャンバスを持ちあるかなければならない。場所も必要です。ムードに
もよります。なるべく孤独でなければならないなど。しかしラグ作りほ
ど簡単で、膝の上で材料の袋一つ持ち歩くだけど何処でもいつでも
出来る。友人と話しながら、テレビを見ながらでも作れる。この理由が
19世紀の女性たちがせっせとリサイクルウールで自分らしさを発揮
しました。これほど面白いミディアムはありません」
 
とゲイル ホートンはスライドを説明しながら自分史を説明しました。
 面白くない文章を読むよりもはるかに面白く、すべての思い出は写真
からデザインをおこしたものでした。おじいさんが耕すロングアイランド
の農地は今はもう埋め立てられてありません。それは歴史の1ページ
でもあり、表現はアイデア次第だとまた考えを新たにさせられました。
 家族の肖像が母親の手作りだと思うだけでも子供たちばかりでなく
見る人の心を暖めてくれます。

人物表現で新世界を開拓しているロズリン ログズドン
Roslyn Logsdon作                右下は貴山ひろみ作

 ラグはキルトとは違います。正確に作る規則がないのです。
気が楽でアイデア次第です。同じ写真やデザインを練習のため写し
てもパンケーキ作りと違い、全員違うものが出来ます。
そこが個性となり、人に語りかけます。たとえお気の毒のような下手
くそでも、あなたのクリエイションは充分に人を感動させ得るのです。
そこがいい。3枚作れば作り方は卒業です。後はリズムを得ればあ
なた次第です。作り出す事の楽しさを知った人生は楽しいです。
ぜひ作ってみてください。無から作り出す素晴らしさ。ラグ万歳。

参考:
 アメリカンラグ材料輸入日本代理店:「ホームスパン」
 東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7、1F  電話:03-5738-34310

参考本:
「アメリカンフックド・ラグ」 小林恵著 主婦と生活社  2002年
    歴史を含む本格的ラグ作りの手引き本  ホームスパンまで。 

お知らせ:
「第3回日米フックドラグ展・ストライプ」ストライプを主題に日米ラグ
50点が展示されます。2009年1月5日より1月25日まで 
ギンザ・ミキモト6Fにて開催。ご期待ください。
 

 


アメリカン フックド・ラグ(2)

2007-12-28 11:19:22 | フックド・ラグ
19世紀、無名の人たちが作ったラグ

 19世紀、材料も乏しく、先生もいなかった時代、自分たちで工夫し
て作ったラグ。難しく考えないない。発想は暮らしの周りにあるアイ
デアから得た。今は床から壁へとアートの世界に仲間入りした。




 「アートって何なの?」「誰が決めるの?」「高価であればアートな
の?」感じる人によって違うから、アートの定義は難しいけれど
アートって人を幸せにすることでないかしら?




アメリカン フックド・ラグ (1)

2007-12-25 17:25:02 | フックド・ラグ

家を美しくするための暮らしのルール

 ご存知のように寒さを凌ぐために布を繋ぎ合わせてキルトが作られ、
アメリカでキャリコが安く出回ってから、キルトはデザインを競うよう
になりました。世界中でキルトは作られましたが、アメリカンキルト
は他の国と違う意味があるのです。

 顕著なことは、アメリカ中で作られた社会現象であったこと、
コミュニティの助け合いの手段であった事、それぞれが自由に自分
らしさを発揮し素晴らしいデザインを楽しんだこと。家を美しくするた
めに作られたことなどです。

 家を美しくするのはアメリカンドリームの一つです。ベッドがきちん
と作られていないのは暮らしの恥ですし、キルトの上で寝転がる事
もありません。是は毎朝の暮らしのルールです。日本も同じ事、
万年床にはしないでしょう?ベッド掛けの良さでホテルの等級も分
るほど重要なものです。

 さてアメリカの家は一般論ですが、清潔で整頓されています。
「清楚でモダンインテリア」と銘打って白一色の室内は雑誌社のプ
ロモーションです。何処もかしこも白一色で暮らすのも淋しい。個性
が反映した部屋の方が其処にあなたと一緒いる嬉しさを分かち合え
ます。

 アメリカ女性の進んだアイデア
どうしたら自分らしさを出せるの?
 キルトと同じく社会現象を起こしたアメリカ女性の二大クラフトにフッ
クド・ラグがあります。もしもあなたの座った椅子の下に見たこともな
い個性豊かなラグが敷いてあったら、それがあなたの手作り作品で、
褒められたとしたら嬉しいでしょう?
あなたの手作りはお金では買えないあなたの宝物です。
それが簡単に出来たら、作って見たいと思いませんか?
残された数多くのアメリカ女性の作品を見れば、そのエネルギーに
く事でしょう。例え形が変わっても、このエネルギーが現代にも伝
承されているアメリカ女性たちの底力となっているのです。

押入れの肥やしでは作った甲斐がありません。現在に残っている名
も知らぬ人たちの手作りラグが「みてー!見てー!」と喜び叫んでい
ます。
       
ニューヨークタイムス1ページをカヴァーしたラグの記事




すべて19世紀の無名のアメリカ女性が作ったたフックド・ラグ

参考:
小林恵のホームページ、
www.ny-apple.com クリエイティブをクリック
してフックド・ラグ ジャーナルと小林恵が推薦するアメリカン・ラグ
材料店をご覧下さい。

参考文献
小林恵著:「アメリカン フックド・ラグ」主婦と生活社・2002年

 

 


 


「カントリー アメリカン フックド・ラグ デイ 2007」

2007-10-16 09:29:20 | フックド・ラグ

フックド・ラグ ブースの楽しさ

誰でも出来る簡単デザイン    ブースの宣伝用ラグ

フックとストライプをまいた円形アップリケ。    布地のディスプレイ

ネコちゃんがかぼちゃのランタンを・ 動物は大好きなデザイン要素

ペニー ラグをフックのバックに。リボン状の太幅ストライプを引き上げる



 キルトと並んでアメリカンフックド・ラグはアメリカのフォークアートを
代表するものですが19世紀に記録的に数多く作られた事とアメリカ
らしさが彷彿としているクラフトです。アメリカらしさとはどんな事か、
アメリカに住んでみないと簡単にはアメリカーナとはどのようなものを
さしているのか、分からないかも知れません。
というのは日本で紹介されるアメリカものは必ずしも的を得ていない
ことも多いのです。

 ヨーロッパからの移民が作ったのだからヨーロッパの伝統を勉強し
てアメリカーナを学ぼうとしても、ところ変われば品変わるでライフス
タイルが違うのです。アメリカにはアメリカらしいフレーバーと自由な
表現力があり、その暮らしの詩がアメリカーナの身上といえるでしょ
うか。広さが違う、家が違う、太陽が違う、空気も違う。アイデアも人
の評価も違う。アイデアを素直にすぐ表現する素朴さもアメリカーナの
特徴でしょう。

最近NY近郊のラグデイに参加しました。ブースを持つ人たちのアイ
デアに感心しました。この写真だけでは充分に紹介できませんがア
イデア、アイデア、アイデア、ユニークな創造豊かなアイデアを楽しみ
ました。

お知らせ:
ラグクラス・・・11月に帰国し朝日カルチャーでラグ・フッキングのクラス
を持ちます。一年に一度のチャンスです。ご参加ください。
朝日カルチャー:
11月13日、20日、27日、各火曜日、3時半~5時半まで
お問い合わせ:
朝日カルチャーセンター講座3部生活科;羽山早苗さま 
電話:03-3344-1947

 


 
 
 


「アメリカで再認識:アメリカン フックド・ラグ」

2007-06-28 23:40:35 | フックド・ラグ

ラグに関して美術館でスピーチ
 ニューヨーク、アメリカン フォークアート美術館でのラグ展に先がけ、
オープニングに美術館で新進ラグアーチストたちのレクチャーがありま
した。写真はスピーチをした人たち:右からリンダ・コーグリン(Linda
Rae Coughlin), アリス・ルッデル(AliceRudell). エミリー・ロバートソン
(Emily Robertson), リンダ F・シュミッツ(Linda F.Schmitz) と小林恵。

リンダ R.コーグリン作: ”夫が長い間どうして私のやる事がきらいな
のか”分かりませんでした。ある日、卵の上を歩くようにすれば解
決する
事に気がつきました!と自分の心理を描写。

アリス・ルッデル作 ”タグボート”画家の彼女は自然描写が得意。

リンダ F.シュミッツ作:暴力を振るう父親、親子のトラウマを主題に
して作品を作り続けている。材料はすべてリサイクル化繊。

 私は「私が影響を受けた2人のアメリカ人」という題でスピーチをし
ました。
 その一人はアン・モフイット (Ann Moffitt)。 ニューヨークに来た年、
私は初めてのパーティですすめられたマティーニに酔い、廊下でぶつ
かったもう一人の金髪の酔っ払いと一緒に倒れてしまいました。
それ以来、彼女が3年前に亡くなるまで生涯のよき友人となりました。
メイン州にある彼女の別荘で毎年過ごし、ニューイングランドを通して
アメリカ人の暮らし方、クリエイティビティ、発明の才、創造力、オリジ
ナリティを学びました。
 
もう一人は私が 「アメリカ人形」 の本を出版した時、「アメリカ人でさ
え忘れている古い人形から発明の才能をよく調べて出版し、あなたの
研究している事はまさに自分のやっている国際文化交流と同じです」
と励ましのお手紙を下さった元アメリカ駐日大使、当時ハーバード大学
教授であったエドウイン O. ライシャワーさんです。アメリカに来る前に
”ニューイングランドを知らずしてアメリカを語ることは出来ません” と語
ったライシャワーさんの言葉が心に残っていたのも幸いなことでした。

 感動はエネルギーを生むと言われますが、何も知らなかった私はこ
の出会いから人生が変り、アメリカで感動の日々を送れるのも幸福な
人生といえます。

アメリカンキルト事典の出版(文化出版)で歴史を含む暮らしの中のキ
ルトを日本に初めて紹介してからすでに半世紀が過ぎました。
ラグもキルトと同じくアメリカを代表するクラフトで、アメリカの生活に密
着しています。誰でも好きなように作れ、下手上手の問題でないこと、
作る事の大事さを学びます。自分を表現できるのは作った人のみが味
わえる醍醐味です。キルトもラグも自分の家を美しく、そして楽し
く暮らすために
作られた暮らしの文化である事を忘れないでおきまし
ょう。

参考書:「アメリカンフックド・ラグ」 小林恵著 主婦と生活社 2002年
     「アメリカンキルト事典」    小林恵著 文化出版局   1982年

         「アメリカン・キルト」 小林恵著(草の根で社会を動かす針と布)
                             
白水社         1999年

 


「アメリカンフォークアート美術館ラグ展・続」

2007-06-09 05:59:43 | フックド・ラグ

ラグ再考:家があったところにはアートがあった.
 
ニューヨークタイムスに1ページをさいてフックド・ラグの記事が掲載
された。アメリカでも女性の針仕事や手作業がニュースになる事はな
かったが1991年, 私が企画した「アメリカが日本のキルトに及ぼした
影響・メイド イン ジャパン」展がキルトの記事としてはじめてニュー
ヨークタイムス 1ページで報道されたときはアメリカ人から ”でかした!
今まで一度もニューヨークタイムスが取り上げなかったキルトにフォー
カスを当ててくれて有難う」 といわれた。
 
 あれから15年の月日がたった。
本日、1面に扱われたフックドラグの記事を見て感慨にふけっている。
嬉しい事は価値観が変わっても150年も前の女性たちは認められる
か否かを考えずに創作したことである。無名の人たちが、現在の消
費社会では想像も出来ない貧しい暮らしの中でテーブルを、ベッドを、
床を飾り、創作を続け無名のままでこの世を去った。

 多くの人たちが作った事ではラグもキルトと同じ様にアメリカの社会
現象となった。家を美しくする事はアメリカン・ドリームの伝統である。
整理整頓は、アメリカ人のマネージメントの誇りである。いまでも家中
見せてくれるのは、暮らし方の創造と努力を見てもらいたいと誇らしく
思っているからである。

 ただ作るだけでなく、創作欲の発露としてトレーニングのない人たち
も暮らしを築く事に努力していた事を、アメリカの手作りから学びたいと
思う。何をどう作るか、もの作りの価値を再考する扉が開かれてきて
いる。
 私がアメリカの手作りに感動するのは、考えて作るそれぞれの動機
に心を打たれるからである。

アップリケ カーペット:1860年頃メイン州作者不明112”x158”
ウール、未使用、アメリカンフォークアート美術館蔵 

American Folk Art Museum, 45 West 53 Street New York 110019
 (近代美術館の隣り)www.folkartmuseum.org  tel: 212-265-1040
[The Great American Cover Up:American Rugs on Beds,Tables,
and Floors.] 2007年 6月5日~9月9日まで

参考:ラグ材料
  www.ny-apple.comのクリエイティビティのコラムの中の材料店
をク リック。
1)東京=ホームスパン:℡:03-5738-3310   umi@aurora.dti.ne.jp  
2)北海道地区=グリーングラス:℡:090-3890-8457 
  
y.m.takeo@gamma.ocn.ne.jp