小林恵のNY通信

NY在住47年、2011年より東京谷中に居住。創造力をのばすためのエッセンス、スパイスをいれた私の暮らしの手帖です。

「日米フックド・ラグ展・日本参加者コメント」3-1

2009-07-03 10:02:21 | フックド・ラグ

日本とアメリカが参加した日米フックド・ラグ展
がいよいよ7月10日からニュージャージーのBarron Art Centerで開
始されます。ミキモト銀座、名古屋、大阪、玉川高島屋の協力で展示
されたラグと同じものがアメリカで展示されます。凸版印刷株式会社、
Kライン ロジスティックスLTD,有限会社・ホームスパン、株式会社・
アットアームズ、TOYOTAのご協力で日米展が可能になりました。無
名の人々に、アメリカンフォークアート、しかも聞いたこともない、耳に
慣れないフックド・ラグに日本の企業が協力をしてくださったことは、
感慨無量なことでした。キルトも一般に浸透するまで10年のつく日が
必要でした。
理解できる人との巡り会い、”やりましょう”と即決をしてくださる人々
の判断で世の中の価値観を変え得ることに、やり甲斐を感じたこと
でした。
何よりもその作品を作った人へのアチーブメントを、もう一度これから
作りたい人たちへの動機になりますように作者が書いた日米参加者
全員のコメント(太字)付きで作品のご紹介をいたしましょう。展覧会を
ご覧になれなかった方と分かち合いたいと思います。皆様の質問、ご
批判、コメントなど励みになり、大歓迎です。


有吉熙 「結婚50周年を記念して」
結婚50年記念と第3回日米ラグ展を記念してストライプで平和な
人生を表現しようとしました。男性一人だけの参加でミデアが取り
上げてくれ思いもかけぬ新しい人々の 交友を楽しむことができま
した。手つくりの楽しさを実感した次第です。
(有吉さんは元三菱重工業の重役をなさっていた方で、日米展に3回
とも参加してくださいました。唯一の男性ですが女性の中に参加する
ことをちっとも気になさらない女性の味方です。唯一男性なので敬意
を表してトップですが、ABC順でもアイウエオ順でも年齢的にも必然的
にトップになるのも運命でしょうか。お嬢さん、お孫さんも完成を感動し
てくれたそうです。参加者皆も同じように感動しました。)
注)
この記事をアップしたあとで有吉夫人から2日間の入院で手術もしない
でアットいう間に有吉熙さんがお亡くなり、これを書いているとき、納骨
になったことを伺い不思議なご縁を思います。有吉熙様は心から尊敬
できる人格者で長い間の友情を心から感謝しています。ラグ完成完成
を記念して有吉さんからニューヨークに送られてれてきました手記を、
皆さんと分かち合いたいと思います。

50周年と80歳”                     2008年9月30日
(金婚式と傘寿と・・・めでたくもありめでたくもなし)
晴耕雨読といえば聞こえは良いが無為徒食、小人閉居して不全をな
す、と言った年月が早や10年を数え、なんといつの間にか80歳と相成
ってしまった。見廻せば子供たちはとうの昔に家を離れ我が家は家内
と二人きり、空き部屋が増えて寂寥の感は否めない。之まで元気に何
とかやってこれたのは家内のサポートのおかげと大感謝しているがま
ことにすまぬ話だがいつの間にか金婚式とやらも過ぎ去ってしまった。
そんな時に尊敬する小林恵先生からラグ展をやるから何かやってみま
せんかとお話をいただいた。人生一つの大きな節目とも言うべき時で
もあるし家内への感謝も込め、今までの人生の想いも込めて50年、80
歳のメモリーとして何か残してみようと考えた。何せ全く芸術的センス
はないので思いつくままにやることにした。藍染めが好きなので紺と白
を基調にしたストライプ、そして二人の干支、今までの人生の心よりど
ころの言葉 "和”を中心にしつらえた。誠に単純で平凡名デザインにな
った。幼稚な無様な格好になったが思いを込めたつもりだ。
土への良いお土産が出来たと思っている。後期高齢者には結構大
変だったので、小林恵先生には半年間、山にこもってコツコツと努力した
あたりを評価していただくとして恥を忍んで提出することにした。例に
よって最後の仕上げ等は姉上様の小林和子様にお願いしたし、作成
に際してはホームスパンの原恵子さんに大変お世話になりました。
ありがとうございました。
                                  有吉熙 記

(有吉熙様 6月29日、2009年没。 ご冥福をお祈りいたします。)


藤村奈保子 「春の川面」
川辺を散歩しながら川面をよく見るといろいろの色彩があること
を発見しました。その色をノートに書き、ストライプで川面を表現
してみました。私の処女作ですが、自分の手で作る楽しさをこれ
からも大切にしていきます。
(藤村さんはNHKの優秀なディレクターです。処女作ですが発想が素
晴らしいですね。私は経験年数で作品を評価するのはおかしいと思い
ます。少なくともアメリカンフォークアートの場合は、作り出す動機と発
想こそ評価に価すものと思います。)


福田美津江 「波」
日本の伝統的波模様はたくさんあります。残されたデザインを参
考にしながら私の波模様をストライプで表現する作業を楽しみま
した。
(福田美津江さんは、伝統的な日本淑女で静かで黙って作ってしまいま
す。手作りのベテランです。)


福田節子 「花)」
花を観察していると大写しにデザインの構想がうかびました。一
本の花を幻想的に表現し、中心を盛り上げました。花の葉の色
からインスピレーションをうけてストライプでバックを埋めました。
(玉川高島屋のラグ展の広告に選ばれましたラグです。視覚的にイン
パクトがありますね。中心に空色を使ったのが幻想的な花のデザイン
になりました。)


           
五十嵐富美 「色の息づかい」
私のイマジネーションで息づかいをストライプで表現しました。細
く、太く、長く、いろいろなリズムのある楽しい会話の息使いです。
(五十嵐富美さんは自由学園で教鞭をとっています。処女作です。
織物をマスターしているので糸の重なりを容易にデザインできるので
しょう。)


稲船佳代子 「平和と繁栄」
私の父親は魚屋を営業しています。
末永く稼業が続き、栄えますように願って、父親へのエールとラグ
習得の楽しさを含めて“福の神”をそえて父へのプレゼントです。
(娘から父への贈り物。なんと素晴らしい贈り物でしょうか。めでたいと
はことのことですね。お金で買うことができないもの。作った人が一番
創作の価値に感謝することでしょう。)


井上美沙 「四つ葉のクローバー」
幸福を呼ぶ四つばのクローバー。晴れた日に平和のシンボルで
ある鳩が四つ葉のクローバーを加えて世界の皆さんにお届けし
ます。私の処女作です。
(メルヘンチックで自然で、あまり作為がなくて素直なラグができました
ね。作り出すことは本当にすばらしいですね)


伊藤恵子 「もったいない」
“もったいない”が世界中に広がり、捨てるものに命を与え、もの
に感謝して暮らす倹約精神が広がることを願ってやみません。
すべてリサイクルウールで作りした。
(なにもないところから工夫して何かをつくルことをメイク デユ-といいま
す。(Make Do)例えば壊れたガラスのローソク立てのスタンドの部分が
残っていれば、照る照る坊主のような布地のおむすびを作ってスタンド
にかぶせ針刺しにしました。アイデアこそアメリカのエネルギーです。
今、倹約に関心がもたれ、すてきなラグも作れること、倹約と創作、こん
なすてきなことありませんね。)

          
         
泉洋子 「並木」
“日光街道”の古い木版画からインスピレーションを得てすべて
をストライプでまとめました。遠くどこまでも続く並木、暗い街道
を明るい空と太陽でコントラストを作りました。
(和泉さんの処女作です。伝統を誇る技術あるクラフトも尊敬します
が、初めて作った人もこのようなインパクトのあるデザインが出来ま
した。最近発掘され、注目を浴びたアメリカのホームレスアーチスト、
マーチン ラミレツ (Martin Ramirez):www.folkartmuseum.orgのパブリ
ケイションの覧で彼の本をご覧ください。)のイメージを彷彿とさせます。
すてきなデザインでブロッシュアの表紙に使わせていただきました。

          
金子和子 「縞模様をみる”見返り美人”」
江戸時代の絵師、菱川師宣(1618~1694)の“見返り美人”
が日本の切手になった時、いつかこのイメージをラグで表現でき
ないかと長い間考えていました。日米展に出品できて本当にラッ
キーです。
(ストライプがテーマであるこの展覧会にあたって、デザインイメージ
は各自の自由にしました。こうしなさいとは教えていません。各作者の
好きなようにデザインすることを奨励しています。
誰かの真似はよくないともの声もありましたが、達人たちのイメージを
学ぶことからでも本人にとって素晴らしい発見があることでしょう。)

日本で展覧した日米ラグは全部で55点です。数度に分けてブログに
アップいたします。途中でなんども消えてしましい、やめようかとおもい
ましたが、苦労の末、何とか出来ました。

写真提供:高橋仁巳
大奮闘の結果ですから少々のボケは私のせいですからお許しください。
まだ理由を把握出来ていません。お世話になりますがどうぞよろしく。

ラグのインフォメーション
お問い合わせ:ホームスパンショップ
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-19-7 コーポラフォレ1F
電話:03-5738-3313
(土、日、祝日、休み) 第4土曜日はオープン)


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