散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

20年間の労働者減少は400万人~日本の「ものづくり」業は衰退

2014年09月02日 | 経済
この十年間に、電子・電気機器産業等の一部輸出企業の国際競争力は低下し、エネルギー原料等の価格上昇と共に、交易条件の悪化を招いた。その結果、齊藤誠教授の指摘する様に日本から海外への所得漏出は加速した。
 『「日本経済を取り巻く国際環境」140831』

それは当然、労働市場にも関連するし、反映もしている。
加藤涼氏は「ニッポンの製造業から消えた400万人労働者の行方」(2014/5/8)において、この20年間の製造業の労働人口動向を分析し、日本の労働市場の問題点と課題を提起する。以下、図面も含めて引用し、紹介する。

日本の就業者数の総数は、1995年以降、概ね6400万人前後で安定的に推移してきた。それを製造業と非製造業を取り出して下図(製造業・比製造業の雇用者数)の様に大別すると、その構造変化が明瞭になる。



製造業  1,400万人(92年)―1,000万人(2012年) 単調減少
非製造業 3,800万人(92年)―4,500万人(2012年) 単調増加
数字上は、90年代以降、製造業は継続的減少で400万人程度の削減になり、その400万人が非製造業に吸収された形だ。では、この部門間移動は、
1)自発的に転職? 2)製造業でリストラ・解雇?

もちろん、いずれでもない。
製造業の雇用の縮小の主因は、「(新卒を中心とした)採用の抑制」である。
下図(製造業の入職・離職率)に示す様に、事業所側の都合で離職率が上がった時期は、2001-02年の世界金融危機だけだ。また、廃業(倒産)による離職も寄与は小さい。結局、定年、自己都合等によって従業員数の約1割が毎年離職する状況が常態化、多くの職場で補充されず、人員減が着実に進んだ。


 
では、女性の退職は自己都合で多い?統計では以下の様に大幅に減少だ。
「製造業での女性従業員の割合」―400万減少の半分は女性!
92年35%(490万) 02年32.5%(360万) 12年29%(290万)

退職後、一年以上の不就労を経て転職する人の中で、女性は6-7割を占める。特に、結婚、出産を契機に退職し、その後、再就職する人は多い。1995-2010年に公的年金において扶養されている配偶者の総数が200万人減少した。

この事実を付き合わせれば、主に既婚女性の労働市場への参加、即ち、共働き世帯の増加、それも主として非製造業におけるパート雇用がその受け皿になっていると推察できる。

以上の様に、製造業の雇用者数の減少は国内での「ものづくり」が衰退していることを示す。一部の企業が衰退しても、勃興する企業もあり、それをカバーし、なおかつ、全体として成長してゆくことが必要だ。

その中で、労働者が業種転換、職種転換を図っていけば、雇用全体としてバランスがとれる。女性の再就職がパート業を中心にして展開されていけば、衰退はますます、加速されていくだけだ。

      

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