先ず、講演を聴いた時の筆者の感想を当時のままで書いておく。
『知的立国は地域において自立した市民により支えられる。市民の自立には、質の高い「教育」と「知の拠点」の存在が必要である。その「知の拠点」が図書館である。従って、「義務教育」と「図書館」は無償である。』
図書館についてこれだけ根源的なミッションを与えたのは初耳で、最近稀にみる創造的な提案と感じた。これがショックです!「義務教育」と「図書館」が並置されていることも。「地域の学習拠点」或いは「地域を知る窓口」としての図書館という位置づけは、川崎市ならずとも良く聞かれるが。
筆者自身、今も市立図書館のお世話になり、また、レファレンスに関しては、都立中央図書館を利用し、その有用性は疑う余地はない。ところが話では、市民自治の基盤としての地域図書館、それも地域活動を含めてレファレンス機能の充実がポイントとのことで、途中から自分のことに引きつけて聞いていた。
講演内容も図書館だけでなく、経験に基づいた自治行政のあり方にも時間を割き、有権者の意識改革として、選挙で選び、ダメだったら次の選挙で落とす、直ぐにという場合はリコールする、これが基本、と強調していた。
以下、講演内容の抜粋(レジュメとメモから)になる。
1)「知的立国と知の地域づくり」
「知的立国」とは
科学技術立国…科学技術の力で国民を豊かにし、世界に貢献する
文化芸術大国…質の高い文化芸術が国民を心豊かにし、世界の人々を魅了する
清潔で透明性の高い政府…土建国家、軍事大国、金満国家でなく、教育を重視
自立した市民…良質の政府を形成し、科学技術や文化芸術を支える賢明な市民
「知の地域づくり」とは…自立した市民により知的立国を地域で支える
「市民の自立」とは
自ら考え、自ら判断・決定し、自ら行動する
自己の潜在能力を十分生かして自己実現を図り、社会に貢献する
自立には、質の高い「教育」と「知の拠点」の存在が必要
…「義務教育」と「図書館」が無償の理由
「図書館のミッション」とは
…「誰のために」、「何の目的で」存在するか
…図書館は市民の自立を支えるための「知の拠点」
…現状、図書館は個別に分断され、子どもと高齢者の利用
「地域図書館」とは
…市民が自ら考え、自ら行動するために必要な知識や精報を提供
(例えば以下のような分野)
・地球環境問題と地域の取組み
・基礎的自治体のあり方と市町村合併への対応
・草の根自治を知る…欧米の地方自治に関する情報など
・教育…北欧の教育事情に関する情報など
・文化芸術…日常的に文化芸術に親しみ、心豊かな生活を送るには
・仕事…職業に必要な技術、制度、経済、統計などの情報や知識を提供
・生活や子育て…地域や家庭のカの弱体化を補う、的確な情報提供機能が必要
・健康と病気…病気や健康に関する情報提供、個人の健康回復や心の平安
→「闘病者文庫」(知・情報の分類と統合により役立つ存在に)
・地域の歴史や文化、伝統などの資料・情報
…市民主体の「地域の自立」に欠かせない
大学図書館…学生と研究者、それに経営・事務部門に対しても支援
県庁図書室…職員が中央官庁に依存しないで政策立案に必要な資料・情報にアクセス
議会図書室…議員が執行部に依存しないで必要な資料や情報を入手できる
→中央官庁、執行部は都合の良い情報だけを出す 確かめる・裏をとる必要
学校図書館
・子どもが主体的に学ぶ『生活習慣』を育む一将来の地域図書館の良き利用者に
・職業・就業観を養う一自立し職に就くイメージを掴み、進路選択に自信を
・教職員の教材づくりや様々な仕事のサポート
図書館がミッションを果たす
…資料・情報と利用者との媒介機能(司書)が不可欠
・司書の役割
…情報を分類、整理、まとめる アドバイス・支援 司書なし→貸本屋
・多くの自治体では十分な予算、人員が確保されていない現状…蔵書、司書
・図書館行政が「質素」な東京都…3,000億円の財源余剰を国に召し上げられる
2)図書館の整備充実など「知の地域づくり」から見た自治体改革のあり方
教育委員会(5人の教育委員)は自立し、住民・保護者から信頼されているか
学校経営者の自覚とマネジメント能カ…現場の課題を解決する気概と力量
独自の財政権ない、関係予算・議案について首長から意見を聴かれる法的権利
首長の「知」に対するリテラシーは高いか…図書館のミッションを理解?
一般に政策選択がハード事業などに偏る、文化や芸術、教育への関心は低い
財政難に陥った原因一過去多くの自治体は『非知」の事業で大量の借金
議会のリテラシーはどうか
教育委員の選任に同意し、ハード事業中心の予算を承認してきたのは議会
市民全体の視点でのシステム改革ではなく、個別案件を口利きで処理する傾向
多くの自治体議会は、「知の地域づくり」でリーダーシップがとれない
有権者の意識改革と議会制度(選び方、選ばれ方)の改革が求められる
自治体の行政改革と知の地域づくり
…指定管理など自治体業務の外部化をどう考えるか
利用者に提供するサービスの質の向上につながるか
『知の拠点」が質の高い組織・集団として持続可能か
単にコスト縮減のためのツールに堕している、非知性的行政改革の典型例
自治体の予算は、全体について広い視点から優先劣後が論じられているか
予算編成過程の透明化一主権者である住民に対し十分な情報公開
・議会は予算・決算を十分に審議・審査しているか
…根回し・談合、八百長と学芸会はないか
行政改革は総務省主導でなく、現場の必要に基づき行うべき
総務省主導の行革、質を問わず量(定数・予算削減)のみに関心
…安かろう、悪かろう
行政改革は本来役所・議会と市民との対話で決められるべきもの
『知的立国は地域において自立した市民により支えられる。市民の自立には、質の高い「教育」と「知の拠点」の存在が必要である。その「知の拠点」が図書館である。従って、「義務教育」と「図書館」は無償である。』
図書館についてこれだけ根源的なミッションを与えたのは初耳で、最近稀にみる創造的な提案と感じた。これがショックです!「義務教育」と「図書館」が並置されていることも。「地域の学習拠点」或いは「地域を知る窓口」としての図書館という位置づけは、川崎市ならずとも良く聞かれるが。
筆者自身、今も市立図書館のお世話になり、また、レファレンスに関しては、都立中央図書館を利用し、その有用性は疑う余地はない。ところが話では、市民自治の基盤としての地域図書館、それも地域活動を含めてレファレンス機能の充実がポイントとのことで、途中から自分のことに引きつけて聞いていた。
講演内容も図書館だけでなく、経験に基づいた自治行政のあり方にも時間を割き、有権者の意識改革として、選挙で選び、ダメだったら次の選挙で落とす、直ぐにという場合はリコールする、これが基本、と強調していた。
以下、講演内容の抜粋(レジュメとメモから)になる。
1)「知的立国と知の地域づくり」
「知的立国」とは
科学技術立国…科学技術の力で国民を豊かにし、世界に貢献する
文化芸術大国…質の高い文化芸術が国民を心豊かにし、世界の人々を魅了する
清潔で透明性の高い政府…土建国家、軍事大国、金満国家でなく、教育を重視
自立した市民…良質の政府を形成し、科学技術や文化芸術を支える賢明な市民
「知の地域づくり」とは…自立した市民により知的立国を地域で支える
「市民の自立」とは
自ら考え、自ら判断・決定し、自ら行動する
自己の潜在能力を十分生かして自己実現を図り、社会に貢献する
自立には、質の高い「教育」と「知の拠点」の存在が必要
…「義務教育」と「図書館」が無償の理由
「図書館のミッション」とは
…「誰のために」、「何の目的で」存在するか
…図書館は市民の自立を支えるための「知の拠点」
…現状、図書館は個別に分断され、子どもと高齢者の利用
「地域図書館」とは
…市民が自ら考え、自ら行動するために必要な知識や精報を提供
(例えば以下のような分野)
・地球環境問題と地域の取組み
・基礎的自治体のあり方と市町村合併への対応
・草の根自治を知る…欧米の地方自治に関する情報など
・教育…北欧の教育事情に関する情報など
・文化芸術…日常的に文化芸術に親しみ、心豊かな生活を送るには
・仕事…職業に必要な技術、制度、経済、統計などの情報や知識を提供
・生活や子育て…地域や家庭のカの弱体化を補う、的確な情報提供機能が必要
・健康と病気…病気や健康に関する情報提供、個人の健康回復や心の平安
→「闘病者文庫」(知・情報の分類と統合により役立つ存在に)
・地域の歴史や文化、伝統などの資料・情報
…市民主体の「地域の自立」に欠かせない
大学図書館…学生と研究者、それに経営・事務部門に対しても支援
県庁図書室…職員が中央官庁に依存しないで政策立案に必要な資料・情報にアクセス
議会図書室…議員が執行部に依存しないで必要な資料や情報を入手できる
→中央官庁、執行部は都合の良い情報だけを出す 確かめる・裏をとる必要
学校図書館
・子どもが主体的に学ぶ『生活習慣』を育む一将来の地域図書館の良き利用者に
・職業・就業観を養う一自立し職に就くイメージを掴み、進路選択に自信を
・教職員の教材づくりや様々な仕事のサポート
図書館がミッションを果たす
…資料・情報と利用者との媒介機能(司書)が不可欠
・司書の役割
…情報を分類、整理、まとめる アドバイス・支援 司書なし→貸本屋
・多くの自治体では十分な予算、人員が確保されていない現状…蔵書、司書
・図書館行政が「質素」な東京都…3,000億円の財源余剰を国に召し上げられる
2)図書館の整備充実など「知の地域づくり」から見た自治体改革のあり方
教育委員会(5人の教育委員)は自立し、住民・保護者から信頼されているか
学校経営者の自覚とマネジメント能カ…現場の課題を解決する気概と力量
独自の財政権ない、関係予算・議案について首長から意見を聴かれる法的権利
首長の「知」に対するリテラシーは高いか…図書館のミッションを理解?
一般に政策選択がハード事業などに偏る、文化や芸術、教育への関心は低い
財政難に陥った原因一過去多くの自治体は『非知」の事業で大量の借金
議会のリテラシーはどうか
教育委員の選任に同意し、ハード事業中心の予算を承認してきたのは議会
市民全体の視点でのシステム改革ではなく、個別案件を口利きで処理する傾向
多くの自治体議会は、「知の地域づくり」でリーダーシップがとれない
有権者の意識改革と議会制度(選び方、選ばれ方)の改革が求められる
自治体の行政改革と知の地域づくり
…指定管理など自治体業務の外部化をどう考えるか
利用者に提供するサービスの質の向上につながるか
『知の拠点」が質の高い組織・集団として持続可能か
単にコスト縮減のためのツールに堕している、非知性的行政改革の典型例
自治体の予算は、全体について広い視点から優先劣後が論じられているか
予算編成過程の透明化一主権者である住民に対し十分な情報公開
・議会は予算・決算を十分に審議・審査しているか
…根回し・談合、八百長と学芸会はないか
行政改革は総務省主導でなく、現場の必要に基づき行うべき
総務省主導の行革、質を問わず量(定数・予算削減)のみに関心
…安かろう、悪かろう
行政改革は本来役所・議会と市民との対話で決められるべきもの