散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

「請願者による陳述」を求める請願~After Sixteen Years

2023年06月27日 | 地方自治

古い書類の中に埋もれていた書類、タイトルは「請願及び陳情の審議の中で、提出者に発言の機会を与えること」とある。川崎市議会を語る会、代表として筆者が提出した。また、請願には紹介議員が必要で、議員3名の達筆な署名が見られる。

提出日は「平成19年(西暦2007年)12月17日」、その直ぐ脇にエンピツ書きで、「20年2月14日、継続審査」とある。しかし、審査は無かった。結局、そのまま放置で「廃案」とする処理であった。2011年3月の選挙活動では、全国的に地方議会改革で盛り上がり、しかし、11日の東日本大震災で4月の選挙日では「議会改革」の騒ぎはなくなっていた。

しかし、「語る会」としては選挙以降を目指し、各会派の選挙公約(議会改革編)を集めることにした。また、新聞等のマスメディアでの党首等の発言なども集め、動かぬ証拠も残しておいた。特に公明党の山口委員長は「議会による市民への報告会開催」等の積極的発言をされ、我々にとって助けとなった。選挙結果は自公が従来通りの多数派を形成、それでも公約は残る。それが頼りであった。

先ずは公明党をターゲットに「公約実行を迫る」!自民との相談で「議会改革委員会」の設立へ向かっているとのこと。対して、継続審査となり、結果として選挙前に廃案となった我々の提案を議題の一部として取り上げるように主張した。

その結果、年末12月に漸く、「議会改革運営協議会」が「議会運営委員会」の下部組織として設立され、個々の議題も確定された。当会提案、先に廃案とされた案が装いを変えて「運営協議会」へ上程された。

奇妙な話だ‼

市民による請願が、議会運営委員会案へと摩り替ってしまった!結果は推してしるべし。その後、「議会改革」が議会として構想され、実行に移され、三期12年が経過した。その前に市民が構想してからは16年!

 


精神疾患を生きる~素敵な共同体

2023年06月16日 | 文化

昨日(15日)、久しぶりに映画を観た。「川崎市アートセンター」は川崎市の岩波ホール的な存在、『アダマン号に乗って』は「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるドキュメンタリーの巨匠ニコラ・フィリベール(仏)が見出だし、表現へと導いた、奇跡のような共同体が描かれた感動的な作品(2022年作)だ。

パリのセーヌ川右岸に係留されている船アダマン号は、精神疾患のある人々のためのデイケアセンターだ。ここでは仕事をする人も、お客さんも、みんながそれぞれの役割を果たしながら、ともにふれあい、喜びを分かち合う。23年ベルリン国際映画祭・金熊賞(最高賞)を受賞した。

因みに「adamant」とは、英語で「断固とした」「頑固な」という意味を持つ形容詞だ。

「ぼくの好きな先生」「人生、ただいま修行中」などで知られるフランスのドキュメンタリー監督ニコラ・フィリベールが、パリのセーヌ川に浮かぶデイケアセンターの船「アダマン号」にカメラを向けたドキュメンタリー、2時間の大作。

パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船「アダマン号」は、精神疾患のある人々を迎え入れ、文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供し、社会と再びつながりを持てるようサポートしている、ユニークなデイケアセンターだ。

そこでは自主性が重んじられ、絵画や音楽、詩などを通じて自らを表現することで患者たちは癒しを見いだしていく。そして、そこで働く看護師や職員らは、患者たちに寄り添い続ける。誰にとっても生き生きと魅力的なアダマン号という場所と、そこにやってくる人々の姿をカメラワークで捉えている。

観客は30名程度であっただろうか、その一人として筆者は映画の中での会話、やりとり等を理解できなかった。会話が進んでいる感じがしなかったからだ。繰り返し、言い直し、聞き違い…何を話しているのか。2時間の大作、最初の30分から45分あたりまでは、同じことが続くのか…との思いだった。

しかし、その後、そんな遣り取りに意味がありそうだと気が付くようになった。各人が何かに関心を持ち、それに拘り、それを周りの人たちが理解すると、喜びの表情を表すこと等、理解しながら観るようになる。バライティに富んだ精神疾患の人たち、その人たちを理解しながらサポート活動をする人たち。その世界が描かれている。壮大な世界が!観ながらそう感じとれたのは90分を過ぎた頃か?とんでもなく見事な作品だと坐り直したはずだ。ところが、暫く熱中した頃には眠りに落ちたらしい…。気が付けば、ラストシーンで俳優名が…、慌てたわけではないが、席を立つ。

この記事を書いている今も…奇跡のような共同体の豊かさを始めて感じとれたと。