報道によれば、安倍首相は29日に召集された通常国会における所信表明において、今国会を「地方創生国会」と位置づけ、「地方の個性を活かす」、「女性が輝く」ことによって成長戦略を進めると表明した。
「地方と女性」を主役にするのも悪くはないが、「都会と男性」は脇役か、それでグローバル化の環境のなかで打ち勝っていけるとの甘い見込みなのかと、半畳を入れるのも野暮かも知れない。
知人が安倍首相の云う“地域”の中に、この辺り(川崎市内の住宅地域)は入っているのかと聞くから、「どこも入っていないよ。首相が頭の中に描く幻想の社会の話だよ」と、答えておいた。冗談ではなく、経済の主体は企業であり、特に牽引役を務める大企業の役割は大きいことは論を待たない。
なかで、日本の主要産業・電子産業の衰退が目立つ。今年の正月に「ニッポン半導体、なぜつまずいた 巨艦日立の教訓」が日経に掲載された。10年前に5兆円あった電子産業の貿易黒字が昨年1-9月に赤字に転落した。
そこで、何故か?を問いかけている。以下、引用する。
先ず、半導体企業の売上高順位の歴史的推移を示す。
順位 1990年(540億$) 2000年(2330億$) 2013年(3200億$)
1 NEC インテル(米) インテル(米)
2 東芝 東芝 サムソン(韓)
3 モトローラ(米) NEC クアルコム(米)
4 日立 サムソン(韓) SKハイニックス(韓)
5 インテル(米) TI(米) マイクロン(米)
6 富士通 STマイクロ(ス) 東芝
7 TI(米) モトローラ(米) TI(米)
8 三菱 日立 STマイクロ(ス)
9 フィリップス(蘭)インフィニオン(独) ブロードコム(米)
10 松下 マイクロン(米) ルネサス
世界全体での売上高は2000年で10年前の4倍強、2013年ではそれ程の伸びはないが、50%弱の伸びを示す。日本勢は2000年での売上げは伸ばしているが、順位は下降し、それが2013年で東芝は横這い、日立と三菱の半導体部門が合体したルネサスは下降、更に、NECと日立のDRAM部門が合体したエルピーダはマイクロン傘下に入った。
以上のことを背景に、日経の記事では次の様に云う。
「円高、貿易摩擦あるいはアジア企業への技術流出が重なり、それが失速を招いたというのが外的要因主犯説」。しかし、「組織内部に問題の根っこが隠れていることが多い。外からの逆風が加わり、日の丸半導体の没落が現実になった」。
「会社の文化は歴史が育む。日立の社風の大きな特徴が予算主義だ…電力会社は長期の投資計画をつくる。そこに設備を納める日立の重電部門も先の見通しが立ちやすい。得意先は財務の安定した大手電力に限られる」。
「一方、半導体が想定通りに進むのは、むしろ例外。受注の取消し、ライバルの安値攻勢が日常茶飯…その時々の情勢変化に応じて迅速に動くことが重要。でも、それが理解してもらえない」。
「急成長したサムスン電子は市況が低迷している時にあえて巨額の投資をする逆張りの発想で成功した…半導体事業に求められるダイナミズムを経営陣がどこまで理解したかが、彼我の格差を生んだ大きな要因だ」。
「日立の半導体事業を通じて見えてくるのは製品サイクルが短く、技術革新の時間軸が速い事業分野で日本勢の劣勢が目立つことだ。半導体産業の興亡史が示す教訓をどう生かすか、日本の電子産業の将来を左右する」。
2000年はインテルの存在感が際立つ。日本勢に代わったのが韓台勢だ。サムスンは圧倒的な資金力で大規模投資を続け、後にメモリー分野で首位に立つ。台湾ではTSMCがファウンドリー事業モデルを確立した。
設計・開発に専念する「ファブレス」企業も存在感を高め、2013年には通信用半導体のクアルコム、ブロードコムが10位内に入った。現在、技術開発のハードルは高く、開発費が巨額で資金力のあるインテル、サムスン、TSMCの「ビッグ3」とその他企業の差が拡大している。
以上は素描であって、原因も内幕情報でしかない。それにしても成長戦略を遂行するには、産業・教育の行方にもっと関心を持つ必要がある様に思う。
「地方と女性」を主役にするのも悪くはないが、「都会と男性」は脇役か、それでグローバル化の環境のなかで打ち勝っていけるとの甘い見込みなのかと、半畳を入れるのも野暮かも知れない。
知人が安倍首相の云う“地域”の中に、この辺り(川崎市内の住宅地域)は入っているのかと聞くから、「どこも入っていないよ。首相が頭の中に描く幻想の社会の話だよ」と、答えておいた。冗談ではなく、経済の主体は企業であり、特に牽引役を務める大企業の役割は大きいことは論を待たない。
なかで、日本の主要産業・電子産業の衰退が目立つ。今年の正月に「ニッポン半導体、なぜつまずいた 巨艦日立の教訓」が日経に掲載された。10年前に5兆円あった電子産業の貿易黒字が昨年1-9月に赤字に転落した。
そこで、何故か?を問いかけている。以下、引用する。
先ず、半導体企業の売上高順位の歴史的推移を示す。
順位 1990年(540億$) 2000年(2330億$) 2013年(3200億$)
1 NEC インテル(米) インテル(米)
2 東芝 東芝 サムソン(韓)
3 モトローラ(米) NEC クアルコム(米)
4 日立 サムソン(韓) SKハイニックス(韓)
5 インテル(米) TI(米) マイクロン(米)
6 富士通 STマイクロ(ス) 東芝
7 TI(米) モトローラ(米) TI(米)
8 三菱 日立 STマイクロ(ス)
9 フィリップス(蘭)インフィニオン(独) ブロードコム(米)
10 松下 マイクロン(米) ルネサス
世界全体での売上高は2000年で10年前の4倍強、2013年ではそれ程の伸びはないが、50%弱の伸びを示す。日本勢は2000年での売上げは伸ばしているが、順位は下降し、それが2013年で東芝は横這い、日立と三菱の半導体部門が合体したルネサスは下降、更に、NECと日立のDRAM部門が合体したエルピーダはマイクロン傘下に入った。
以上のことを背景に、日経の記事では次の様に云う。
「円高、貿易摩擦あるいはアジア企業への技術流出が重なり、それが失速を招いたというのが外的要因主犯説」。しかし、「組織内部に問題の根っこが隠れていることが多い。外からの逆風が加わり、日の丸半導体の没落が現実になった」。
「会社の文化は歴史が育む。日立の社風の大きな特徴が予算主義だ…電力会社は長期の投資計画をつくる。そこに設備を納める日立の重電部門も先の見通しが立ちやすい。得意先は財務の安定した大手電力に限られる」。
「一方、半導体が想定通りに進むのは、むしろ例外。受注の取消し、ライバルの安値攻勢が日常茶飯…その時々の情勢変化に応じて迅速に動くことが重要。でも、それが理解してもらえない」。
「急成長したサムスン電子は市況が低迷している時にあえて巨額の投資をする逆張りの発想で成功した…半導体事業に求められるダイナミズムを経営陣がどこまで理解したかが、彼我の格差を生んだ大きな要因だ」。
「日立の半導体事業を通じて見えてくるのは製品サイクルが短く、技術革新の時間軸が速い事業分野で日本勢の劣勢が目立つことだ。半導体産業の興亡史が示す教訓をどう生かすか、日本の電子産業の将来を左右する」。
2000年はインテルの存在感が際立つ。日本勢に代わったのが韓台勢だ。サムスンは圧倒的な資金力で大規模投資を続け、後にメモリー分野で首位に立つ。台湾ではTSMCがファウンドリー事業モデルを確立した。
設計・開発に専念する「ファブレス」企業も存在感を高め、2013年には通信用半導体のクアルコム、ブロードコムが10位内に入った。現在、技術開発のハードルは高く、開発費が巨額で資金力のあるインテル、サムスン、TSMCの「ビッグ3」とその他企業の差が拡大している。
以上は素描であって、原因も内幕情報でしかない。それにしても成長戦略を遂行するには、産業・教育の行方にもっと関心を持つ必要がある様に思う。