この番組は団塊世代向けなのだろうか。番組紹介のなかで、「東大紛争」が突き付けたもの、との言葉があった。何を今更との感じをもって、それでも気になるから、結局、チャンネルを入れざるを得なかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/44/1f10b455d731f38ac9615d368105a033.jpg)
写真1 「安田講堂への機動隊導入」(当時);NHK番組紹介
東大紛争は医学部での紛争が全学的に拡大したもので、上記の「写真1」にあるように、1969年1月の機動隊導入により、「安田城攻防戦」が行われ、全共闘側の学生が機動隊によって、実力で排除された。NHKは「昭和史に残るこの大事件にまつわる第一級の資料を独自に入手」とのオーバーな表現で番組を組んでいた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/68/93b2e395d5f0366361ab7d26bb895f83.jpg)
写真2 「大学執行部の座談会記録」
その第一級の資料が「写真2」だ。安田講堂陥落の直後、当時の大学執行部が紛争の顛末を極秘裏に語り合った座談会の600頁に及ぶ議事録である。写真で確かにそのようなものがあること、当時の加藤代行と、その下で執行部として活動していた当時の大学行政機構の幹部教授を合わせて6名によるもの。
しかし、当時の機構の中での議論ではなく、その後の座談会という処が、極めて異色な資料である。また、6名の全員が紹介されたわけではなく、No.2的存在の大内力教授、当時は若く、現在でも唯一の存命者である坂本義和教授の意見が紹介されているだけであった。
その内容は、番組紹介によれば、「東大紛争に関してはこれまで学生側の証言や資料は多く刊行されてきたが、紛争の収束に向けて大学側は何を考え、どう行動したかについては全くわかっていなかった。」
「今回の記録には、6名の教授たちが事件の裏側を告白…大学側が学生だけでなく、機動隊導入や入試実施の是非をめぐって国とも激しく対峙し、そして「敗北」していったことが初めて明らかになってきた。」としている。
しかし、そんなことは結果から明らかなはずだ。
番組では、国谷裕子キャスターが「資料の中では学生に突きつけられた問題については何も議論がない」などとピンと外れの指摘をしていた。
しかし、問題は大学管理であって、無残にも落城した安田城を視察した佐藤首相の「これでは大学に管理能力はないな」との言葉が筆者の記憶に残っている。即ち、これがすべてで、「大学の自治」以前の問題なのだ。
当時、入試試験の中止等も含め、自民党の文教族が張り切っていたのは、天下周知の事実だ。当然、政治的圧力は坂田文相を通して掛けられたことも想像に難くない。教授たちの愚痴を残していたこと以外に何か書かれていたのだろうか。今回、テレビを通して公開された部分に限っては、間の抜けた資料と言う他はない。
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写真1 「安田講堂への機動隊導入」(当時);NHK番組紹介
東大紛争は医学部での紛争が全学的に拡大したもので、上記の「写真1」にあるように、1969年1月の機動隊導入により、「安田城攻防戦」が行われ、全共闘側の学生が機動隊によって、実力で排除された。NHKは「昭和史に残るこの大事件にまつわる第一級の資料を独自に入手」とのオーバーな表現で番組を組んでいた。
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写真2 「大学執行部の座談会記録」
その第一級の資料が「写真2」だ。安田講堂陥落の直後、当時の大学執行部が紛争の顛末を極秘裏に語り合った座談会の600頁に及ぶ議事録である。写真で確かにそのようなものがあること、当時の加藤代行と、その下で執行部として活動していた当時の大学行政機構の幹部教授を合わせて6名によるもの。
しかし、当時の機構の中での議論ではなく、その後の座談会という処が、極めて異色な資料である。また、6名の全員が紹介されたわけではなく、No.2的存在の大内力教授、当時は若く、現在でも唯一の存命者である坂本義和教授の意見が紹介されているだけであった。
その内容は、番組紹介によれば、「東大紛争に関してはこれまで学生側の証言や資料は多く刊行されてきたが、紛争の収束に向けて大学側は何を考え、どう行動したかについては全くわかっていなかった。」
「今回の記録には、6名の教授たちが事件の裏側を告白…大学側が学生だけでなく、機動隊導入や入試実施の是非をめぐって国とも激しく対峙し、そして「敗北」していったことが初めて明らかになってきた。」としている。
しかし、そんなことは結果から明らかなはずだ。
番組では、国谷裕子キャスターが「資料の中では学生に突きつけられた問題については何も議論がない」などとピンと外れの指摘をしていた。
しかし、問題は大学管理であって、無残にも落城した安田城を視察した佐藤首相の「これでは大学に管理能力はないな」との言葉が筆者の記憶に残っている。即ち、これがすべてで、「大学の自治」以前の問題なのだ。
当時、入試試験の中止等も含め、自民党の文教族が張り切っていたのは、天下周知の事実だ。当然、政治的圧力は坂田文相を通して掛けられたことも想像に難くない。教授たちの愚痴を残していたこと以外に何か書かれていたのだろうか。今回、テレビを通して公開された部分に限っては、間の抜けた資料と言う他はない。