散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

吉村大阪府知事による“地方主導権”~コロナ対策を巡って

2020年06月11日 | 地方自治
吉村知事は「大阪維新の会」に所属する。大阪市を解消し、大阪都を名乗り、世界の大阪を目指す。即ち「上を向いて歩く」考え方だ。当然“地方主導権”を実行しようと意気込む。
しかし、問題はこの危機において地べたを視ることになるが、隈なく視られるのか?そこが最大の課題だ!

氏は「緊急事態宣言は必要だった」との認識を示すが、その延長(5/31)に対しては「まずいなと思った」と振り返る。そこで、大阪モデル策定を決断、大阪の出口戦略を示し、延長との国の方向が策定された際に、そのモデルを基に対策を実施した。

その辺りから、府の対策を進めるだけでなく、国に対して厳しく注文をつける。
全国知事会WEB会議(6/4)において、以下の二点、
「感染症対策と共に社会経済を元に戻していく戦略の提示」及び
「第二波に向けて専門家による今回の対策の検証」を国へ注文する。
当然、府も同じことを実施する上での話だ。特に緊急事態宣言による「人との接触8割減」の有効性を「科学に基づいて判断すべき」として、府専門家会議で取り上げる考えを示す。

その一方、感染ピークは3月との仮説を示す。府内の新規感染者がピークに達した3月下旬から4月上旬にかけての感染状況を検証、ピークアウトの要因を分析し、再警戒を促す「大阪モデル」の基準値を見直す考えを示す。 
更に第2波に備えた対策の柱として、社会経済活動の継続を念頭に、対象範囲を絞る休業要請の考え方を取り入れる。

 吉村氏は記者団に「今は、外に出ずお店は閉めてくださいという選択肢しかない。
(感染者の)数が増えてきたら同じ道を歩むというのが、
国家として正しい進み方なのか」と指摘。
「休業要請をかけずとも、感染症対策を講じて何とか抑えられる選択肢へ、リスクのあるところだが、大阪府は一歩踏み出す」と強調する。

しかし、休業/失業は歓楽街だけではなく、社会全体の問題だ。
知事はテレビ生放映(6/7 AbemaTV)で芸能人を相手に「飲んだり、食べたり」の話を例示したそうだが、「食べる」ことに苦労している人たちがいる。また、それを助ける地域ボランティア活動への支援も視野に入れる必要がある。
政府の対策を「危険な方向に向かっている」と批判する前に、それらの対策の促進を具体的に求めることも必要だ。それこそが地方主導権の核心部分に思える。

最大の課題(地方自治体の長として地べたを隈なく視る)には、まだ欠損を含んでいるように思える。
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小池都知事による“地方主導権”~コロナ対策を巡って

2020年06月07日 | 地方自治
先に地方自治体首長のコロナウィルス対応の積極性に新たな地方自治のアプローチの到来を感じ、それは住民の理解を伴う『地方主導権』と呼べるものだ、と書いた。

小池東京都知事の場合を、竹中治堅教授(政策研究大学院大学)の論考をもとに考えてみる。
安倍首相の緊急事態宣言発令(20/4/7)からその延長(5/8)へ至る内閣と都の対立だ。

緊急事態宣言の対象地域は東京都と隣接三県、大阪府、兵庫県、福岡県だ。その後、首相は期限(5/4)の五月末延長を決断する。その最大要因は医療機関に一万人程度の患者が入院、医療機関の状況が逼迫しているからだ。論考ではその政治過程を振返っている。
 先ずは安倍内閣と東京都が休業要請のやり方を合意するまでの経緯だ。

最初に、宣言に対する世論の反応をまとめている
 宣言を出したタイミング~世論調査、国民は不満
  毎日新聞 回答者70% 宣言時期「遅すぎる」調査掲載4/9
  読売新聞    81%     「遅すぎた」 同上  4/14
  朝日新聞 ほぼ同様の結果、プラス以下、
       内閣の対応を評価しない、首相が指導力を発揮していない 53%、57%

次に宣言発出後の内閣と都の対立へと話は移る
 ・発表に至るまでに、内閣と都の感染防止策に対する考えの違いが明らかに

「都の考え」
 緊急事態宣言発令後、小池東京都知事(4/10) 広範な業種に休業要請
 ・特措法24条9項を積極的に活用
   映画館、ライブハウス、バー等 休業「要請」
   生活必需品に関連しない小売店舗等 休業「協力依頼」(要請の法規定無)
   飲食店 営業時間を5-20時、酒類販売~19時
   休業要請に応じた中小事業者、個人事業主へ 最高100万円の協力金支給
    (東京都補正予算発表(4/15))

「内閣の考え」
 外出自粛を国民に要請、2週間程度様子見→休業要請
 国は宣言発出と合わせて
 新型コロナウィルス感染症対策基本対処方針(3/28)を改正
  ・基本的対処方針は感染防止策、まん延防止に対し、
  ・まずは特措法第45条第1項に基づく外出の自粛等の協力要請
  ・次に、都道府県による法第24条第9項に基づき休業要請
  ・その後、強制力の強い、特定都道府県による第45条第2項ー第4項活用

結局、安倍内閣が妥協へ
 内閣が早期かつ広範な休業要請に躊躇したのは経済への悪影響を恐れるから
 一方、都は感染者急増に危機感を覚え、国との調整不調の場合、単独要請を決意

 →内閣は「足を引っ張っている」と国民に捉えられることを恐れる

以上が竹中教授による「国対東京都」の対立の様相だ。
混沌とした状況が良く整理され、政治事象における意思決定過程を理解可能にしている。

小池東京都知事によって、コロナウィルス対策への国民的意思が明確化され、その後の様々な政策の基盤になったと筆者は考え、「地方主導権」の一例として提示する。

但し、その小池東京都知事の政治的意志の根源にあるのは“都民ファースト”であろうか?首長である以上はその地域住民の福祉を考えることは当然だ。しかし、今回の国に対する押し切り方は、更なる“権力への意志”を筆者は感じる、政治家としての!
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国民の評価とは~コロナ対応を巡って

2020年06月03日 | 国内政治
国民の評価とは~コロナ対応を巡って

安倍首相のコロナ対応への評価を巡って細谷雄一慶大教授(国際政治)はツイッター(5/23)において以下のように問う。
「コロナは風邪だ」と外出を促し、感染爆発を招いたブラジル大統領(死者2万)。
「消毒剤の注射」を勧めて医療関係者から猛反発を受けた米大統領(死者4.7万)。
外出を続け感染した英首相(死者3万6千人)。
「アベノマスク」配付で「世界最悪」と言われる日本の首相(死者814)。なぜ?

「世界最悪」などとの言葉はスルーすればいいだけで、いちゃもんを付けて意味があるとは思えない。また、伯米英を引き合いに出すのも?と思わざるを得ない。
独首相の演説に感動した人間にとっては!

これに対して竹中治堅政策研究大学院大学教授(日本政治)は次の様に返信ツイートする。
ギャッラップ社の国際比較でも政府の対応に満足している人は他国に比べ非常に低いですね。三つの要因があるのではないでしょうか。
1)国際比較には興味がない人が多い。
2)知事の対応の方が的確だったと思っている人が多い。
3)10万円給付決定など政府内の混乱が露呈してしまった。

これに筆者は納得する。
1)人それぞれの感じ方があるだろうが、先ずは身近な問題であって、国際比較に主要な関心が向くわけではない。
2)は先にも述べたようにこの事象における最大のポイントと考えるからだ。
 『地方主導権』へ向けて~自治体首長のコロナ対応(本ブログ20/6/1)
3)アベノマスクは川崎市の「お知らせ」にも上がっていない。

以上のことから基本的にはコロナ対応は国内政治の問題であり、国際的には学べることに眼を見張り、リーダーを比較して一喜一憂することではない。
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『地方主導権』へ向けて~自治体首長のコロナ対応

2020年06月01日 | 地方自治
鈴木北海道知事を皮切りに、吉村大阪府知事、小池東京都知事など地方自治体首長のコロナウイルス対応の積極性に新たな地方自治のアプローチの到来を感じていた。それは住民の理解を伴う『地方主導権』と呼べるものだ。十数年前の「地方分権/主権」ではなく!また、それは都道府県知事だけでなく、基礎自治体の長の発言、例えば、熊谷千葉市長の千葉市HP上の発言と共にツイッター、FBでの積極的発言にも窺われた。一方、筆者が住む川崎市、神奈川県、及び隣の横浜市の首長にはそのような気配は感じられないが。

ともかく、メルケル独首相の確固たる目標を掲げ、なお、日常生活に配慮した国民への呼びかけ(3/22)に感銘を受けるなかで、安倍首相の「アベノマスク」配布発言(4/2)に思わず失笑した感覚からは、上記の首長の発言に頼もしさを感じたのも当然だろう。

そこから表題の『地方主導権』(筆者の造語)を改めて想い起す。

統一地方選挙(2007/4)を挟んで「地方分権/地方主権」との言葉が使われていた頃だ。その意気込みは理解できたが、住民自治を念頭におけば、正面からの権限要求だけではなく、具体的問題へのアプローチがないと空中戦になるだけだと考えた。
そこでダイナミックな活動が必要と思い、具体的方策に係る主導権を持つ意味で使った。

当時は橋下大阪府知事の誕生もあって期待をしていたが…
漸く、地方自治体首長の「コロナウイルス対応」を経て国民的な理解が進んでいると思える状況になった。

この主導権で大切なのは「スピード」というよりは「アジリティ」、素早さだ。
走ることに例えれば、直線距離を走る速さではなく、ダッシュ、ストップ、ターン、方向転換等に対するサッカー的センスだ。
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