公明党の山口代表は27日、安倍首相の靖国神社参拝に関連し「わだかまりなく追悼できる施設のあり方をもっと積極的に模索してもいい」と述べ、2002年に福田官房長官(当時)の私的懇談会が出した提言を踏まえ、新たな国立追悼施設の設置を「前向きに真剣に検討する必要がある」と表明した。
一方、自民党の石破幹事長は「議論を始める具体的な計画があるわけではない」と述べるにとどめた。菅官房長官も「慎重に検討すべきだ」と強調。A級戦犯の分祀については「靖国神社が決めることだ」とした。
安倍首相が参拝した以上は、内閣及び自民党の公式反応として、それを批判するようなことは出来ず、当面は沈静化の努力しかあるまい。公明党の反応はタイミングとして素早く、与党内野党としての機能を充分に発揮しており、創価学会の意向があるにしても注目して良い。
靖国神社は、明治政府としてのナショナリズムの高揚のために、天皇制イデオロギーの下、国家神道の主要機関として機能した。第二次世界大戦での敗北に伴い、天皇制イデオロギーは否定され、宗教ではないと規定され、政治的存在であった国家神道も行方が亡くなったことになる。
問題は行方が亡くなったのも関わらず、戦没者を慰霊追悼・顕彰する施設の一つとしての機能が残り、その位置づけが政治的に決着されず、曖昧になっていることだ。天皇制イデオロギーを引きずる靖国神社から、新たに、公的仕事の中で亡くなった人たちを追悼・顕彰する施設を作ることによって完全ではないが、決着を図ることが必要になっている。
それは、例えば、国連活動で亡くなった場合が典型的な例となる。その新たな国立追悼施設の下に、明治維新での反政府側の戦没者も含めて慰霊することが日本にとって最重要の課題である。今回の公明党の提案を新たな視点で見直す必要がある理由だ。
自民党体制の中で、他の政党はすべて弱小化している。野党連合で対抗すべき処が、その主導権争いが激しい。みんなの党が分裂し、結いの党ができ、維新の会もほとんど分裂状態である。その中で公明党が自民党と与党を組んでいる。
しかし、先の記事で指摘するように、公明党は与党の中の「野党」を自らの位置として、「ねじれ解消」と共に、「自民党監視」の必要性を強調する戦術をとった。即ち、安倍政権の反動的性格に対する不安感を持ちながら、消極的に支持する層に訴えたと思われる。
実際、全国比例区の得票数は、その前の711万票から764万票、得票率にして11.8%から14.2%へとアップした。
『与党及び野党の中の「野党」~参院選での公明、共産両党の位置 130730』
その後、公明党は与党内野党の地位を固め、安倍政権の施策に、基本は従いながらも、タイミング良く批判と提案を行っている。また、その内容は政治的にはリベラルな方向、経済的には社会民主主義的方向を目指しているかの様だ。
例えば「戸籍法」改正に賛成し、「自民党と判断が分かれたが、民法や戸籍法という家族の価値観に関わる問題で考え方が違うことはある。それぞれの党の立場を明らかにすることは議会制民主主義のなかで時にはあると思う」と述べた。
『与党内野党としての公明党~野党4党提出の「戸籍法」改正に賛成131121』
消費税増税に反対することなく、与党としての立場を守りながら、「消費税軽減税率」問題に加えて、今回の国立追悼施設の新設構想はイデオロギー問題として安倍首相に迫っている。恐らく、民主党以下の野党を寄せ集めても、有効な自民党批判をできるとは思えない。
一方、自民党の石破幹事長は「議論を始める具体的な計画があるわけではない」と述べるにとどめた。菅官房長官も「慎重に検討すべきだ」と強調。A級戦犯の分祀については「靖国神社が決めることだ」とした。
安倍首相が参拝した以上は、内閣及び自民党の公式反応として、それを批判するようなことは出来ず、当面は沈静化の努力しかあるまい。公明党の反応はタイミングとして素早く、与党内野党としての機能を充分に発揮しており、創価学会の意向があるにしても注目して良い。
靖国神社は、明治政府としてのナショナリズムの高揚のために、天皇制イデオロギーの下、国家神道の主要機関として機能した。第二次世界大戦での敗北に伴い、天皇制イデオロギーは否定され、宗教ではないと規定され、政治的存在であった国家神道も行方が亡くなったことになる。
問題は行方が亡くなったのも関わらず、戦没者を慰霊追悼・顕彰する施設の一つとしての機能が残り、その位置づけが政治的に決着されず、曖昧になっていることだ。天皇制イデオロギーを引きずる靖国神社から、新たに、公的仕事の中で亡くなった人たちを追悼・顕彰する施設を作ることによって完全ではないが、決着を図ることが必要になっている。
それは、例えば、国連活動で亡くなった場合が典型的な例となる。その新たな国立追悼施設の下に、明治維新での反政府側の戦没者も含めて慰霊することが日本にとって最重要の課題である。今回の公明党の提案を新たな視点で見直す必要がある理由だ。
自民党体制の中で、他の政党はすべて弱小化している。野党連合で対抗すべき処が、その主導権争いが激しい。みんなの党が分裂し、結いの党ができ、維新の会もほとんど分裂状態である。その中で公明党が自民党と与党を組んでいる。
しかし、先の記事で指摘するように、公明党は与党の中の「野党」を自らの位置として、「ねじれ解消」と共に、「自民党監視」の必要性を強調する戦術をとった。即ち、安倍政権の反動的性格に対する不安感を持ちながら、消極的に支持する層に訴えたと思われる。
実際、全国比例区の得票数は、その前の711万票から764万票、得票率にして11.8%から14.2%へとアップした。
『与党及び野党の中の「野党」~参院選での公明、共産両党の位置 130730』
その後、公明党は与党内野党の地位を固め、安倍政権の施策に、基本は従いながらも、タイミング良く批判と提案を行っている。また、その内容は政治的にはリベラルな方向、経済的には社会民主主義的方向を目指しているかの様だ。
例えば「戸籍法」改正に賛成し、「自民党と判断が分かれたが、民法や戸籍法という家族の価値観に関わる問題で考え方が違うことはある。それぞれの党の立場を明らかにすることは議会制民主主義のなかで時にはあると思う」と述べた。
『与党内野党としての公明党~野党4党提出の「戸籍法」改正に賛成131121』
消費税増税に反対することなく、与党としての立場を守りながら、「消費税軽減税率」問題に加えて、今回の国立追悼施設の新設構想はイデオロギー問題として安倍首相に迫っている。恐らく、民主党以下の野党を寄せ集めても、有効な自民党批判をできるとは思えない。