散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

2020年代に日本経済の風景が変わる~異次元緩和の行く末

2015年04月24日 | 経済
日経新聞のインタビューに池尾和人・慶大教授が「国家25年の計」が必要と答えている。教授は現状の金融緩和が続き、財政出動で借金を積み重ねると、人口動態から2020年代にインフレは避けられないと警告する。それを回避するためには、先ず、2020年での基礎的財政収支の均衡は不可欠という。

以下、その内容を紹介する。

「「国家100年の計」は絵空事かもしれないが、少なくとも四半世紀の時間的スパンをもつことは不可欠だ。2010年代の残された後半の5年と、2020年代+2030年代の計25年間は日本の人口動態から重要な時期だ」。

「今は、国債←(日銀)←準備預金←(民間銀行)←預金、という資金の流れ。国債を消化する資金は私たちや企業の預金、財政赤字を賄っているのは、民間の貯蓄だ。これまでも、国債←(銀行)←預金、という流れで、国民が間接的に国債を保有していたが、異次元緩和の結果、間々接的な国債保有構造に変わった」。

「日本の場合、多くの人が貯蓄を取り崩し、預金が純減を始めるのが2020年代の早くて前半、遅くとも後半と推計される。いずれにせよ中期的には減り始める。その時に、どんなことが起きるのか」。

「日本の人口動態を考えれば、それ以降、景色は急激に変わっていく…連続的にゆっくりとリニアに変化していけば、変化に気づきやすいが…急に様子が変わっていくと想定される」。

「日本の家計が保有する金融資産規模は約1600―1700兆円。…そのうち家計も住宅ローンなどの負債を抱えている…それら引くと純資産は1300兆円。…政府が抱える債務のうち、公的年金などが保有する国債は資産…それらを差し引くとネットの債務は650兆円。…家計純金融資産の半分は国債消化に充当。…あと10年で家計金融資産の取り崩しが始まる」。

「最初は2007年に団塊世代が60歳の定年を迎えると、企業の根幹業務を支える人材がいなくなり、業務に重大な影響を及ぼす2007年問題が懸念された。定年を65歳まで延長する措置が広範に取られたことから、実際には2012年以降、大量の退職者が発生している。今がまさにそのタイミング」。

「退職者の増加は、中長期的には潜在成長率を低下させる…財政負担能力も低下させ、望ましくない。将来の財政負担能力の低下が見込まれるときに、将来に負担を先送りするような政策をとることが賢明か」。

「生産能力も落ちてくる中で、預金を取り崩した購買力が加わると、生産を上回る需要が生じる…物価が上がらないと辻褄が合わない…インフレが始まる頃には恐らく急速に風景が変わっていく…物価が1.5倍になると、1ケタといった生半可なインフレ率ではすまない…2ケタのインフレは避けられない恐れ…』。

「過度のインフレを阻止には、日銀が金融引き締めを行えばよい。しかし、金融引き締めをすると、日銀が国債購入による量的緩和によって供給してきたお金(準備預金)を回収することになる。貨幣発行益で財政赤字を賄えるといった話が成り立たなくなる」。

「換言すると、2020年代に日本の財政が貨幣発行益に頼らないでもやっていけるようになっていたら、物価安定を優先できる。ところが、貨幣発行益に頼らなければ財政運営が成り立たないような状態のままだと、日銀はジレンマに陥ることになってしまう」。

「それを回避するためには、2020年までに財政規律を回復させる必要がある。これは「適当な目標」ではない。人口動態から2020年は最終リミット…サバを読んだ締め切りではない。財政健全化の目途がつけば、中央銀行が出口政策を追求できる可能性は残る」。

「実体経済に目を向けると、安倍政権発足後の2年間の実質経済成長率の平均は0.5%程度でしかありません。それでも国民は将来が不安…黙ってお金を貯め込んでいる。そのために、問題が顕在化していない」。

「問われているのは、「今さえよければ」と考えるのか、「将来」を見据えるか…現在と将来にどういうウエイトづけをするのか…将来にまで高いウエイトをかけないで政策が選択されてしまいがち…そのことを自覚し、近視眼的にならないように努力する必要がある」。

「過度のインフレを阻止には、日銀が金融引き締めを行えばよい。しかし、金融引き締めをすると、日銀が国債購入による量的緩和によって供給してきたお金(準備預金)を回収することになる。貨幣発行益で財政赤字を賄えるといった話が成り立たなくなる」。

「換言すると、2020年代に日本の財政が貨幣発行益に頼らないでもやっていけるようになっていたら、物価安定を優先できる。ところが、貨幣発行益に頼らなければ財政運営が成り立たないような状態のままだと、日銀はジレンマに陥ることになってしまいます」。

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