散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

なでしこ・宇津木瑠美選手(2)~サッカー観と対米国戦の見方

2015年07月16日 | スポーツ
宇津木選手がブログに書き込んだ対米国戦と米国チームの感想だ。
「結果は、優勝はできなかったですが、今の私にはその力がまだ足りないということ、アメリカの選手達の凄まじいパワー、キラキラした子供のような気持ちにすらなりました!」。この感想は試合終了後のインタビューでの表現、「10分間で決着が付くサッカーもある」と繋がっている。

筆者は「日本は米国の自己主張に反発せず、そのプレーに付いていくだけ…。諦めない姿勢が「我慢」を生み、米国選手に心理までも簡単に読まれた」と考えた。
 『米国に“自己主張”を許した“諦めない姿勢”~「なでしこ」の意義と課題150706』

しかし、「アルガルベカップ感想」を読むとなでしこの状況と今後の進むべき方向に対してしっかりとした見解を示す。勿論、佐々木監督及び選手達とも共有するのだろうが、フランス体験が染み込んだ鋭い感覚に基づいている。
「順位は厳しいものに…同時に課題も見えて…。今回の大会は日本のサッカーと海外のサッカーの特徴の違いが出た大会…。」

そこで宇津木選手は、リスクに対する考え方を例にとる。
「海外の選手のプレーは勢いがあるなぁと…長所をより伸ばすことが基本にある…とことん攻めたりして良いプレーを出していく…ただ、それにはリスクも伴う。けど海外の場合、個が強いからリスクを抑えるポテンシャルがある。」

「日本の場合、体格的に海外の選手にかなわない…リスクが失点につながる。だから組織をつくって、忍耐強く耐えて、相手のプレーさせないことで勝利をつかんできた。」

「海外はリスクをおかして、チャンスに賭けられる。日本はリスクをおかさないことが勝利への近道。良し悪しではない。
今まではそれで結果が出ていたから良かった。けれど海外のレベルが上がって、日本が勝てなくなった。だから新しい一手が必要な段階に来ている。」

「日本の場合、組織の力が世界に通用する強い武器です。この強い武器があるからこそメリットを出していける。なぜならリスクが失敗しても、組織が補えるだけの力があるから、リスクを恐れずに新しい一手を出せる。個をもっと出したり、色をもっと出したり、それらの相乗効果を生んだり…。」

この認識は正しいと思うし、予選に至るまで、システム、選手の適性等を試したのは、その模索であった。筆者も「宇津木、有吉、岩渕の3名は「なでしこ」にないものを持込み、課題を照射するが故に、貴重…」と書いた。
 『攻守に多彩なプレーを展開、ポスト・澤の布陣~「なでしこ」の意義と課題150706』

しかし、決勝T以降のシステムに懸念もあった。
リスクを恐れてか、積極的にボールを受ける動きが乏しくなると、連鎖反応的に全員の活動度が落ちることだ。対米国戦は、それが出てしまったのだ。

しかし、リスクに対する彼我の相違と日本のとるべき方法について認識があったからこそ、試合後の発言が出来たのだと思う。その意味で宇津木選手の冷静な発言は、フランスにおいて、苦労しながらも築いてきた“姿勢”を見事に表現している。今後の研鑽と活躍が期待できる所以である。

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