散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

攻守に多彩なプレーを展開、ポスト・澤の布陣~「なでしこ」の意義と課題2

2015年07月05日 | スポーツ
予選3試合、決勝トーナメント3試合、すべてを最小点差で「なでしこジャパン」は乗り切った。しかし、“運良く”では勿論なく、やっと“乗越えた”わけでもなく、力を充分に発揮し、相手を堂々と押し切って獲得したものと感じた。

それは、表題に示す様に、優れた足跡を残した澤選手の穴をチームとしてどう埋めるのか、いや、それを凌ぐ新たなサッカーを提示できるのか、その問いに対する回答を蘭、豪、英の試合で描けたことによる。それが新生「なでしこ」だ。

この記事を投稿し、床に就いて目が覚めた頃、ギリシャの国民投票の結果が判明し、“NO”と出て、EU諸国がひっくり返る騒ぎを起こしている中で、それを上回る騒ぎに「なでしこ」が持ち込むことが出来るのか?注目しよう。

先の記事で「女バルサ」と呼ばれていることを紹介した。
筆者は小さい頃から男女の区別の無いサッカー指導を受け、欧米のパワーとスピードを主にした「女子サッカー」を超え、普遍的な姿にしたことが「なでしこ」の意義と評価していたから、「女バルサ」との無粋な呼び方ではあるが、その命名に賛意を示した。
 『「女子サッカー」から脱皮できない欧米諸国~「なでしこ」の意義と課題150702』

今回は、直前の練習試合を含めて先発メンバーの顔ぶれは様々であったが、決Tでは固定された。前回の決勝戦と比較すると以下になる(括弧内は前回)。
GK 海堀
DF 有吉(近賀)、岩清水、熊谷、鮫島
MF 川澄、阪口、宇津木(澤)、宮間
FW 大野、大儀見:スーパーサブ…岩渕

交代は2名だけであるから、前回と比べて円熟味を増しているはずだ。問題は相対的に衰えの見えが、経験を買って澤を先発に使う?宇津木を使う場合、その時の役割と布陣?これは予選の最後まで試され、澤先発は萎んでいった。

1)左DF宇津木で守備陣を強化、2)宮間を澤に変えてボランチに、3)左MFに駿足の鮫島を入れてサイド攻撃を強化、以上の案も有力だったようだ。

一方、右DFでは有吉の台頭が著しく、守備の粘り強さ、思い切りの良い攻撃参加、ボールキープ力によって力を発揮していた。
この場合、1)宇津木を本来のボランチに配置し押されがちになる中央の守備のバランスをとり、2)鮫島を従来の左DFにして両サイドからの攻撃を武器にする、3)この場合、両サイドMFの川澄、宮間は中へ入ってのプレーで中央を支配する、4)全体のバランスは声を掛けあって互いにカバーする、以上の案が浮上したと思われる。
更に、負傷が癒えた岩渕をスーパーサブとして後半の後半に投入して得点を狙うことができる。

このシステムでは全員が連携して、1)積極的な守備、2)攻守の切り替えの速さ、3)攻撃でのスペースへの侵入、以上が必須となり、どこからでもボールを繋いでチャンスを作ることになる。中心選手の動きを起点とするのではない。宮間のPKを除いて複数の得点をとった選手がいないことが、このシステムの特徴を象徴する。

フランスで活躍し、強靭な守備力を身に付けた宇津木、積極的な攻撃参加のスタイルを持ち込んだ有吉、ボールキープ力と突破力の個人技に長けた岩渕、この3名のプレースタイルは、それぞれ、これまでの「なでしこ」にないものを新たに持ち込んだ。それは逆に「なでしこ」の課題を照射するが故に、貴重なのだ。

一方、イングランド戦に見られたように、リスクを恐れてか、積極的にボールを受ける動きが乏しくなると、連鎖反応的に全員の活動度が落ち、ボールを持ってもGKにバックパスする場面がみられることになる。
佐々木監督は、この辺りのことを選手に知らせ、積極的に戦うことを鼓舞しているようだ。

決Tで日本は殆ど同じようなプレースタイルのチームと戦っている。決勝戦で「なでしこ」のスタイル、攻守に多彩なプレーを行い、サッカーの面白さを示しながら、米国を破り、新たなサッカー文化を世界に示してもらいたい。

      

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