散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

住民投票、「市長案」を否決~埼玉県北本市の「高崎線新駅」設置計画撤回へ

2013年12月16日 | 現代社会
JR高崎線北本―桶川間への新駅設置の賛否を問う北本市の住民投票は12/16に投票が行われ、結果は反対票が賛成票を上回り、市民は多額の費用負担を受け入れない意思を示した。

当日有権者数 5万6656人 投票者数 3万5322人 投票率 62.3%
投票結果 賛成 8353  反対26804 (無効165)

なお、報道機関のなかでは、埼玉新聞が詳しく、丁寧に記事を書いており、以下の記述もそれによる。
住民投票を提案した石津賢治市長は「1票でも多い方に従う」と話しており、新駅計画は白紙に戻ることになった。なお、北本市の考え方、資料は市HPの専用ページを参照のこと。

 新駅の周辺地図(北本市HPより)


新駅は、地元が費用を負担する「請願駅」。市によると、駅舎建設や周辺整備など総事業費は約72億円に上り、国庫補助金などを除く市の負担分は約51億円と見込まれる。

先ず、上記の投票率62.3%は堂々たるものである。人口規模も小さいことが一因とも思われる。市長がリーダーシップを発揮してPRしたことも大きく、基礎自治体としての規模の問題に一石を投じた。以前に小平市の住民投票について書いたが、これは35%だった。この投票では、50%以下は未成立とする条項を設けていたため、開票せずに終わっている。

なお、ここから、この要件の有無で投票率が左右される等の説が流れた。しかし、これは、住民が案件に対して切迫度を感じるか否かの問題が大きいはずだ。その意味で、今回は金額の巨大さ、長期にわたる債権問題等の否応無しの切迫した問題意識が市民に浸透したと考えられる。

市は約30年前から新駅設置を構想。2004年には市長を会長とする「新駅設置促進期成会」を結成し、10年前から毎年JR東日本に要望を続けてきた。7月にJR東側から前向きな回答を得て、石津市長が「市民に建設の是非を問いたい」と9月議会に住民投票条例案を提案。賛成多数で可決された。

新駅予定地は桶川・北本両駅間の中間に当たる二ツ家1丁目付近。同期成会は新駅設置の効果として、駅開業5年後に駅周辺で3200人の人口増、市民税や固定資産税の増収、市全体の活性化を挙げた。パンフレットなどを全戸配布したが、組織立った活動は見られなかった。

一方、住民投票決定後には新駅反対派の市民団体も次々に発足。当初は各団体が個別に活動していたが、徐々に連携し合同活動も実施。駅頭に立ち、チラシで巨額な費用負担を理由に批判を強めた。

市役所で反対票を投じた市民からは「税金をつぎ込み過ぎ」「桶川市にも負担してほしい」「新駅ができても市の活性化は期待できない」などの意見が聞かれた。会社員男性(61)は「今さら新駅を造ってもメリットはない。子どもや孫の代まで負担を強いるわけにはいかない」と反対理由を話していた。

結局、市民間の対立になる点で、住民自治が試されるのだ。今から40年前の東京都のゴミ戦争、捨て場の江東区対捨てる側の杉並区の対立、美濃部都知事は何も出来なかった。住民運動は下から上を突き上げる形態が主たるモチーフであって、住民が互いに利害を調整することにはなれていない。

しかし、それではデッドロックになって解決が付かず、結局、行政機構に頼ることになる。身近な問題としてはタバコの喫煙対禁煙、自転車の歩道通行対歩行者の安全など、住民が自ら考えるべき問題はこれから更に多くなるだろう。




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