散歩から探検へ~個人・住民・市民

副題を「政治を動かすもの」から「個人・住民・市民」へと変更、地域住民/世界市民として複眼的思考で政治的事象を捉える。

年少人口が10年間で30%増加した神奈川県・開成町~露木・前町長の講演(1)

2013年10月24日 | 地方自治
筆者が世話人を務める「川崎市議会を語る会」も会員として加入している「開かれた議会をめざす神奈川市民団体連絡会」が主催した露木順一・前開成町長(期間1998/2-2011/3)の講演会を拝聴した。

開成町は神奈川県西部、静岡県に比較的近い足柄上郡、金太郎が熊に跨がって出てきそうな山々の地域に思えるが、その南部にあってほぼ平地である。講演後に交換させて頂いた名刺には、「あじさいの町」と書かれていた。

講演内容は啓発されるものであり、頭の中がリフレッシュされ、感謝する次第。「都市計画・あじさいの町」「現場重視の議員像」「人口激減・大規模災害」「新たな道州制・国直轄の首都圏中核地域」以上のキーワードで整理できる。

表題は「あじさいの町」と関連することは直感的に理解されると思う。面積は6.56km(4.5k×1.5k)、長い方を歩いても1時間程度で、その間、あじさいを楽しめる「ワンダーフルスモールの町」(露木氏の言葉)、人口は1万6千人だ。

露木氏の父親が町長時代の1965年以降、厳格な都市計画に基づいて、「田園」「市街地」「開発地域」に三分割し、一貫した計画的なまちづくりを行ってきた。東京オリンピックは1964年、その前からの高度成長時代を経て、バブル経済に至る間、「何を残すか!」を先ず考えて都市計画を実行した。それが「あじさい」に象徴される自然であり、それを地域住民が主体的参加の考え方で育成・保護してきた。毎年6月には「あじさいまつり」が開催される。

   
    あじさいの町「開成町」(最後に記載の「参考資料」から)

それがバブル崩壊以降大きな成果に結びつく。
緑豊かな環境が残っている一方で、開発が進み便利な町の魅力が、「便利な田舎」として人口増に結びついた。このようなまちづくりは先に述べた厳格な都市計画、「土地区画整理事業」の運用によって、道路などを計画的に配置して開発を進めることで達成される。

また、福祉分野を中心に仕事は増えるが財源は増えない中、税収源となる先端企業の誘致、それも製造工場ではなく、環境配慮の最先端企業の研究所が最も望ましい。結局、「富士フイルム・先進研究所」の誘致に成功した。

人口も急増した。H17-H22年の5年間の神奈川県内市町村の人口増減率は、開成町8.2%でトップ、次は川崎市7.4%、他は増加していても4%以下だ。勿論、減少した市町村も多い。

足柄上郡を構成する五「町」のH17-H22年の人口増減数は順に以下の通り。
「開成+1,246人 大+442人 中井-163人 松田-723人 山北-891人」
同じく、年少人口)の増減率をH12-H22年で示すと順に以下の通り。
(「オンブズマン松田 情報第47号」より)
「開成+29.7% 大井+11.3% 中井-7.0% 山北-31.5% 松田-35.9%」

翻って48年前の基本的な考え方「何を残すか!=あじさいの町」、それを可能にした「都市計画」とその運用。今でも、人口減に悩む町にはヒントは沢山あるように思う。しかし、短時間で事は達成できない。

 参考資料「全国町村会 露木氏執筆資料」
 


コメント
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