遅いことは猫でもやる

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天心の譜(しらべ)

2013-02-02 16:12:34 | 雑感


知的障害者のノーマライズを促進する細川佳代子氏の制作総指揮(ホシザキ電機というより坂本精志前社長他後援)による映画である。

前作「幸せの太鼓を響かせて~INCLUSION~(包み込む)」で、気負わず淡々と、知的障害者を包み込む社会の風景を描いたのと趣を変えて、今回はオーケストラ指揮者、作曲家小林研一郎の感性を描いたものといって良いだろう。冒頭から出てくるオーケストラ(知的障害者がの演奏者に混じっている)の練習・指導風景がよーく小林研一郎:コバケンの心情を映している。単なる曲想の指導だけでなく、音楽との向き合い方、曲の心の汲み取り方、指揮への集中、演奏の技術的指導などを解りやすく具体的に指導している。

叱り、褒め、方向を示し、強弱を教える。厳しく、優しく。ここにはいま話題になっている体罰の入り込む余地はない。音楽への深い理解、広い教養なくしてこういう指導はできないだろう。

2011年の秋、コバケンは震災の被害にあった故郷・福島県を訪れた。生徒たちの琴の合奏を聞き、「息」の大切さ意味を語る。琴演奏の技術は文句ないが、息を合わせる事の意味、「息」とは自らの心と書く、心を合わせることの重要性を説く。

楽聖ベートーベンは耳が聞こえなくなってからも、素晴らしい交響曲を作曲し続けた。皆に感動してもらおうと必死に努力し、立派な曲を完成させた。戦後の焼け野原から日本人は必死に努力して今日まで復興してきた。日本人には凄いポテンシャルがある。それを信じ心を合わせて一生懸命やってゆこうじゃないか。と若い世代に訴えかける。

映画では、この映像の半分近くを撮影した、同じ障害者のスタッフ=ビリーブクルーの活躍や、同年アテネで開かれたスペシャルオリンピックス(SO)の世界大会に東北出身の選手が参加し、好成績を収める。そのことよりSO創始者ユニスシュライバーの、「選手には勝利か、それとも勝利を目指す勇気を与えよ」と言う演説の言葉が、復興を目指す人達へのエールとして心に響く。

とにかく、コバケンの人間性に感銘した。この映画は名古屋東新町の名演小劇場で見たのだが、2/1日で終わってしまったのがいかにも惜しい。小林研一郎のコンサートがあったらぜひとも聴きに行こう。

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