遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
更新は猫以下の頻度です。

意外に重厚

2019-01-25 02:40:11 | 


山本一力「べんけい飛脚」新潮文庫 H26年刊

時は寛政、8代目吉宗の世である。加賀百万石前田家5代前田綱紀は70歳を超える高齢であるが、吉宗とは肝胆相照らすなかであった。大名の格式によって、参勤交代の規模が決められる世であったが、加賀百万石の行列となれば総勢4000人を超える。

これだけ大身の藩が無傷で徳川300年を生き抜いたのは奇跡であるが、その秘訣の一つが語られる。もちろんそれが目的ではないが、けっかてきにそうなっている。4000人の大移動は受け入れる宿場にとっても大事件であるが、当主綱紀は老中水野忠之と若干の確執があり、参勤交代の行列に100丁の鉄砲隊を帯同することを強行する。

これが、綱紀違反であることは明らかだが、吉宗の許可状を得て執行しようと取り巻きは奮闘する。行列出発と許可状発行の時間差を埋めるのが飛脚の足だ。もちろん一筋縄ではいかない。このへんの語り口は、やや取ってつけたようなきらいもあるが、後始末も含めまずまず面白い。

出だしはテンポも遅くじれったいが、慣れてくるとこの丁寧な描写が心地よい。まず面白く読めた。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿