遅いことは猫でもやる

まずは昔メールした内容をひっぱってきて練習...
更新は猫以下の頻度です。

シリーズ完結

2014-11-29 15:24:51 | 


高田 郁「みをつくし料理帖 天の梯」ハルキ文庫 2014年刊
前からお気に入りだったみおつくしシリーズがとうとう完結してしまった。

 大阪で水害に遭った孤児が、江戸の小料理屋で懸命に働く女性料理人の物語。親友の幼馴染は騙されて吉原に売られ、花魁になって、太夫にまで上り詰めてはいるが、主人公はその友を4,000両という途方も無い大金で身請けしようという大望を抱く。一介の料理人がそんな身請け金を用意できるのか。

 いろいろな事件が彼女を襲う。その都度周りの温かい支援で切り抜ける。登場人物がなんとも温かい。女性らしい細かい仕草の描写でそれを伝えながら、難局を乗り越えてゆく。

 脚本の良いドラマを見ているようで、なんとも心温まる小説だ。高級店との争い、駆け引き、理解を示してくれる高級店の誘いを断り、大衆店で腕をふるおうとする決断。淡い恋心も織り交ぜ作者は読み手を厭きさせない。日本料理が世界遺産に指定されたときくが、この本を読む限りむべなるかなである。全10巻のシリーズが終わってしまうのは残念だが十分堪能させていただいた。

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