遅いことは猫でもやる

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立志伝だ

2013-07-10 08:03:51 | 


百田尚樹「海賊と呼ばれた男」講談社刊 2012年発行
今売り出し中の作家百田尚樹の2013年度本屋大賞受賞作品。出光佐三をモデルにした伝記小説。先に読んだ「永遠のゼロ」の構成と前向きの人間観に共鳴して、今度も期待してページを繰った。

確かに波瀾万丈の生涯、世界の石油メジャー、国内の官僚、大手石油取り扱い商との戦いはそれなりに興味深いが、あまりにも主人公を英雄視しすぎていはしまいか。城山三郎は本田宗一郎は描いても、松下幸之助は題材として陰影がなさすぎるとして取り上げなかった。その伝で行くと出光佐三もそうだったのか、百田尚樹がそんな取り上げ方をしたのか、とにかく戦後の日本の右肩上がりの成長と軌を一にした企業の発展物語になっている。

さすがに、細かい部分にも眼が行き届き、上下巻を一気に読んでしまったが、なんとなく余韻が薄い。

しかし経営書としては、志の大切さ、大きな視野にたち消費者(お客様)に焦点を合わせた事業展開、人の関係を大切する生き方などは、目先の利益にとらわれがちな現役経営者には良い教訓になると思われる。
ガソリンスタンド経営の友人が、やはり同じような感想を語っていたが、出光石油の御用作家のよいしょ作品みたいだと言ったらこき下ろし過ぎか。

百田尚樹の筆力には期待しているので、三番目の作品を読んで、この作家の志の深さ、高さを見てみよう。

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