百田尚樹「ボックス」講談社文庫 2013年刊
今売れている作家百田尚樹の青春小説。友人が貸してくれた本を暇に任せ片っ端から読んでいる。池井戸潤、佐伯泰英、伊坂幸太郎、道尾秀介、他まさに乱読であるが、久々にズンとくる小説に出会った。
高校ボクシング部を舞台にした、スポーツ小説である。作者もボクシング経験者のせいか技術的な解説や描写が細かい。小説版「あしたのジョー」みたいなところもある。
天才型ボクサー、努力型ボクサー、超高校級ボクサー、元全日本で活躍した監督、街のジムの老トレーナー、美人高校教師、など多彩な登場人物でストーリーはリアルな展開である。
「海賊と呼ばれた男」ではちょっと、よいしょ小説みたいでしっくりこなかったが、この前の「影法師で」小説手法の冴えを見せていたが、この小説では遺憾なく力量を発揮している。読後に爽快感が残る。エピローグも手際が良い。
傑作「永遠のゼロ」「モンスター」に次ぐ出来栄えの作品だ。
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