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碁界の権力争い

2018-02-13 02:04:01 | 


百田尚樹「幻庵」上下 文藝春秋社 2016年刊

ご存知売れっ子作家の青春歴史小説。江戸末期の「名人位」をめぐる碁界の覇権争いを描いたもの。この作家はこう言う覇権争いの世界を書くことが得意なのだろうか。関係者の立場、心理状態などを克明にたどる。

江戸末期の棋界には、本因坊、井上、安井、林の4家が幕府公認で君臨しており、碁の世界を緩やかに統括していた。この世界は寺社奉行の管轄であり、江戸城で手合を行う御城碁が開催され、幕府から扶持も出ていたという。こうした保護育成策もあり、元々中国から渡来した碁のゲームもこの時代には中国を抜き去り、世界最強となったという。

その幕末40年間空白であった名人碁所の地位につこうとした男とそれを阻止しようとしたものとの戦いや絡みを描いたものである。若干囲碁の用語が出てくるので、打ったことのない人には退屈な部分もある。

唐突ではあるが、オウム教団の上祐氏を思い出した。彼も才能はあるのだが、元の哲学の部分でどこか違和感がある。私の先入観かも知れないがこの著者は「永遠の0」は別として以降の作品はどうも権力に阿るにおいがする。