遅いことは猫でもやる

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静かに元気が出てくる

2012-07-24 09:53:28 | 
「よみがえる力はどこに」城山三郎 新潮社

これも、旅行中に週刊新潮の広告欄で見た本。以前「そうか、もう君はいないのか」と言う本を読んで、中身は忘れたが何か清々しさを覚えた記憶があったので、早速本屋に行った。
店頭にないので調べてもらったら、今売り切れで、増刷が何時来るかも不明です。とのこと。つまりベストセラーになっているというわけだ。こんなときの通販頼み。アマゾンで取り寄せた。
内容は、最近著者の仕事場から発見された遺稿を真ん中に挟んだ3部作である。

よみがえる力はどこに、君のいない一日が又始まる、同い歳の戦友と語る、の3部に分かれている。
私には、最初の人物評伝が一番面白かった。石田禮助、本田宗一郎、土光敏夫、などそれぞれに単行本で描いているひとたちのエピソードを交え、組織や、世情に惑わされない、自分流の哲学を貫いた人たちについて語っている。その根底には、青春時代を戦争末期に過ごし、世をあげて戦争賛美をしていた人たちが、終戦と同時に一転、軍国主義批判・被害者面した人に変わった。そんな人達にうんざりし、個人を圧迫し、生き方を強制した、組織を信用しなくなった(或いは嫌いになった)著者の姿勢が垣間見える。講演録に手を加えたものらしいが、それだけに気軽に頭に入ってくる。

2部は亡くなった妻容子さんへの賛美と感謝が控えめに語られている。それだけに愛情の深さが感じられる。3部は吉村昭との対談。同年代で哲学も同じ作家で肩肘張らずに気ままに話しをしている。ここでも組織嫌い、権威嫌い、などについて語っている。

生きていく力の源泉について考えさせられ、刺激を受ける本であった。