遅いことは猫でもやる

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絶品、絶景

2009-12-17 09:59:02 | 雑感
好天の土曜日、暖かさにも誘われ、富士山を見に静岡近くへと遠征した。
われながら良く遊ぶ。

静岡近くの、さわやかウォーク常設コースへ行くつもりで列車に乗ったら、
「新設常設コースの」表示のある中吊りポスターがある。

早速それに乗り換え、静岡の向こう興津宿~由比宿へと向かう。



興津で降り、暖かい日差しを浴びて、街道沿いを歩く。SLが通過するのだろうか?
線路脇にカメラを吸えている人が3,4人鉄橋のしたに陣取っている。みかん畑の
中の石段を登るとさった峠だ。
絶景の富士山が姿を現した。広重の浮世絵の通りだ。くっきりと富士がそびえて
いる。右側に見える愛鷹山も爆裂火口を見せている。この山が信仰の対象になっ
たのは「むべなるかな」と感じる。

たわわに実る、みかんと甘夏だろうか、やや黄色く大きな実のなる木々と枇杷の
間を下り、倉沢・寺尾の町並みを過ぎる。JR由比駅を通り越して広重美術館へ。

本陣公園の中、由比正雪の生家の前にある、近代的な建物。
改めて感じたのは、広重に限らず、浮世絵の作家は構図の天才であろう。遠近感、
俯瞰図、屋号の入れ方など、かなり自由にやっていたようだ。北斎の「神奈川沖
浪裏」の富士など、このような土壌から生まれてきたものだろう。浮世絵はブロマ
イド(役者絵、相撲絵)旅行案内、広告宣伝などもかねていたらしい。



広重を堪能し、公園内でコーヒーで一服。行きにめぼしをつけておいた寿司屋さ
ん「銀太」に少し早いが夕飯に入る。カウンターの隅に漫画雑誌が乗っけられている、何
の変哲もない店。「間違えたかな」と不安を覚えつつ、とりあえず、ビールと桜
海老フルコースを2人前注文。すると女将さんが、一人前でも注文できます、と
教えてくれる。お言葉に甘え、一人前を地魚にぎりに切り替え、「つまみを何か」
と頼む。時間がかかりそうだ、と遠慮していた「カワハギの肝和え」が出てくる。
これが絶品。思わず「お酒」「燗をつけて」と叫ぶほどうまい。



それから出てくる、桜海老の刺身、釜揚げ、酢の物、沖あがり(豆腐と煮たもの)
かき揚、握り四貫、別注文のあぶりげそ。皆うなった。絶妙の調理である。
桜海老は、沈む時には取れず、プランクトンを追って、深海から浮いてくる時で
ないと網にかからない。根つき鯵は言値で仕入れ、食べごろになる、一週間後で
ないとお客に出さない。などと名古屋で修行もしたことのある大将と楽しく歓談。
値段もリーズナブルであった。

いい気持ちになって駅へ。ホームで電車を待っていたら「お客さーん」といって
女将が駆けてくる。勘定は確かに払ったはずなのに、と思ったら、「携帯を忘れ
てますよー」、いやはや親切である。こんどはこの銀太さんだけを目的に来ようか。

満たされたいい気持ちで電車に乗った。絶品、絶景の旅であった。