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原子力は統御されたのか ~チェルノブイリ事故20周年に思う~

2006-05-15 17:49:50 | 雑感
原油価格が1バーレルあたり70ドルを超え、80ドルに届こうとしています。

アメリカ、中国、ロシア、インド、ブラジルなどで
消費量が急激に伸びていますが、
これほどの原油価格の高騰は
将来を見越した投機筋の相場だといわれています。

自動車産業でも、ハイブリッド車、エタノール燃料車、
水素燃料車などで対応しようということで技術開発が進んでいます。


エネルギー全般で見ると、原油の高騰を背景に、
原子力利用の機運が又高まってきたように感じられます。

東芝がウエスチングハウス社を巨額の投資をして買収したり、
ウランの最大産出国オーストラリアは
ウラン輸出を「国家戦略」と位置づけて力を入れるとのことです。

関係者の話では、原子力発電所を3つ受注すれば
投資は回収できるとのことです。



GWの一日、松本市美術館
本橋成一映像展「ナジェージダ(希望)」
を見る機会がありました。

4/26、あのチェルノブイリ原発事故から20周年目を記念して行われた写真展で
信州大学が現地を支援して治療、研究を行っていることも関係し
松本市美術館で開催されていました。

当時、事故から1週間後の1986年5月3日には
日本でも放射能値の上昇が確認されたそうです


さて、信州大学の松沢医師によれば、
当時のソビエト連邦、今はウクライナのゴメリ州では

・染色体疾患が事故後約2倍に、
・乳児死亡率は日本の2.7倍に

なったそうです。事故を起こした原子炉は、
今は分厚い鉄とコンクリートで覆われ「石棺」と呼ばれています。

事故当時1000人以上の英雄的な職員、消防士が
事故処理に当たりましたが、

・永久立ち退き人数は40万人
・立ち退き面積1万平方キロ
・損害評価額50兆円

という大事故でした。


写真展では現地の生活をわれわれに伝えていました。

人口が激減し、学校は閉鎖され、廃屋が軒を並べる村でも、
黙々と人は生きています。冬の寒さの中でも水を汲む泉は
こんこんと湧き、牛を飼い、春にはジャガイモを作り、
質素ですが結婚式には人が集まります。



人間を豊かにしようとした最新科学が、
図らずも人間生活を圧迫している現状を見て、
以前、神谷龍司パスト会長が日本で起きたJCOの事故を評して、
「まだ人類は原子力を完全にはコントロールできていないのではないか」
といわれた言葉をかみしめました。


遺伝子工学などもそうですが、
科学技術と産業応用の限界には
まだ、多くの問題がありそうです。