▲ 白山工房(西山産業・白山市白峰)
▲ 牛首紬無地着尺
石川県白山市の白山工房で生産されている牛首紬(うしくびつむぎ)は伝統工芸品に
指定され、全工程が一貫作業によって製造されています。
豪雪に見舞われる白峰の郷の冬は厳しく、白山工房も冬季閉鎖を余儀なくされるため
春の訪れを待って4月から活動が再開されました。
工房の再稼働に合わせて8日(火)に工房を見学させていただきました。この工房に
は約30年ぶりの訪問になりますが、外観は当時のままでした。
牛首紬という不思議な名前は、生産地の白峰の旧地名(牛首村)に由来しています。
白峰は霊峰白山の麓にある山村で、古くから養蚕がさかんに行われてきました。
▲ 繰糸(そうし)
養蚕で仕上がった繭のうち上質なものだけが出荷され、それ以外はくず繭として扱わ
れ、自家用の製品として利用されていました。
くず繭のうち二匹の蚕が共同で一つの繭を作るものを玉繭(たままゆ)と呼び、牛首
紬はその玉繭から引き出された玉糸を緯糸に利用しています。
▲ 60本の細い糸を合わせて一本の生糸を作る
煮繭の終わった繭から座繰りで糸を挽き出します。緯糸として使う玉糸の場合は
60個の玉繭からそれぞれ細い糸と挽き出して合わせて一本の糸にします。
▲ 通常の繭(左)と玉繭(右)
▲ 製織
牛首紬の緯糸には特有の節のある太い玉糸が用いられ、高機で強く撃ち込まれる
ことで、節が浮いてしっかりした光沢のある生地に仕上がります。
▲ 牛首紬の新作