HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

言葉のデッサン

2005年06月07日 | JET KELLY
私がシナリオを勉強していた時にある授業で先生が「今日は言葉のデッサンをします」と言われました。一体どんなことをするのかな~って思っていたら、一人の女の子が部屋に入ってきました。髪の毛は長くて、白い夏のワンピースを着ていました。とてもかわいい女の子でした。ってこういう表現ではいまいちぴんときませんよね。そう、この女の子をどれだけ言葉だけで表現できるか、人にイメージさせることができるかという授業だったわけです。なかなか難しいものでした。その子が何を考えているか、何を好きかとか考えてそれにからめて表現する人もいれば、リアルに見たままを伝える人など人それぞれに言葉で表現していきました。

そうそう「麒麟」というお笑いコンビをご存知ですか?私結構好きなんですが(笑)あの声がものすごくいい川島さんがラーメン店かなんかの設定で列のどこに割り込むかを考えるというシチュエーションのネタの時「彼は指輪をしている。きっと家族がいるにちがいない。彼の前に並ぶということは彼の奥さんや子どもの前に並ぶことになる。それはいけない。やめておこう。やめておこう。・・・」っていうように順番に並んでいる人を見てあれやこれやと想像をめぐらせながら、割り込む場所を考えるネタ。まさにあれは言葉のデッサンによるネタです。彼が想像して言葉を畳み掛けるように放つ時、聴き手というか見る方の私たちも彼と同様にそこに本当は見えない人を想像してしまうでしょ?まあ、ある意味お笑いのネタ自体、言葉のデッサンがしっかりしているものが笑いを誘うと思います。

音楽でも同じです。メロディがいいもので好きなのももちろんありますが、詩によって一層深く好きになってしまう曲ってありますよね。以前にも書きましたが、私はレミオロメンの藤巻さんの描く詩の世界は本当にすばらしいと思ってます。私は「ビールとプリン」という歌が特に好きなんですが、あの小さな場面をあれだけリアルに表現してそして聴き手の心をせつなくさせる手腕。思わず弟子入りさせてください!って言いたくなります(笑)ほんとに。そして、さらに2人、あえて詩人と言わせていただきたいのはエルレガーデンの細美さんとジェットケリーの真田さん。このお二人も別に難しい、装飾をほどこしたような言葉ではないのに、彼ら自身の言葉のつなぎ方で彼らの見事なカラーと詩を生み出しているんです。あえていうなら細美さんは動の詩だと思います。聴く人に何かやってみようとか、がんばってみようかっていうような気持ちを起こさせてくれるんです。決して背伸びしたものでもなく、無理に何かを教え込もうというような詩でもなく、ふつうの目線で書かれた詩が多いのに、それでいて温かさがどこかにある、自分の中に流れる熱い血を感じられるそんな詩を彼は書いてくれます。一方で真田さんは静の詩。もちろん彼にも動の詩もあるのですが、あえて今は静の詩の部分を書かせてもらいますが、ほんと朝の表現がすばらしい。私が感じる朝というもの。イメージする朝というもの。それをなんてきれいにでも力強く表現されるんでしょう。私は彼が書く朝の表現が心から好きです。そして、彼の詩からイメージされるいろんな色。ほんとキャンバスに絵を描いていくように詩がメロディの上で鮮やかに描かれ聴き手の心に何かを残してくれるんです。見えるんですよ。絵が・・・

インディーズバンドであっても、中には驚くべき詩を書く人もいます。そして、その詩がとても心を癒してくれたり、元気づけてくれたりします。私はそんな時、この詩がもっと多くの人のもとに届けばいいのにってほんと思います。でも、そんな詩に出会えた自分が今は幸せに思うわけです。いまさらですが、そんなすばらしい詩人さんたちに感謝します。ありがとう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冷蔵庫

2005年06月07日 | 音楽・映画・本
よしもとばななの『キッチン』を読んだ事がある人なら、あの小説に登場する冷蔵庫のシーンは少なからず心に残っているのではないでしょうか?主人公が冷蔵庫のそばだと眠れるというところ。なんとなくわかる気がするのは私だけでしょうか?さびしい夜に真っ暗な台所で冷蔵庫を開けるとそこからまばゆい光が溢れ、そしてひんやりと流れてくる冷気になぜか癒される経験ってしたことがありませんか?ラジエーターの音が冷蔵庫の鼓動のように聞こえて、なぜか安心してしまうかんじ。

ずいぶん前に見たディズニーの「くまのプーさん」のTVシリーズの中のタイトル忘れたけど「ベビーシッター」の話の時のこと。クリストファーロビンがプーさんたちとベッドに入っていて、ベビーシッターには寝ているふりをしてたけど、お腹が減ったということで気付かれないように皆でキッチンにいきます。そしてぬいぐるみであるプーさんからすればものすごくでかい冷蔵庫を開けるとそこは財宝が眠る宝箱のようにまばゆい光を放って、ケーキやらフルーツやらごちそうやらがまるで宝石のように燦然と輝いているわけです。皆の「うぁ~~~あ」という表情と冷蔵庫のインパクトが今だに脳裏から離れません。これだけは是非見てもらいたいな~って思うシーンです。ほんとあれはすばらしいシーンです。騙されたと思ってみてください。

プーさんのは楽しそうだけど、現実の私の感覚では冷蔵庫を真夜中に何も食べるわけでもなく、飲むわけでもないのに開ける時っていうのはなんか悲しい時だったり、つらい時だったりするのです。なぜでしょう。そしてその冷気に少しほおを差し出すと、なんか悲しみが少し小さくなるような、つらさがちょっと減るような気がしてしまうのです。冷たいのに温かいそんな存在が冷蔵庫です。

そうそうこの前電気量販店で冷蔵庫を見てたら、冷蔵庫なのに冬場保温できる(あったかいの!)引き出しのあるものが出てました。たとえば夜遅く帰る旦那さんのために作った料理をそこに入れておけば4時間ぐらいあたたかいままで保温できるんですよ。レンジでちんをしなくていいわけです。冷蔵庫なのにあったかいのが妙に不自然でしたが(笑)

映画になった『キッチン』も見ましたが、あの映画は好きです。全体に静かな時が流れる映画であり、ツーンっとした透明感が漂います。それと料理もおいしそうでした(笑)

最後に、前にも書いたけど暗闇の中、机の上に置いたホタルを入れた瓶と暗闇の冷蔵庫の光がどこか似ている気がした私は儚げな緑っぽい光が好きみたいです(笑)・・・ここまで書いてて今ふと思い出した映画があります。フランス映画のエリック・ロメール監督の『緑の光線』です。この映画もストーリーは淡々と進んで行くのですが、ラストがこの緑の光がらみで妙に感動した記憶がうっすらと残ってます。「緑の光線」とは日没前にほんの一瞬だけ見えるという緑の光のことらしく、これを見ると幸せになれるといういい伝えがあるそうです。皆さんも日没前の緑の光を大切な人と見れるといいですね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする