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風月庵だより

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【初めてのブログ:ご供養】

2005-11-25 17:13:38 | Weblog
平成17年11月6日(日)
奥山貴宏さんの『ガン漂流』三部作を読了する。このことについては今は触れられない。彼の死について私がなにか語ることは、どんな言葉も嘘になるような気がするからである。ただ私は、彼にお水とお線香を供え、お経を誦げた。奥山さんが命をかけて書き続けた姿勢を学びたいものと、私も初めて『風月庵日記』を書くためにパソコンを開いたのである。友人に教えて貰って第一回目のブログをupしました。
 
今日私が法事で伺った家のことを書こう。プライバシーの侵害にならないように留意して書きたい。仮にA家とする。A家の故人は今年三回忌である。定年間近で病のため亡くなられた。奥さんが喪主である。仲のよいご夫婦であったのでいまだに奥さんはその死を受け入れるのは辛いのであるが、一人娘さんが結婚していて、可愛いお孫さんがいてくれるのが心の支えである。
 
そのお孫さんのA子ちゃんが「去年の紙を練習する」と言って、その紙はどこにあるのかと、おばあちゃんに尋ねたという。はじめその紙の意味が分からなかったのだが、昨年の一周忌に一緒に唱えた「般若心経」の書かれた紙であることが分かり、おばあちゃんもA子ちゃんのパパもママもおおいに感心したのである。

私とともに「般若心経」を列席の皆で唱えている時、まだ就学前の A子ちゃんの可愛い声がとてもはっきりと聞こえた。どんなにかそのお経に、故人であるおじいちゃんが喜んでいる だろうかと、私は思った。あの世があるか否かの論議は論外としよう。

出家してよりまだ二十数年にみたないが、数え切れないほど法事を勤めさせてもらい、いろいろな体験もふまえると、人間は死んでそれで終わりとはどうも思えないのである。
そしてあの世の人の冥福を祈ることも大事であるが、実はあの世に帰った人のほうが、この世の者を守っていてくれるのではないかと、年とともに強く思うようになっている。

A家の故人も、遺影のように優しい笑顔で奥さんや娘夫婦そして可愛い孫のA子ちゃんを守ってくれているように思えてならない。だからみんなで感謝しましょうね、と私は言った。きちんと合掌してご挨拶をしましょうね、と言って共に合掌して頭を下げた。A子ちゃんも素直に可愛い頭を下げた。

きちんとしたご挨拶はとても気持ちのよいものである。合掌でなくとも手を畳についてきちんと頭をさげるようなご挨拶を見かけることは、今は稀になってしまったように思うが、試しに背筋を伸ばして挨拶してみると、実に気持ちのよいものである。

「このような挨拶を子供たちに伝えていきたいですね」と私が言ったところ、A家の奥さんも子供の頃は、親戚の家を訪ねたときなど、必ず仏壇の前で挨拶をして、それからその家の人にも挨拶をしたものだという。「是非その習慣をお孫さんに受け継いでもらいたいですね」「そうしたいですね」という話になった。それにはA子ちゃんの意志を無視できないが、押しつけではなく大人が心から願うことも大事だと私は思う。

どんな小さな子でもその子の人格を尊重することが大事であろう。それは単に甘やかすこととは違う。素直でのびのびとしたA子ちゃんが、元気でのびのびと成長してくれることを願ってA家をあとにした。

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