mukan's blog

つれづれなるままに ひぐらしPCにむかいて

第20回 aAg Seminar 報告(2)音を遊ぶ――まず演奏

2016-06-06 20:59:01 | 日記
※ 第20回Seminarのご報告(2)を、昨日、アップするのを忘れていました。順番が狂いましたが、ご容赦を。
 
 
 さて、当日の様子をひとまずたどって、ご紹介しましょう。( )や【 】がついているもの以外は、講師:fmnくんのことばです。それ以外は参加者のコメントや【ト書き】です。
                                                              
★ 本日の「雑楽」の概要
 
 本日が20回の記念すべきSeminarということで、逃げていたのです。未だに月十日くらい働いていたので忙しいと。ネタがないので、ヴァイオリンを習っているから、それで今日のお題にしたわけです。音楽の勉強をしたことは何にもありません。手元のプリントをご覧ください。今日の概要です。急きょ調べました。今はインターネットで、グーグル検索で何でもわかります。
 
【と、断って、まずその全体を掻い摘む。】
 
1)平均律という音程の決め方があります。ベストの方法ではありません。和音がきれいなのが音楽の要ですね。平均律は妥協点で。音楽の紀元、音楽の機能、この漢字は紀元前からある。音という漢字は立つと日と書く。トーン、周波数。一秒間に何回波があるか、音量。人間が聴けるのは20ヘルツから20000ヘルツ、それ以上、それ以下は聴けない。ピアノの一番下は27.5ヘルツ、4000ヘルツくらいが良く聞こえる。一つの音を出すと、同時にいくつかの周波数の違う音が出ている。倍音という。必ずしも協和音というわけではないが、オクターブの違う音は和音となる。
 
2)モスキート・サウンドというのがあって、若い人は良く聞こえるけれども、我々には全く聞こえない周波数がある。いずれ補聴器がいるようになると思います。ところが、私はまったく知らなかったことですが、新しいコトが出てきました。20キロヘルツよりうえ、到底人間の耳では聞こえないのですが、10万ヘルツ辺りまでの周波数に人間の脳が反応するということがわかってきました。耳では聞こえない、どこで聞いて反応しているんだろう、というお話を後あとのお題にしましょう。
 
3)音楽の楽という字ですが、楽だとかいう意味はなくて、楽器の意味です。ドレミなのっていうと、世界中がドレミとは思えない。緑さんに聞いてみなければわかりませんが、どうでしょう。イタリアはドレミなのですが、ドイツや英米は「ABC……」だと聞きます。
 
4)調率は、ヴァイオリンは、ミ、ラ、レ、ソなんですね。これがピタゴラス音階。ギターというのも、ミ、ラ、レ、ソ、シ、ミ。低音からいって(家出するなら耳鼻咽喉科)と憶えるんだそうですが、私はギターを弾きません。
 
5)ヨナ抜き音階。ドレミの7音階から、ヨ(ファ)とナ(シ)を抜いた日本だけではなく、一般的にそうなんですね。琉球音階というのもありますね。♯とか♭とかト音記号を何で使うのか?
 
6)音階の上がるのを、1度2度3度という言い方をします。ドとレなら、ドを1度と呼び、レはドに対して2度というふうに呼ぶ。長音階と短音階というのがあります。ふつうに音階の基点を変えるのですが、そうすると音調が明るくなったり淋しくなったりする。そういうことがあります。ピタゴラス音階というのが、今の音階のはじまりですね。
 
7)中国なんかでも同じように音を決めている。ピタゴラス音階には、ものすごい矛盾がある。ふつう、音階オクターブが上がると周波数が2倍になる。それが和音と言ってとてもきれいに聞こえる。それは純正律といって、和音のことですが、それも悩みがある。ドを基点にして音階を決めるとすごくきれいになるのですが、転調とか移調とかいって、基点を♯や♭で変えるとまったく駄目になる。全部和音じゃないというので、平均律というのが使われはじめたというわけです。
 
 以上が、呼び水です。ヴァイオリンの演奏だけでは2時間持たないと思ったので(こんな「概要」を用意したんです)。
 
★ 羊の腸が廃れたわけ
 
 ヴァイオリンの弦は羊の腸、テニスも同じですよね。弦に今はナイロン弦とか金属弦を使う。羊の腸はいい音がする。だけど、たくさんの人に聞かせるということになると、大きな音を出さなければならない。
(Hさん夫妻が入室する)
 大きな音を出すのに、羊の腸では限界がある。古楽器は音が小さいので、廃れていったわけです。じつは最近、古楽器のいいことが見直されてきています。私は昔はよかったっていう話はすごく嫌いなんですけども、西洋古楽器はすごくいいんですね。
 
 で、私はナイロン弦を使っています。私のヴァイオリン仲間がガット弦を使っているんですが、長くて3ヶ月くらいしか持たない。それに高いんです。それ、使わないんだったら頂戴といって、使ってみると、いい音がする。それで、中古のガット弦を買ったんです。通販のアマゾンで。感動したんです。これも(と、傍らの持参用具を指さして)ふつうはドイツ製で5000円くらいする、アマゾンでみたら、500円。使い勝手はすごくいい。(また別のものを取り上げて)こちらも郵送料込みで、470円。(アマゾンの)商売はすごいですね。注文すると、翌朝くる。羊の腸は寿命が短いだけではなく、すぐ狂う。一曲弾いている間にくるってしまう。だからプロは使わない。私らは、狂いがわからないから使っているというわけです。
 
 本当はこういう話をして最後にヴァイオリンを弾こうと思っていたのですが、話しをしているうちにくるってしまうんでは困りますから、最初に弾かせてください。もう狂っているかもしれない。
 
★ 3曲を演奏する
 
(と、調律を始める)では多少我慢してもらって、ポール・モーリアの「オリーブの首飾り」を弾かせてもらいます。
 
【伴奏はじまる、哀しそうな響きが広がる。スクリーンに、作曲者クロード・モルガンの肖像画、この曲をバックにマジックをしていた松旭斎すみえさんやマギー史郎さんのTV番組「あの人はいま」に出演したときの写真が次々と映し出される。聴き手が楽しめるように、ずいぶんと心配りをして準備をしてきたようだ。ヴァイオリンを弾く演奏者を見つめないように照れているようにも思える。】 
 (演奏を終わって)ちょっと上がってますね。今度はクライスラーの「愛の喜び」。これは難しいんです。先生はやめた方がいいととめてくれたんです。もともとクライスラーの曲は重音が多い。それで単音だけでいこうと思ってやるんですが、何カ所か間違うと思うんですけども、目をつぶってください。クライスラーはオーストリアの生まれで、あとでアメリカへ行きます。
 
【飛び跳ねるようにはじまり、後半は静かに心もちを内心で吟味するようにゆっくりとしたテンポで歌うように音を弾き延べ、そうしてまたはじめの跳ぶようなメロディに戻って、終わる。】 
 
(クライスラーって、ユダヤ人?)
そう、ユダヤ人。
(じゃあ、ナチスのときに逃れたのね?)
そう。 
(演奏中のスクリーンに映っていたけど、この曲は映画「第三の男」で使われてたの?)
いや、まったく関係ない。ウィーンということで、あの映画のことを思い出したから。
(スライドの写真は、どういう選択をしたの?)
スライドは適当。グーグル画像検索で、この曲を検索するといろんなものが出てくるから、そこから面白そうなのを取り出したんです。
(ご自分で撮ったのは、どれ?)(お花なんかは、ご近所のを自分で撮ったとか)
そうだといいんですが、何にも、ない。ありません。ごめんね。適当です。
 
 でもう一つは、もうひと我慢なんですけど、ラフマニノフの「ボーカリーズ」。ニッカウィスキーのコマーシャルの、キャサリン・バトルが湖の傍で歌っているのが有名ですよね。アメリカでラフマニノフの「ピアノコンツエルト2番」が大成功して評判になりまして、マリリン・モンローの映画「七年目の浮気」にも使われています。せっかくですからそういう映像がも入れています。これはほんとうにきれいな曲です。あとでU-TUBEで聴いてください。いかに違うかよくわかります。これは音譜を見ないと覚えきれない。
 
【地を這うように静かに短調で流れる。嘆きの心もちがだんだん落ち着いて、遠くを見つめるように穏やかな響きになる。音で表現される心境の変化が面白い。】 
 
 これで終わりです。じゃあ本題のお話しに入ります。(つづく)

第20回 aAg Seminar 報告(3) 感性に直接響く「樂」の愉しみ

2016-06-06 15:45:02 | 日記
 
【演奏が終わり、「本題」に入りました。( )は参加者の口挟み、【 】はト書き。無印は講師・fmnくんの話。】
 
★ ウィーンにおける人種的偏見
 
 ヴァイオリニスト・千住真理子の随筆を見たら、クライスラーはウィーンでは全然人気がないんですね。私の先生もウィーンへ勉強に行っていたのですが、全然(クライスラーのことを)知らない。まあ、聞かなきゃ言わないでしょうけど。なんでかというと「アメリカへ逃げたから」と。
(逃げたって、避難がましく言う資格はウィーンの人たちにはないでしょう。ウィーン子が追い出したんじゃない。)
 メンデルスゾーンもユダヤ人なんですよね。あれ、ヒトラーが困ったんですよ、扱いに。結局、あいつはユダヤ人ではないと言い張った。あまりにも人気があるからね。ラデツキー行進曲をつくったのはお父さんの方のヨハン・シュトラウスでしたっけ。青きドナウをつくったでしょ。どちらもオーストリアが戦争に勝ったという愛国の曲なんですよね。それで人気がある。クライスラーは、ウィーンの香り漂う曲をいっぱい作ったんですが、ウィーン子には人気がない。
(「第三の男」のチターの曲、あれも楽器と認めていない。ウィーンで腕を磨いた日本人もいっぱいいるけれども、ウィーンの人たちは有色人種に音楽がわかるわけがないと、絶対に認めない。それくらい人種に対する偏見が強い)今年重力波が実験で確認されましたが、あのアインシュタインもユダヤ人でしたね。彼もヴァイオリンが得意でね。私は、アインシュタインとクライスラーとチャップリンとが頭の中で被るんです。チャップリンはユダヤ人ではないんですよ。
 
 【一枚の写真を見せて】これは私の最近の発表会のメンバーで、ここに私がいます。これが私の先生、このおじさんが先生に和音の話をして、そこから今日のテーマが出てきました。
 
★ わずか1Hzの違いは唸る
 
 ドレミは国際的にラが基準になっていて440hzです。光の波は電磁波だから真空でもどこでも30万㎞/秒で飛んでいくのですが、音は空気の振動ですので、約340m/s(厳密には15度のとき)の速さ。縦波です。固体の振動でも伝わる。真空中は伝わらない。「スターウォーズのウソ」って話知ってます? 私も見たんですが、「フォースの覚醒」の画像はすごい。宇宙空間ですごい音を出してバンバンと闘っているけど、あれは嘘ですね。音は出ない。静かにやっているわけね。我々は耳があって空気に包まれているから聞こえます。
 
 音の速さは、空気中では1秒間に約340mですが、ミの音がそのくらいの周波数。波長が1メートル。光はナノメーターですから比べようがない。ピアノの一番低い音は27.5Hz。上は4000Hz。ちょっと聞いてください。
【音響機器を操作して……】
 電子音の440Hz というのは、[ぶ~~ん]これです。そして[ブ~~ン]これが441Hzです。あれっ、どっちか狂ってるぞ。おなじですか? 今の二つの違いわかりますか。わかったらすごいんですが……、だが、じつはわかるんですね。もう一度やりますね。
【二つのスマホのような小さな音源を用意して、同時に音を出す。と、ぷつっと一方の音が途絶える。】あれっ? こういう時に限り、電池がなくなっているわ。残念。440HZと441HZを同時に聞くと、唸りが聞こえる。ごく近い音はきれいに聞こえない。不協和音ですよね。一定程度離れると協和音になる。
 
★ 協和音、不協和音の妥協点――平均律
 
 ピタゴラスが考えたのは、ドの次はソなんです。【ヴァイオリンをはじいてラのオクターブ上の音を出す。】これは880Hzで倍音です。これは押さえなくてもきれいな音が出る。【また別の弦をはじく】これがミなんです。2/3なんです。【同時に弾いて……】そうなると和音になる。【と、このあと適宜音を出しながら、】このドと半音のド、ソ、3/4がファなんです。これも和音になる。ここを腹といって、ここを節というのですが、これが1オクターブ、ここが2オクターブ、3倍もいい、5倍もきれいに聞こえる。ところがピタゴラス・コンマと言いまして、ドでいうと、小数点以下の倍数の末尾が切り上げられるから、1オクターブが合わなくなる。さっきの440Hzと441Hzよりももっと小さいが、小さなずれが発生する。それが「唸り」に聞こえる。不協和音になるのですね。
(ピタゴラスが使っていたのはどんな楽器?)
【スライドをみせて……】
 こんな弦楽器ですね。古代中国の音を決めたのは、管楽器です。複利で倍になる、そうすると2倍は1オクターブ上がる。でも途中は合わない。そこに誤魔化しがある。いままでの話は、呼び水だったんですが……。
 
★ 音楽、芸術の起源
 
 芸術というのは、もとは、こういう「藝」という字です。英語ではart、ギリシャ語のテクネー、人間がつくったものという意味。良い技術、美しい技術という意味で、芸術をつかうようになった。後漢書の弘安帝のところで、西周がliberal art を芸術とした。
 
 「藝」という漢字の発生からいうと、くさかんむりに「執」と「云」です。これがくさかんむりで、真ん中の「執」は両手に持った植物を土に埋める様をあらわしている。音楽の紀元は、言語起源説、感情起源説と二つありますが、漢字の一番下の「云」は「言」ですね。つまり言語起源説をあらわしていると考えられます。起源に近い「初歩の音楽」は、魔術的、呪術的でした。また、労働促進ということもありますね。歌を歌いながら作業をすると息が合う。軍艦マーチは私が付け加えました。私もジョギングしているときに軍艦マーチをかけると、途端に元気になる。音楽というのは、心と体に直に作用する力をもっているのですね。
(掛け声とか、オノマトペというのは日本人の特性か。ヨーロッパ人にはそういうのがないと聞いたが。虫の音も、心地よく効く日本人に対して、ヨーロッパ人は雑音としか聴かないと言いますね。音の聴き方で日本人は特異なのだろうか。文化の違いというか。それが発達して、労働歌とか作業の掛け声につながっているとしたら)
 日本に限らず、アフリカなどでも歌ってますよね。ヨーロッパはしかし、掛け声はあまり聞かないですね。労働歌は世界的にある。
 
 音楽の楽の次は和字です。元の漢字は「樂」。樂は楽器のこと。白い糸を張った道具の意味だといいます。黄帝は神話伝説の皇帝で、BC2500年、ある戦いに勝って振り返ってみると、わが軍の兵たちが地に伏している。薬師を呼ぶと、現に弦を巻き付け、弾き始めたら兵たちが元気になったという。そういう話があります。薬も、くさかんむりに「楽」ですね。音楽も効き目があるということです。
 
 今日の「雑楽」ですが、これは楽器を雑に弾いている(笑)。musicはギリシャ神話のミューズからきている。ゼウスの娘。ゼウスというのは、弱者の守護神、女性関係は奔放って方ですね。ミューズの恩恵に預かる音楽がムーシュケ。ミューズの神殿とか博物館などのmusiamもそう。いろいろなことに転調している。いずれも感性を刺激し、美しさに通じるコトを象徴している。振り返ると、芸術の起源に通じる入口というわけですね。
 
★ 年とともに聞こえなくなる
 
 リズム、メロディ、ハーモニーが音楽をなすが、日本ではハーモニーがあまり強調されない。琵琶法師、琵琶法師、目の不自由な人の救済のためにこういうものを認めていた。言は人の口から、音は虫その他から発せられるものとみていた。サウンドは音ですが、ソニックは音速。sonyの元になった言葉ですね。人間が聴けるのは20ヘルツから2万ヘルツ。ふつうは200ヘルツから8000ヘルツ。
 
(年を取って女性の高い声は聞き取れるが低い音は聞こえないというのは?)
美人かどうかによるのでは?
(そうか。好きこそものの上手なれなんだ。)
(女性の高い声というのは3500Hzくらい。低い声は年をとると聴きにくい。)
聴力検査ってやるじゃない。あれは、1000Hzと4000Hzですね。ピーは聞こえる。シーが聞こえない。4000Hzが聞こえなくなる。
(電話が4000Hzまで対応していて、それ以上は伝えられない。だから、1000Hz~3500Hzまでの感度が高いってのは、そういうことですよ)
そうですね。
(聴力テストっていうのはhearingっていうのね。英語の聞き取りはlistning testって。)
 1万Hzは若い人には聞こえるが年寄りには聞こえない。だから夜の公園に屯する若い人たちを追い払うのに、1万Hzの音波を流すことをしている。モスキート・サウンドですよね。
 
★ デジタルとアナログの違い、植物は聞いているか?
 
(NHKで音響をやってきた人が、古い電話機の音は発生している場所がわかる。ところがデジタルの電話機だとどこから出ているのかわからないっていうんだけど、なぜなの?)
 そう言われますよね。なぜなんでしょう。ホントそうですよ。音が純粋だからでしょうね。アナログの音ですが、私たちは右と左の耳で聞くでしょう。そのとき伝わるときにいろんな音が入っていて、左右に届く時間にずれが生じるからでしょうね。デジタルだと、雑なものが入っていない。
(LPレコードとCDの音とが違うってのも、それなんじゃないか。植物や酪農の牛などに音楽を聞かせると効果があるっていうけど、LPなら効果があるがCDだと効き目がないって言うわね。デジタルとアナログの違いはそんなところにある)
 そう、植物にはモーツアルトがいちばんいいと。
(『植物はそこまで知っている』っていう本では、植物に音楽を聞かせると生育が違ってくるってことを実験して、モーツアルトは効果があるが、ロックは効果がないとした結果を吟味したところ、厳密な条件の下では音楽の「振動」が影響を与えることは確認できたが、クラシックかロックかは、実験者の好みが反映されているだけと結論を出している。葉で感知するらしい。)
葉って葉っぱのこと?
(そう)
 いやじつは、それをこれから話そうと思っていたんだけど、ドレミの起源とか時間があまりないから、一番言いたいのを今から言わせてもらいたい。あとから配ったプリントを見てください。(つづく)