このような映画を観てきました。
日本初の女医・荻野吟子の生涯を描いた作品です。
男尊女卑の考えが強く世にはびこっていた明治期、周囲の反対や弾圧にも屈することなく、女医になるという初志を貫徹し、出身である埼玉県では※「三大偉人」の一人に数えられている人物ですが、実は北海道にも縁があり、明治30年(1897年)に、檜山の瀬棚町(現・せたな町)に診療所を開業していました。
※「三大偉人」の残る二人は、新一万円札の肖像となる渋沢栄一と、江戸時代に盲目の国学者として活躍した塙保己一。
このことから、せたな町には、その功績を称える顕彰碑が建っているそうなのだけど、私がそのことを知ったのは、函館を離れる直前(でもなかったかな?)だったので、そこへ行ったことはありません。
もっと前、せめて江差に住んでいた頃に知っていればと、残念に思ったものですが、また行く機会はあると思うので、そのときにじっくりと見てくるのを楽しみにしたいと思います。
せたな町だけでなく、出生地である熊谷市や、診療所跡などがある都内各地にも、彼女の功績を紹介する施設があるそうなので、そちらにも行ってみたいです。
タイトルの「一粒の麦」は、「ヨハネ伝」の第12章24節のキリストの言葉、「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」に由来するものですが、荻野吟子は、友人に誘われて聞きに行ったキリスト教牧師の説教の中にあった「男も女も神の目から見たら平等である」という言葉に心酔し、後に洗礼を受けることとなりました。
毎日の通勤ルート上にある「釧路ハリストス正教会」の掲示板にこの作品のチラシが貼られていたのを見て、「どういうことなんだろう?」と疑問に思っていましたが、なるほどそういうことだったのかと分かりました。
作品は、主演の若村麻由美さんや、夫役の山本耕史さんなど、錚々たる顔ぶれの役者さんが揃っていますが、ラスト近く、せたな町の観光名所、三本杉岩の前でロケが行われたシーンで、北前船の船主役で出演されている柄本明さんが、ほんの数分の1シーンにも関わらず強烈な存在感を発揮されていて、改めて素晴らしい役者さんだなあと実感させられました。
昨年10月に東京で公開され、今年に入ってからの全国上映会では釧路は三か所目。
「コーチャンフォー釧路文化ホール」こと「釧路市民文化会館」で上映されましたが、町の劇場でもこんなことはないのではと思うほどの満席でした。
これからも全国各地で上映されるので、ストーリーの詳細には触れませんが(公式サイトはリンクを貼っておきます)、久しぶりにいい映画を観たなと思えました。オススメの作品です。
そうそう、最初の方で、誰の台詞だったか忘れたけど、「ボーっと生きてんじゃないよ」という台詞があり、このとき、会場からドッと笑い声があがりました。やっぱり皆さん「チコちゃん」を観てるんですね(笑)。